「実家を相続したけれど、何から始めればいいのか分からない」
「引っ越して空き家になった家は、どんな順番で売ればいい?」
空き家を売る事情は違っても、基本の手続きは共通しています。ただし、住んでいない家では登記名義、残置物、境界、建物の劣化、引き渡しまでの管理など、売り出す前に整理したいことがあります。
相続した実家なら、誰が売主になるのか、相続登記は済んでいるかも確認が必要です。
空き家の売却は、名義の確認から査定、媒介契約、売り出し、売買契約、引き渡しへと進みます。それぞれの段階で売主が何を準備し、どこを確認すればよいのか、売却後の税金の手続きまで順番に見ていきましょう。
空き家売却の流れ【6ステップ】

空き家は、基本的に次の順番で売却します。
| STEP | やること | 確認すること |
|---|---|---|
| STEP1 | 名義・必要書類の確認 | 所有者、共有者、登記、物件資料 |
| STEP2 | 査定 | 想定価格、査定根拠、売却期間 |
| STEP3 | 媒介契約 | 依頼する会社、契約の種類、販売計画 |
| STEP4 | 売り出し・内覧 | 広告、残置物、建物状態、反響 |
| STEP5 | 売買契約 | 代金、手付金、不具合、引渡条件 |
| STEP6 | 決済・引き渡し | 残代金、登記、抵当権、鍵、費用精算 |
相続登記や家財の片付けがすべて終わってから査定を始める必要はありません。査定と並行して準備できることもあります。
売却にかかる期間は物件ごとに異なります。準備・査定・会社選びに数週間、買主探しに数か月、売買契約から決済までにさらに一定の期間を見込む場合があります。相続関係や境界が未整理なら、その分の時間も必要です。
期限が決まっている場合は、「いつ売り出すか」だけでなく、「いつまでに買主を決め、いつ引き渡せる状態にするか」から予定を立てましょう。
STEP1|名義・権利関係と必要書類を確認する

最初に確認するのは、誰が売主になるのかです。
登記事項証明書で土地と建物の名義を確認します。住宅ローンを完済していても、抵当権の登記が残っていることがあるため、所有者以外の権利も見ておきましょう。
相続した空き家は、査定と並行して相続登記を進める
亡くなった親の名義のままでも、不動産会社に査定を依頼することはできます。ただし、買主へ所有権を移すまでには必要な相続登記を済ませる必要があります。
相続登記は、原則として不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が義務です。義務化前の相続で、以前から取得を知っていた未登記不動産については、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。
兄弟姉妹など相続人が複数いる場合は、誰が不動産を取得するのか、共有者全員が売却に合意しているのかも確認しましょう。
共有名義のまま売るのか、誰か一人が実家を引き継ぐのかによって、必要な手続きも変わります。売却活動を始める前に、相続人同士の方針を確認しておきたいところです。

相続登記や相続税について相談先を探したい場合は、タウンライフ不動産相続の相談内容と無料でできることも参考にしてください。相談や見積もりと、司法書士・税理士などへの正式な業務依頼は分けて費用を確認しましょう。
査定前に探しておきたい資料
手元にあれば、次の資料をまとめておくと手続きが進めやすくなります。
- 登記識別情報・登記済証(権利証)
- 固定資産税・都市計画税の納税通知書、課税明細書
- 土地の測量図・境界確認書
- 建築確認済証・検査済証・建物図面
- リフォーム・修繕履歴
- 購入時の売買契約書・領収書
購入時の契約書や領収書は、売却後の譲渡所得税を計算するときにも役立ちます。古い実家なら、親が保管していた書類を探しておきましょう。
すべてそろっていなくても査定はできます。見つからない資料は、不動産会社へその旨を伝えてください。
STEP2|空き家の査定を依頼する

現在の名義と物件の概要が分かったら、不動産会社へ査定を依頼します。
査定額は、その金額での成約を保証するものではありません。周辺の成約事例、土地と建物の状態、市場での需要などを基に、不動産会社が見込む価格です。
机上査定と訪問査定を使い分ける
| 査定方法 | 特徴 |
|---|---|
| 机上査定 | 住所・面積・築年数・周辺相場などから概算する |
| 訪問査定 | 現地で接道、建物状態、境界、周辺環境などを確認する |
売却するか迷っている段階なら、まず机上査定でおおよその相場をつかむ方法があります。
ただし、古い空き家は道路条件や建物の状態によって価格が変わりやすいため、実際に売り出す際は訪問査定も受けておきたいところです。
査定額だけでなく、販売計画を聞く
複数社に査定を依頼した場合は、金額とともに次の点を聞いてください。
- 参考にした成約事例は何か
- どのような買主を想定しているか
- 売出価格と想定成約価格は同じか
- どの程度の販売期間を見込むか
- 売れなかった場合は何を見直すか
一番高い査定額を出した会社が、必ず一番高く売ってくれるわけではありません。
査定を依頼する前に準備しておきたいことや、会社ごとに査定額が違った場合の比較方法も確認しておきましょう。



建物付きで売る場合の査定額と、解体して更地にする場合の費用を比べれば、どちらの方法が自分の空き家に合うのか考えやすくなります。
売却するか、改修して活用するかも決めていない場合は、複数の方法を比較してから方針を決めるのも一つの方法です。
タウンライフ 空き家解決では、売却に加えて、活用・リノベーション・建て替え・解体などの解決方法を比較できます。提案内容は地域や物件条件によって異なります。
STEP3|不動産会社と媒介契約を結ぶ

売却を依頼する会社を決めたら、媒介契約を結びます。
媒介契約は、不動産会社に買主探しや取引の仲介を正式に依頼する契約です。
媒介契約は3種類ある
| 比較項目 | 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 |
|---|---|---|---|
| 依頼できる会社 | 1社 | 1社 | 複数社 |
| 自分で見つけた買主との直接取引 | 不可 | 可能 | 可能 |
| レインズ登録期限 | 5日以内 | 7日以内 | 原則任意 |
| 売主への活動報告 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 法律上の定期報告義務なし |
※表の登録期限は媒介契約締結日の翌日から数え、宅建業者の休業日とレインズの休止日は算入しません。
遠方の空き家で、鍵の管理や内覧の日程調整を1社に任せたい場合は、専任媒介などが合うことがあります。一方、複数社へ依頼できる一般媒介が合う物件もあります。
契約の名前だけでなく、どの媒体へ掲載し、誰に売る計画なのかを聞いたうえで選びましょう。
レインズの登録証明書を受け取る
専任媒介・専属専任媒介でレインズに登録されたら、不動産会社から登録証明書を受け取ります。
レインズは不動産会社間で物件情報を共有する仕組みです。売主は登録証明書に記載された情報を使って、売主専用画面で物件の登録内容と取引状況を確認できます。
取引状況は次の3区分です。
- 公開中
- 書面による購入申込みあり
- 売主都合で一時紹介停止中
自分が紹介停止を頼んでいないのに「売主都合で一時紹介停止中」となっていたら、担当者へ理由を確認してください。
800万円以下の売買では仲介手数料も先に確認する
2024年7月から、売買価格が800万円以下の「低廉な空家等」に該当する取引では、仲介手数料の特例があります。
一定の条件のもと、宅建業者が依頼者の一方から受け取れる報酬の上限は33万円(税込)です。通常の計算より高くなる場合があるため、低価格の空き家では媒介契約前に実際の請求額を確認しましょう。
STEP4|売り出し・内覧対応を行う

媒介契約を結ぶと、ポータルサイト、レインズ、自社の購入希望者への紹介などを通じて買主を探します。
空き家では、内覧に来た人が建物や土地の状態を確認しやすいようにしておくことが大切です。
内覧までに整えておきたいこと
- 玄関・室内・水回り・庭の最低限の清掃
- 換気と臭いの確認
- 大量の残置物があれば、見学しやすい範囲の整理
- 雨漏り・シロアリなど把握している不具合の共有
- 設備の使用可否の確認
- 鍵の保管場所と内覧時の立会い方法の確認
ただし、査定前に家財を全部処分したり、大規模なリフォームをしたりする必要はありません。費用をかけても売却価格で回収できない場合があるからです。


家財処分を依頼する場合は、作業範囲と追加料金をそろえて複数社の見積もりを比較してください。
不用品回収・片付け業者を比較したい場合は、ぽいみつで一括見積もりを取る方法もあります。
売り出したら、問い合わせと内覧の状況を確認する
売却活動が始まった後は、不動産会社へ任せきりにせず、問い合わせ件数・内覧件数・見送り理由を聞きましょう。
問い合わせそのものが少ない場合と、内覧後に断られる場合では、価格・広告・建物の状態など、見直すべきところが違います。
売れない期間が続いているなら、担当者と一緒に原因を確認してみましょう。

STEP5|買主と売買契約を結ぶ

買主と価格・引渡条件などがまとまったら、売買契約を結びます。
買主が見つかっても、売却価格だけを確認して契約するのは避けたいところです。残った家財を誰が処分するのか、雨漏りなどの不具合をどう扱うのか、引き渡しまでに売主が何をするのかも契約で決めます。
売買契約で確認する項目
- 売買代金・手付金・残代金の支払日
- 引渡日と、引渡しまでに売主が行うこと
- 手付解除など契約解除の条件
- 境界明示や測量の条件
- 残置物・設備の撤去や引継ぎ
- 把握している建物・設備の不具合
- 契約不適合責任の範囲や期間
- 解体する場合の担当者・範囲・時期
特に古い空き家では、残置物処分や解体を誰が行うかによって、費用と引渡日が変わります。
「現状渡し」と契約不適合責任は別
「古家付き」「現状渡し」と書かれているだけで、売主の責任が自動的にすべてなくなるわけではありません。
雨漏り、シロアリ、漏水、建物の傾き、過去の修繕、越境など、売主が知っている事情は仲介会社へ伝え、物件状況報告書や設備表、契約書に適切に反映させましょう。
「把握しているが未修理」「調査しておらず不明」「確認済み」は区別して伝えてください。
売主が知りながら買主に告げなかった事実については、免責特約があっても当然に責任を免れるわけではありません。


署名前に、担当者へ「この契約で、売主が引渡しまでにすることは何ですか。追加で必要になる費用はありますか」と確認しておきましょう。
解体の条件と税金の特例を使う条件を混同しない
建物付きで売るか、更地にして売るかは、契約前に決めておきたい事項です。
売主が解体する場合は、どこまで撤去するか、いつまでに工事を終えるかを契約で定めます。買主が売却後に解体する場合も、相続空き家の3,000万円特別控除を利用する予定なら、解体期限や必要書類への協力を事前に確認する必要があります。
売主が解体してから引き渡すのか、建物付きのまま買主へ引き渡すのかによって、売却に必要な費用や準備も変わります。解体を依頼する前に、両方の条件を比較しておきましょう。

STEP6|決済・引き渡しを行う

売買契約で決めた日に残代金の決済を行い、買主へ空き家を引き渡します。
一般的には、次のような手続きを行います。
- 買主から残代金を受け取る
- 売買契約に従って固定資産税・都市計画税などを精算する
- 所有権移転登記に必要な書類をそろえる
- 必要に応じて抵当権を抹消する
- 鍵や引き継ぐ書類を渡す
固定資産税は原則としてその年の1月1日時点の所有者に課税されます。売買時の固定資産税等の精算は、売主と買主の契約上の取り決めによるものです。
住宅ローンなどの抵当権が残っている場合は、決済時に抹消できるよう、金融機関や司法書士と事前に調整します。
売却価格と、手元に残る金額は違う
決済前には、売買代金から実際に何を支払うのか確認しましょう。
空き家売却では、状況に応じて仲介手数料、登記費用、測量費、残置物処分費、解体費、ローン残債などが関係します。
売却価格が高くても、売主が負担する工事費や処分費が多ければ、手元に残る金額は少なくなります。
売却費用とローン残債を含めた手取りを確認する場合は、こちらのシミュレーターで試算できます。

売却後の確定申告も確認する
売却代金の全額に税金がかかるわけではありません。基本的には、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて譲渡所得を計算します。
譲渡所得が生じた場合は原則として確定申告が必要です。また、相続空き家の3,000万円特別控除などを利用する場合は、特例によって税額がゼロになる場合でも確定申告が必要です。
売却の契約書、仲介手数料の領収書、購入時の契約書や領収書などは申告に備えて保管しておきましょう。
相続した実家を売った場合と、以前自分が住んでいた家を売った場合では、利用を検討する税金の特例が異なります。売却後に慌てないよう、自分がどの特例の対象になる可能性があるのか確認しておきましょう。

まとめ|空き家売却は6つの工程で「次に必要なこと」を確認する

空き家を売るときは、査定を依頼する前の名義確認から、買主への引き渡しまで、売主が準備することがいくつもあります。
最初からすべての資料を完璧にそろえる必要はありませんが、誰が売主になるか、買主へ何を伝えるか、引渡しまでに誰が何をするかは途中で曖昧にしないことが大切です。
まずは現在の登記名義と物件の状態を確認し、不動産会社へ査定を依頼するところから始めてください。



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