「相続した実家を、できるだけ高く売りたい」
「古い空き家なので、リフォームや解体をしてから売った方がいい?」
「複数社の査定額が違うけれど、一番高い会社に任せればいい?」
空き家を少しでも高く売りたいなら、売却前のお金のかけ方と不動産会社の選び方を慎重に考えたいところです。
査定額が高いことと、最終的に手元へ残るお金が多いことは別です。
仮にリフォームによって売却価格が上がっても、工事費を回収できなければ手取りは減ります。また、高い査定額を提示されたからといって、実際にその金額で売れるとは限りません。
空き家を有利な条件で売るために、査定前にできることから、不動産会社の選び方、売出価格の決め方、売却活動が始まってからの対応まで、10のコツを見ていきましょう。
- 結論|空き家を高く売るなら「お金をかける前に比較」が基本
- 高く売るコツ① 空き家の相場を「成約価格」で把握する
- 高く売るコツ② 複数社から査定を取り「金額の根拠」を比べる
- 高く売るコツ③ 掃除・片付けは「費用をかけすぎない」
- 高く売るコツ④ 大規模リフォームは査定前に始めない
- 高く売るコツ⑤ 解体前に「古家付き」と「更地」の手取りを比較する
- 高く売るコツ⑥ 売却時期は「季節」より維持費と税制の期限で考える
- 高く売るコツ⑦ 不動産会社は査定額より「販売戦略」で選ぶ
- 高く売るコツ⑧ 売出価格は「高ければ得」と考えない
- 高く売るコツ⑨ 売却開始後は広告・反響を任せっぱなしにしない
- 高く売るコツ⑩ 税金・諸費用まで引いた「手取り」で比較する
- 仲介で高値を狙うか、買取で早く手放すかも比較する
- まとめ|空き家を高く売るなら「売値」より手取りを増やす
結論|空き家を高く売るなら「お金をかける前に比較」が基本

売却価格を上げたいからといって、最初に大規模なリフォームや解体をする必要はありません。
まずは今の状態でいくらで売れそうかを確認しましょう。
そのうえで、片付けや修繕、解体にお金をかけることで、売却価格や売れるまでの期間がどれだけ変わるのか、不動産会社へ聞いてみてください。
売却価格が上がっても、それ以上に費用がかかるなら、何もしない方が手元に多く残ることもあります。


高く売るコツ① 空き家の相場を「成約価格」で把握する

不動産会社へ査定を依頼する前に、近隣でどのくらいの価格で不動産が売れているのか調べておくと、提示された査定額を判断しやすくなります。
ここで区別したいのが売出価格と成約価格です。
売出価格は売主が希望して掲載している金額で、成約価格は買主との交渉を経て売買が成立した金額です。
例えば、2,000万円で掲載されている物件が、価格交渉の結果1,850万円で成約することもあります。
近隣に2,000万円の売出物件があるからといって、自分の空き家も同じ金額で売れるとは限りません。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、取引価格情報や成約価格情報を確認できます。
ただし、同じ町内でも、土地面積、道路への接し方、建物状態、境界、駅からの距離などで価格は変わります。
近隣の成約価格は、自分の空き家がいくらで売れるかを断定するものではなく、査定額が相場から大きく外れていないかを判断する材料として使いましょう。
高く売るコツ② 複数社から査定を取り「金額の根拠」を比べる

同じ空き家を3社に査定してもらい、次のような結果になったとします。
- A社:1,800万円
- B社:1,950万円
- C社:2,100万円
C社が最も高く評価していますが、必ず2,100万円で売れるとは限りません。
ここで聞いておきたいのは、「なぜほかの会社より高く評価したのか」です。
| 聞くこと | 確認したい理由 |
|---|---|
| 参考にした成約事例 | どの物件を根拠に査定額を出したのか |
| 想定している買主 | 中古住宅・土地・リノベーションなど、どの需要を見込んでいるのか |
| 売出価格と想定成約価格 | 掲載する価格と、実際に売れると見込む価格に差があるか |
| 想定販売期間 | 自分が希望する時期までに売れそうか |
| 価格を下げる判断基準 | 売れなかった場合、いつ何を見直す予定なのか |
査定価格・売出価格・成約価格・買取価格は、それぞれ違う金額です。
特に、不動産会社による直接買取の提示額と、仲介で一般の買主を探す場合の査定額を並べるときは、同じ条件の比較になっているか確認してください。
机上査定で相場をつかみ、訪問査定で物件固有の条件を確認する
机上査定は、所在地・面積・築年数・周辺取引などから概算を出す方法です。
一方、訪問査定では、雨漏りなどの建物状態、接道、敷地形状、境界、越境、周辺環境なども現地で確認してもらえます。
古い空き家では、机上の情報だけでは分からない事情が価格に影響することがあります。
売却を具体的に考えているなら、机上査定の金額だけで依頼先を決めず、候補となる会社に訪問査定を依頼しましょう。
なお、亡くなった親の名義のままでも査定相談はできます。相続登記や共有者の合意が必要な場合は、査定と並行して相続手続きを進める方法もあります。

高く売るコツ③ 掃除・片付けは「費用をかけすぎない」

仲介で一般の購入希望者に売る場合、部屋に荷物が多すぎると、広さや建物の状態を確認してもらいにくくなります。
玄関、居室、水回り、庭などを見やすくし、換気や最低限の清掃をしておくことは内覧対策になります。
ただし、「売るなら家財を全部捨てなければ」と、査定前に高額な処分契約をする必要はありません。
土地として売る物件では、室内を完全に空にしても成約価格が変わらない場合があります。残置物がある状態で相談できる買取会社もあります。
親が残した家具や家電を処分する前に、不動産会社へ次の3点を確認しましょう。
- 現状のまま売るならいくらか
- 片付けると価格や売りやすさが変わるか
- 売主と買主のどちらが残置物を処分する条件か
家財処分が必要だと分かったら、作業範囲・処分対象・追加料金の条件をそろえて見積もりを比較してください。
例えば、家具の搬出費用だけでなく、家電の処分費や階段作業、トラックの追加料金などが見積もりに含まれているかも確認しておきたいところです。
不用品回収・空き家清掃・遺品整理などの業者を比較したい場合は、ぽいみつのような見積もりサービスも選択肢になります。
高く売るコツ④ 大規模リフォームは査定前に始めない

古い実家を見ると、「この状態では売れないからリフォームしよう」と考えるかもしれません。
しかし、購入者の中には、古いまま購入して自分の好みにリノベーションしたい人もいます。
売却を目的とする工事では、工事費以上に手取りが増えるかを考える必要があります。
例えば、現状なら1,800万円で売れる家に300万円をかけてリフォームし、2,000万円で売れた場合です。
| 売り方 | 売却価格 | 工事費を引いた額 |
|---|---|---|
| 現状で売却 | 1,800万円 | 1,800万円 |
| リフォーム後に売却 | 2,000万円 | 1,700万円 |
※仲介手数料などを除いた、比較用の仮定例です。
リフォームによって200万円高く売れても、300万円の工事費を払えば、単純計算では現状売却より100万円少なくなります。
もちろん、比較的小規模な補修で買主の不安を減らせる場合もあります。
査定を受けた際に、どこまで修繕する必要があるのか、現状のままでも購入希望者が見込めるのかを不動産会社へ聞いてみましょう。
不具合を修理しない場合も、知っている事実は伝える
雨漏りやシロアリ被害などがあっても、売主が必ず修理してから売る必要があるとは限りません。
ただし、把握している不具合を隠してよいわけではありません。
「修理するかどうか」と「買主へ知らせるかどうか」は別の問題です。
知っている不具合は仲介会社へ伝え、売買契約書や物件状況報告書などへ適切に反映させましょう。
修理していない箇所は未修理であることを伝え、調査していない箇所を「問題なし」と説明しないことも大切です。
高く売るコツ⑤ 解体前に「古家付き」と「更地」の手取りを比較する

解体は、一度行うと元に戻せません。
古家付きで売る場合は解体費の先払いを避けられ、建物を使いたい買主も検討できます。更地では、新築用の土地を探す人が検討しやすくなる場合があります。
ただし、更地の方が高い査定額でも、売主が解体費を負担すれば手取りは減ることがあります。
さらに、古い家が建っている土地は、解体後も再建築できるかを先に確認してください。
現在家が建っているからといって、解体後に同じような建物を建てられるとは限りません。
建物付きと更地で査定価格がどれくらい違うのか、解体すると固定資産税や契約条件はどう変わるのかも、工事を決める前に比較しておきましょう。

解体する方針が固まったら、構造・坪数・重機の搬入条件・残置物などを含めて複数業者の見積もりを比較します。
建物本体の解体費だけでなく、庭木や塀の撤去、家財処分などが別料金になっていないかも確認しておきたいところです。

解体無料見積ガイドでは、地域の解体業者を最大6社まで無料で比較できます。紹介可能な業者数は地域・工事条件によって異なります。
「高く売るために先に解体する」のではなく、解体費用を差し引いても手元に多く残るのかを確認してから契約しましょう。
高く売るコツ⑥ 売却時期は「季節」より維持費と税制の期限で考える

「春の方が売れそうだから、もう少し待とう」と考えることもあるでしょう。
ただし、空き家を保有する間は固定資産税、保険料、草刈り、管理、修繕などの負担が続きます。
例えば、半年待って10万円高く売れても、その間の管理・修繕・交通費が20万円増えれば、手取りは減ります。
待てばいくら上がりそうかだけでなく、待つためにいくらかかるかも考えましょう。
特に、遠方の実家を売る場合は、定期的に通う交通費や管理サービスの料金なども無視できません。
相続した実家なら、相続空き家の3,000万円特別控除など、売却期限が関係する制度もあります。
「もう少し高く売れる時期を待ちたい」と考えていても、税金の特例を使える期限を過ぎれば、結果的に手元に残るお金が少なくなる可能性があります。
売出時期を決める前に、利用できる特例と売却期限を確認しておきましょう。

高く売るコツ⑦ 不動産会社は査定額より「販売戦略」で選ぶ

査定額の根拠を比較したら、次はその会社がどのように買主を探すのか聞いてみましょう。
同じ空き家でも、不動産会社によって想定する買主や売り方は異なります。
例えば、建物を利用できる古い住宅なら、次のような販売方法が考えられます。
- A社:新築用の土地を探す人へ、古家付き土地として紹介する
- B社:中古住宅を探す人へ、現状のままの住まいとして紹介する
- C社:リノベーション希望者へ、建物の特徴を生かして紹介する
どの方法が合うかは、建物の状態と地域の需要によって変わります。
例えば、古い家でも建物を利用したい人がいる地域なら、最初から土地としてだけ売り出すのはもったいないかもしれません。
一方、建物の劣化が進み、新築用地を探す人が中心の地域なら、土地の条件を重視した販売方法が合う場合もあります。
大手か地域密着かという名前だけではなく、「この家を誰に、どのように紹介するのか」を具体的に聞いてください。
査定時には、次の5つを質問してみましょう。
- この家を買うのは、どのような人だと考えていますか?
- その人に届くよう、どの媒体へ掲載しますか?
- 建物・土地のどの点を強みとして紹介しますか?
- 逆に、買主が気にしそうな弱点は何ですか?
- 想定期間に売れなければ、何を見直しますか?
高い査定額を出した会社を避ける必要はありません。高く評価した理由を、具体的な資料と販売計画で説明できるかで比較しましょう。
なお、複数社から査定を受けることと、複数社へ仲介を依頼することは別です。
不動産会社を決める際は、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違いも理解し、自分が希望する売却方法に合った契約を選びましょう。

高く売るコツ⑧ 売出価格は「高ければ得」と考えない

少しでも高く売りたいからと、相場を大きく上回る価格で売り出す方法が、必ず有利とは限りません。
購入希望者は予算の上限を設定して物件を検索するため、価格帯によっては広告を見てもらいにくくなることがあります。
一方で、早く売りたいからと安く設定しすぎるのも避けたいところです。
不動産会社には、査定額を一つだけ聞くのではなく、次の3つの価格について相談してみてください。
| 価格の考え方 | 確認すること |
|---|---|
| 時間をかけて高値を狙う価格 | どの程度待つ想定か |
| 標準的な成約を狙う価格 | 根拠になる成約事例は何か |
| 早期売却を優先する価格 | いつまでの成約を見込むか |
「3か月以内に売りたい」のか、「半年以上かかっても高値を狙いたい」のかで、適切な売出価格は変わります。
例えば、相続した実家を兄弟で売却する場合、一人は高値を希望していても、ほかの相続人は早く現金化したいと考えているかもしれません。
不動産会社へ売却を依頼する前に、家族でも希望する売却時期を話し合っておきましょう。
価格を決める前に、家族で売却期限と最低限確保したい手取りを共有しておくと、値下げが必要になった場合も話を進めやすくなります。
高く売るコツ⑨ 売却開始後は広告・反響を任せっぱなしにしない

売り出したら、広告にどの写真が使われているか、間取りや土地形状が分かりやすいか、建物の特徴が伝わる紹介文になっているかを確認しましょう。
古い空き家でも、土地の広さや日当たり、駐車スペース、建物の使い方など、購入希望者が知りたい情報は物件によって違います。
その後は、不動産会社から問い合わせ件数、内覧件数、見送り理由などを報告してもらいます。


例えば、広告を見てもらえていないなら掲載方法や写真を見直す余地があります。内覧はあるのに申込みがないなら、現地で買主が気にしている点を担当者へ聞いてみましょう。
売れない期間が続いている場合も、値下げだけで解決しようとせず、どの段階で購入希望者が離れているのか確認することが大切です。

高く売るコツ⑩ 税金・諸費用まで引いた「手取り」で比較する

空き家の売却で最終的に確認したいのは、売却後にいくら手元へ残るのかです。
査定額が高くても、売主側で高額なリフォームや解体、家財処分をすれば、その分だけ残るお金は変わります。
また、住宅ローンの残債がある場合は、売却代金から返済する必要があるかもしれません。
査定を比較するときは、不動産会社へ売却時に必要な費用も聞いておきましょう。
- 仲介手数料
- 売買契約や登記に関係する費用
- 家財処分・測量・解体など、売主が負担する費用
- 売却までに必要な管理・修繕費
- 住宅ローンなどの残債
- 売却後の税金
「高い価格で売れたか」だけでなく、「その売り方を選んで手取りが増えたか」まで比較すると、不要な出費を避けやすくなります。
売却価格から仲介手数料などの諸費用やローン残債を差し引くと、いくら残るのか。次の記事では、条件を入力して手取りの目安を試算できます。

また、相続した空き家や以前住んでいた自宅を売る場合は、税金の特例を利用できる可能性もあります。
譲渡所得税や3,000万円特別控除の条件を売却前に確認し、税金を含めた負担も考えておきましょう。

仲介で高値を狙うか、買取で早く手放すかも比較する

一般的には、仲介の方が市場価格に近い価格を狙いやすい一方、買主が見つかるまで時間が必要です。
買取は不動産会社が直接買主になるため、条件が合えば早く進めやすい反面、仲介での想定成約価格より低くなる傾向があります。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 価格 | 市場価格に近い価格を狙いやすい | 仲介より低くなる傾向 |
| 売却期間 | 買主が見つかるまで必要 | 条件が合えば短縮しやすい |
| 向いている状況 | 時間をかけて価格を優先したい | 早期売却・一般市場では売りにくい物件 |
再建築不可、共有持分、借地・底地、老朽化が激しい空き家などでは、一般の買主を探すのが難しい場合もあります。
そのような物件なら、専門買取会社の査定を取って、仲介で売る場合の価格・期間・維持費と比較する方法があります。
ワケガイ
は、空き家のほか、共有持分・再建築不可・借地・底地などの買取相談に対応しています。実際の買取可否は物件条件によります。
東京・神奈川・埼玉・千葉の物件なら、LIXIL不動産ショップの訳あり物件買取センター
も比較対象になります。
すでに仲介で売り出しているのに売れない場合は、買取へ切り替える前に、なぜ売れていないのかを確認しておきたいところです。
価格や広告の出し方を見直すことで、一般の買主が見つかる可能性もあります。

まとめ|空き家を高く売るなら「売値」より手取りを増やす

空き家を高く売りたいなら、「古いから解体」「見栄えが悪いからリフォーム」「一番高い査定額だからその会社に依頼」と、比較する前に決めてしまわないことです。
まずは現状での価格を把握し、複数社に査定の根拠と販売方法を聞いてみましょう。
そのうえで、片付けや修繕にお金をかける必要があるのか、売出価格をいくらにするのか、いつまでに売りたいのかを考えていきます。
まだ売却・賃貸・解体のどれにするか決められない場合は、複数の方法を比較してから方向性を絞ってもよいでしょう。
タウンライフ 空き家解決では、売却査定に加え、活用・解体・リノベーション・建て替えなどの提案も依頼できます。提案の有無や内容は地域・物件条件によって異なります。
大きなお金を使う前に現在の価値を知り、最後にいくら残るかまで比較する。
売却価格だけに目を向けず、工事費や維持費、税金まで考えたうえで、自分の空き家に合った売り方を選びましょう。



コメント