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管理不全空家・特定空家とは?固定資産税と勧告・行政代執行まで解説

※本記事には広告が含まれます。

「相続した実家について、自治体から手紙が届いた」

「管理不全空家と言われたけれど、すぐに解体しなければいけない?」

「特定空家になると、固定資産税が6倍になるって本当?」

自治体から空き家について通知が届くと、建物を壊さなければならないのか、税金はいくら増えるのかと心配になるかもしれません。

最初に知っておきたいのは、誰も住んでいないだけで、自動的に特定空家等になるわけではないということです。また、自治体から手紙が届いたことと、解体を命じられたことも同じではありません。

一方、適切に管理されていない空き家は、特定空家等になる前の「管理不全空家等」の段階から、自治体による指導・勧告の対象になります。

まずは通知に書かれた問題箇所と対応期限を確認することが大切です。管理不全空家等と特定空家等の違いから、行政措置の流れ、改善後に必要な連絡、売却を考えている場合の進め方まで見ていきましょう。

管理不全空家等と特定空家等は何が違う?

「普通の空き家」「管理不全空家」「特定空家」は何が違う?

空家法では、管理の状態や周囲への影響によって、自治体が取れる措置が異なります。

区分 どのような状態か 主な行政措置
空家等 居住その他の使用がされていないことが常態となっている建物と敷地など 情報提供・助言などによって適切な管理を促す
管理不全空家等 管理が不十分で、そのまま放置すると特定空家等になるおそれがある 指導・勧告
特定空家等 倒壊の危険や衛生・景観・周辺生活環境への深刻な悪影響などがある 助言・指導・勧告・命令・代執行など

2023年12月施行の改正空家法では、特定空家等になる前の段階で管理を促すため、「管理不全空家等」に対する指導・勧告の仕組みが設けられました。

例えば、庭木の越境や建物の傷みを放置していると、現時点では特定空家等に該当しなくても、管理不全空家等として改善を求められる可能性があります。

「まだ特定空家ではないから、何もしなくてよい」とは考えないことが大切です。

特定空家等は、法律上4つの観点で判断される

特定空家等について、空家法では次のような状態が示されています。

観点 状態の例
保安上の危険 建物の著しい傾き、外壁・屋根材・塀などの落下や倒壊のおそれ
衛生上の問題 ごみの放置による悪臭、汚水、害虫・害獣、石綿等の飛散のおそれ
景観への影響 建物の著しい破損・汚損などによる景観の悪化
周辺生活環境への影響 樹木の著しい越境、落雪、不法侵入を招く状態など

ただし、築50年なら特定空家、3年間無人なら管理不全空家、という全国一律の判定ではありません。

国のガイドラインを参考に、建物・敷地の状態や周囲への影響などを踏まえて、市区町村が判断します。

「自分の実家は築年数が古いから、もう特定空家なのでは」と考えるよりも、屋根や外壁、塀、庭木などに具体的な問題がないか確認することが先です。

国土交通省の空家法・ガイドラインは、次の公式ページで確認できます。

国土交通省|空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報

自治体から空き家の通知が届いたら、まず5つ確認する

自治体から空き家の通知が届いたら、まずこの5つを確認する

自治体から通知が届いたら、いきなり解体業者へ電話するのではなく、まず通知書の内容を確認してください。

「何が問題で、どの段階にあり、いつまでに何を求められているのか」を把握することが先です。

確認すること 担当部署へ聞く内容
① 物件の扱い 管理不全空家等・特定空家等のどちらと判断されているか
② 現在の段階 情報提供・助言・指導・勧告・命令のどの段階か
③ 問題箇所 屋根・外壁・塀・樹木・ごみなど、何を問題視しているか
④ 必要な改善 どの部分を、どの程度まで改善する必要があるか
⑤ 対応期限 いつまでに措置や回答が必要か

例えば、庭木が道路へ大きくはみ出していることを指摘されているなら、剪定で改善できる可能性があります。

一方、外壁が落下しそうな状態なら、草刈りや室内清掃をしても問題は解決しません。

危険が差し迫っている場合は、通常の相談日程を待たず、安全確保について自治体や専門業者に連絡してください。

自治体が何を求めているのか分からないまま、全面解体などの高額な工事を契約しないこと。

ただし、周囲に危険が及んでいる場合は、その対策を後回しにしないこと。この両方が必要です。

HOMEくん
HOMEくん
自治体から手紙が来たら、もう解体するしかないと思っていたよ。
先生
先生
通知だけで全面解体と決まるわけではありません。「何を、いつまでに、どの程度改善するか」を先に確認しましょう。通知書は工事を相談するときにも使うので、捨てずに保管してください。

現地を確認したら、写真と記録を残す

自分で現地へ行ける場合は、通知で指摘された場所を撮影し、屋根・外壁・塀・庭木などの状態を記録します。

遠方に住んでいるなら、親族や管理会社、修繕業者に現地確認を依頼する方法もあります。

ただし、倒れそうな塀や崩れかけた建物へ無理に近づかないでください。写真を撮るために危険な場所へ入る必要はありません。

また、通知への回答期限までに工事が完了しそうにない場合も、連絡せず期限を過ぎるのは避けましょう。

見積もりや工事日程を調整していることを担当部署へ伝え、いつまでに何を報告すればよいか確認してください。

指導・勧告・命令・行政代執行はどう進む?

管理不全空家・特定空家になると行政から何をされる?

管理不全空家等と特定空家等では、法律上の措置が異なります。

自治体からの通知が「指導」なのか「勧告」なのかによって、住宅用地特例への影響も変わるため、書面に記載された措置の名称を確認しておきましょう。

管理不全空家等は「指導→勧告」

市区町村は、適切な管理が行われていない空き家について、特定空家等になることを防ぐために必要な措置を指導できます。

指導しても改善されず、そのまま放置すると特定空家等になるおそれが大きいと判断されれば、具体的な改善措置を勧告することがあります。

管理不全空家等への勧告は、住宅用地特例の扱いが変わる分岐点です。

例えば、庭木の剪定や破損部分の補修を求められた場合は、自治体がどの状態まで改善するよう求めているのか確認しましょう。

特定空家等は「助言・指導→勧告→命令→代執行」

特定空家等では、一般的に次の段階で対応が進みます。

段階 内容 所有者が確認すること
助言・指導 修繕・剪定・除却など必要な措置を求める 問題箇所と改善方法
勧告 期限を付けて具体的な措置を求める 期限と住宅用地特例への影響
命令 勧告に正当な理由なく従わず、特に必要がある場合に措置を命じる 命令内容・期限・手続き
行政代執行 一定の条件のもとで自治体が所有者に代わって措置を行う 実施内容と費用負担

命令に違反すると、50万円以下の過料の対象になる可能性があります。

また、行政代執行は「自治体が無料で解体してくれる制度」ではありません。

実施に要した費用は、法律に基づき所有者側へ請求されることがあります。

さらに、災害その他非常の場合に緊急の措置が必要なら、通常の命令等の手続きを経る時間がないときの「緊急代執行」もあります。

所有者を確知できない場合には、略式代執行の仕組みもあります。

「何度通知されても、最終的には自治体が何とかしてくれる」と考えて放置せず、指摘された内容と期限を確認して対応しましょう。

固定資産税への影響は「勧告」が重要

管理不全空家等・特定空家等として市区町村から法に基づく勧告を受け、賦課期日である1月1日までに必要な措置が講じられていない敷地は、固定資産税・都市計画税の住宅用地特例の対象外になります。

ただし、「勧告=今払っている税額が必ず6倍」ではありません。

住宅用地特例は土地の課税標準を軽減する制度です。実際の納税額には、土地の評価や負担調整措置、建物分の税額などが関係します。

また、自治体から一般的な注意喚起や指導を受けたことと、法に基づく勧告を受けたことも区別してください。

勧告の内容や改善状況によって扱いが変わるため、通知書の記載だけでは分からない場合は、空き家対策の担当部署と固定資産税の担当部署へ確認しましょう。

小規模住宅用地の1/6という仕組み、解体後の課税時期、具体的な計算例は次の記事で確認できます。

空き家の固定資産税は6倍になる?解体・勧告後の税額と計算例
空き家の固定資産税は、誰も住まなくなっただけで6倍になるわけではありません。住宅用地特例の仕組み、土地評価額1,200万円の計算例、解体後の課税時期、管理不全空家等への勧告による影響を解説します。

勧告後に改善したらどうなる?自治体への連絡と撤回の確認

勧告を受けたら元に戻せる?必要な措置をした後の流れ

「勧告を受けたら、もう元に戻せないのでは」と心配になるかもしれません。

必要な改善を行った場合は、まず勧告した自治体へ連絡してください。

一般的には、次のように進めます。

  1. 通知・勧告で求められた改善内容を確認する
  2. 必要な修繕・剪定・清掃・除却などを行う
  3. 工事後の写真や書類を保管する
  4. 自治体へ改善したことを連絡する
  5. 自治体による改善状況の確認を受ける
  6. 勧告が撤回されたか、ほかに必要な対応があるか確認する

例えば、庭木の越境について勧告を受け、業者へ依頼して剪定した場合は、作業が終わったことを担当部署へ伝えましょう。

剪定前後の写真や請求書などを残しておくと、改善状況を説明しやすくなります。

重要なのは、工事を終えただけで、勧告や住宅用地特例の扱いが自動的に元へ戻るとは限らないことです。

自治体が必要な措置を確認して勧告を撤回した場合、固定資産税の担当部署が、その後の賦課期日時点の状況などを踏まえて住宅用地特例の適用可否を判断します。

なお、建物を全面解体して更地になった場合は、危険な空き家自体はなくなっても、原則として住宅の敷地ではなくなります。

「勧告の問題が解決した」と「住宅用地特例を受けられる」は別の話です。

改善工事を始める前に、どこまで措置をすればよいかを自治体とすり合わせておくと、工事後の確認も進めやすくなります。

特定空家になる前に、所有者が確認しておきたいこと

特定空家になる前にできる4つの対策

まだ自治体から通知が来ていなくても、次のような状態があれば放置せず確認しましょう。

  • 屋根材や外壁が剥がれ、落下するおそれがある
  • 建物・塀・門・擁壁などに傾きや大きなひび割れがある
  • 庭木が道路や隣地へ大きくはみ出している
  • ごみ・残置物による悪臭や害虫・害獣の問題がある
  • 窓や玄関が壊れ、不法侵入されやすい状態になっている
  • 近隣から具体的な苦情を受けている

この項目に何個当てはまるかで、管理不全空家等・特定空家等と判定できるわけではありません。

ただし、屋根材が今にも道路へ落ちそうな場合などは、1項目でも早急な対応が必要です。

家の中に大量の家財やごみが残っていて、片付けが必要な場合は、処分する範囲を決めてから見積もりを取りましょう。

ぽいみつでは、不用品回収・空き家清掃・遺品整理などの業者の見積もりを比較できます。金額だけでなく、追加料金や処分する物の範囲も確認してください。

ぽいみつ

遠方で現地確認や換気・通水を続けるのが難しいなら、管理サービスを利用する方法もあります。

ただし、管理会社へ見回りを依頼することと、指摘された危険箇所を修繕することは別です。

外観の確認だけでよいのか、室内まで見てもらう必要があるのか、草刈りなどの作業も頼みたいのかによって料金が変わります。

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また、近隣から苦情を受けた場合は、内容を確認して早めに対応しましょう。

庭木の越境や外壁の破損など、どこに問題があるのか分かれば、必要な業者や作業の範囲も考えやすくなります。

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管理不全空家・特定空家でも売却できる?修繕・売却・解体の進め方

特定空家・管理不全空家でも売却はできる?

管理不全空家等や特定空家等になったからといって、不動産の売買そのものが一律に禁止されるわけではありません。

ただし、売却するつもりだから、自治体への対応は何もしなくてよいというわけでもありません。

売却には買主探しや契約の時間がかかります。その間に屋根材が落下したり、庭木がさらに越境したりする可能性もあります。

安全面の問題があれば、買主が決まるのを待たず、必要な対策を進めてください。

自治体から届いた通知書は不動産会社にも見せる

売却を相談するときは、自治体から届いた通知書と、担当部署へ確認した改善内容・対応期限を不動産会社へ伝えましょう。

あわせて、次の事情も確認します。

  • 相続登記や共有者の合意に問題がないか
  • 土地の接道・再建築の可否はどうか
  • 境界や塀・樹木の越境がないか
  • 雨漏り・腐朽・傾きなど把握している不具合は何か
  • 買主へ引き渡すまでに、誰がどの措置を行うか

「古家付き」「現状渡し」として売る場合も、把握している行政からの指摘や建物の不具合を仲介会社へ伝え、契約条件に反映させてください。

例えば、自治体から外壁の補修を求められているのに、売主と買主のどちらが対応するのか決めないまま契約すると、引き渡し前後のトラブルにつながります。

売却の流れを確認し、買主が決まるまでに必要な準備を整理しておきましょう。

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相続登記や共有者の合意が必要な場合は、誰が売主になるのかも早めに確認しておきたいところです。

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「直して売るか、解体して売るか」は、自治体が求める措置を確認してから

今後住む予定がなく、売却を考えている場合は、現状で売る方法と、必要な措置をした後に売る方法を比較します。

ただし、自治体から危険箇所の改善を求められているときは、単に査定価格の高い方を選ぶだけでは足りません。

状況 先に確認すること
庭木の越境など部分的な問題 剪定などで改善できるか
屋根・外壁・塀に危険がある 安全確保と必要な補修の範囲
建物の利用が難しく、今後も使わない 除却の必要性と、古家付き・更地の売却条件
解体後に建て替えできるか不明 解体前に接道・道路種別などを調査する

例えば、庭木の越境が問題なら、剪定で改善できる可能性があります。

一方、建物の傷みが深刻で今後も利用する予定がない場合は、解体して売る方法も比較対象になります。

ただし、今家が建っている土地でも、解体後に同じような建物を建てられるとは限りません。

自治体が求める安全対策を確認したうえで、建物付きで売る場合と更地で売る場合の条件を比べましょう。

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解体する方針が決まった場合は、自治体の補助金が使えるかを工事契約前に確認してください。

補助金の制度によっては、交付決定前に業者と契約しただけで対象外になる場合があります。

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空き家の解体・改修・活用で使える補助金は自治体ごとに異なります。探し方、申請条件、交付決定前の契約・着工、後払いと自己負担の考え方まで確認できます。

そのうえで、建物本体だけでなく、塀・庭木・残置物など、自治体から改善を求められた部分が見積書の対象に含まれているか確認しましょう。

解体無料見積ガイドで解体費を比較する

解体費は建物の構造や広さだけでなく、道路の幅や重機の搬入条件、追加撤去の有無によっても変わります。

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今後の使い方が決まっていない場合も、行政への対応は先に進める

相続人同士で、実家を売るか残すか決まっていない場合もあるでしょう。

その場合は、危険箇所への対応と、今後の利用方針を分けて考えてください。

売却・活用・解体の比較は進めつつ、自治体から求められた措置の期限を放置しないことが必要です。

例えば、兄弟で売却の話し合いを続けている間も、落下しそうな屋根材や道路へはみ出した庭木については対応が必要になる場合があります。

売却するか、改修して活用するか、解体するかという方針が決まるまでの間も、安全確保に必要な措置については自治体と相談を続けましょう。

売却査定・活用・リノベーション・建て替え・解体などの方法を比較したい場合は、次のサービスも選択肢になります。

ただし、このサービスが行政の勧告を撤回したり、必要な措置の内容を決定したりするものではありません。自治体への対応と、今後の活用方法の検討は分けて進めてください。

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まとめ|通知が届いたら「段階・問題箇所・期限」を確認する

特定空家は「固定資産税6倍」だけで判断しない

管理不全空家等・特定空家等は、単に誰も住んでいない家を指す言葉ではありません。自治体が建物や敷地の状態、周囲への影響などを踏まえて判断するものです。

自治体から通知が届いたら、何が問題で、指導・勧告などのどの段階にあり、いつまでに何を求められているかを確認してください。

庭木の剪定や一部の補修で対応できる場合もあれば、安全確保のために早急な措置が必要な場合もあります。

改善した場合も、工事が終わったところで止めず、自治体へ連絡して勧告の扱いを確認しましょう。

売却を考えているなら通知書を不動産会社に見せ、必要な安全対策を進めながら、現状売却・修繕後の売却・解体後の売却を比較してください。

「通知が来たからすぐ解体する」「売る予定だから何もしない」のどちらでもなく、指摘された問題への対応と、実家を今後どうするかを分けて考えることが大切です。

当サイトが、人気ブログランキングの「戸建て部門」でランキング1位になりました!これからも丁寧に分かりやすく情報をお伝えしていきます。

この記事を書いた人

名前:早坂

プロフィール:不動産のプロである現役の宅地建物取引士(令和6年11月26日合格・令和7年5月7日宅地建物取引士資格登録あり)。また

  • マンション管理業協会 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 国家資格ファイナンシャル・プランニング技能士2級
  • ファイナンシャル・プランニング(資産設計提案業務・生保顧客資産相談業務)
  • 日本商工会議所主催 簿記検定2級

など、その他の不動産に関連する国家資格も多数保有するだけでなく、FPや簿記などお金や企業経営、財務分析の知識も活用しながら、わかりやすく、公平かつ正確な情報の提供に努めています。

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