「地主から更新料100万円と言われたけれど、払う義務はある?」
「これを払わなければ借地権はなくなる?」
毎月の地代とは別に、突然まとまった金額を求められたら、どう返事をしてよいか迷いますよね。
借地権の更新料には、全国共通の法定料金も、更新のたびに必ず払うという一律の決まりもありません。
一方、借地契約の特約や以前の更新時の合意によっては、支払いが必要な場合もあります。「請求されたから払う」「法律に決まりがないから払わない」と即答する前に、親の代からの契約も含めて確かめましょう。
更新料を請求されたら、まず払う約束があるのか、金額はどう決まったのか、いつ支払うのかを確認します。一括で払えない場合や、今後その家に住まない場合の考え方も見ていきましょう。
借地権の更新料とは?請求されたら最初に確認すること

更新料は、借地契約を更新するときに地主へ支払う一時金です。毎月の地代とは違い、どの借地でも決まった額を払うものではありません。借地権を売る際の譲渡承諾料や、建て替え時の承諾料とも、請求される場面が異なります。
| 費用 | まず確認する書類・場面 |
|---|---|
| 更新料 | 当初の借地契約・更新時の合意書・請求書 |
| 地代 | 土地を利用する間の継続的な支払い。増減請求の制度は別 |
| 譲渡承諾料 | 土地賃借権を第三者へ売るときの承諾条件 |
| 建て替え承諾料 | 増改築制限や借地条件に関する地主との合意 |
例えば「更新料100万円、地代は月3万円」と言われたら、100万円を払う約束があるかと、毎月の地代が今後どうなるかは別々に確かめましょう。地代も値上げすると言われている方は、次の記事を参考にしてください。


地主さんから「更新料100万円です」と言われたら、すぐ「払います」と返事しないといけないんですか?

まずは「契約書のどこに書かれていますか」「金額はどう計算しましたか」と聞いてみましょう。その場で新しい契約書に署名する前に、内容を持ち帰って確認したいですね。
普通借地権・旧法借地権・定期借地権で更新の前提が違う

更新料について地主と話す前に、今の借地契約が更新できる種類なのかを確かめましょう。契約書の名称だけで判断せず、借り始めた日、以前の更新書面、満了日を見ていきます。
| 借地権 | 更新料を考える前に見る点 |
|---|---|
| 現行法の普通借地権 | 当初の期間と更新後の期間、合意更新か法定更新か、更新料の特約 |
| 旧借地法から続く借地権 | 1992年8月1日より前の設定か、更新歴、従前の取り決め、経過措置 |
| 一般定期借地権 | 更新しない特約・満了日・建物の取壊しや返還条件。普通借地権の更新料と同じ前提にしない |
現行法の普通借地権では、当初の期間は原則30年、最初の更新後は原則20年、その後は原則10年です。契約でそれより長く定めることもできます。ただし、30年・20年・10年という数字は、更新料の金額や支払義務を決めたものではありません。
一般定期借地権は、原則として期間満了で終了する契約です。「更新料を払えばそのまま住み続けられる」とは考えず、元の契約書で満了日や返還条件を確かめましょう。
参考:借地借家法3~6条・22条・附則、国土交通省「定期借地権の解説」
更新料100万円・200万円は妥当?金額を確認する4つの資料

「借地権価格の5~10%が目安」と聞くと、100万円や200万円でも仕方がないと思うかもしれません。しかし、全国共通の法定料金ではなく、提示された割合だけで今回の請求額を判断することはできません。仮に借地権価格が2,000万円なら5%で100万円、10%で200万円ですが、その2,000万円は何を根拠にした金額なのかも確かめる必要があります。
更新料の通知が届いたら、できれば次の4つを手元にそろえましょう。
| 資料 | 確認する質問 |
|---|---|
| ① 当初の借地契約書 | 「更新料を支払う」と書いてあるか。金額・割合・算定の基礎は具体的か |
| ② 過去の更新契約書・領収書 | いつ、いくら、何に合意して支払ったか。今回と条件は同じか |
| ③ 今回の請求書・新しい更新契約書案 | 何を基礎に請求額を出したか。地代・期間・譲渡・建て替えの条件も変わるか |
| ④ 査定・土地価格などの根拠資料 | 更地価格なのか借地権価格なのか。評価時点や計算方法は何か |
契約書に「相当額を支払う」としか書かれていない場合や、前回も更新料を払っている場合でも、今回の請求額まで当然に決まるとは限りません。どんな約束をしてきたかによって扱いは変わります。計算の根拠が分からなければ、更新契約書に署名する前に書面で説明を求めましょう。
請求額の計算に「借地権割合」が使われているなら、相続税の評価額と売買での査定額の違いも知っておきたいところです。借地権の税務上の評価はこちらです。

実際に売るとしたらいくらになるのか、査定額の考え方はこちらで確認できます。

参考:不動産適正取引推進機構「土地賃貸借に関する紛争・裁判例」

100万円の根拠だけでなく、新しい契約の中身も見た方がいいんですね。

そうなんです。100万円を払うかどうかに目が向きますが、毎月の地代が上がったり、将来の建て替えの条件が変わったりすることもあります。前の契約書と並べて読んでみましょう。
更新料を払わないと借地権はなくなる?特約と法定更新を分ける

更新料を払わなかったその日に、すべての借地権が自動的に消滅するわけではありません。ただし、更新料を払うと明確に約束しているのに、請求を放置してよいわけでもありません。「更新料を払う義務」と「借地契約が更新されるか」は、分けて考えましょう。
更新料の支払義務があるか
借地契約の特約や別紙の合意書、以前の更新で交わした書類を見返します。金額や支払義務に納得できなければ、地主に「どの条項による請求で、どう計算した金額ですか」と尋ね、回答を残しておきましょう。
更新料の金額でもめている間も、争いのない地代の支払いは自己判断で止めないようにしましょう。地代の滞納まで重なると、問題が増えてしまいます。
契約が更新されるか
普通借地権では、期間満了時に借地上の建物があって更新を請求した場合や、満了後も土地を使い続ける場合などについて、借地借家法5条に更新の仕組みがあります。地主が更新に異議を述べる際には、6条の正当事由が関わります。
ここで注意したいのは、法定更新になれば、特約で約束した更新料も必ず不要になるとは言い切れないことです。合意による更新か法定更新か、特約がどちらの場合を想定しているかを確かめます。旧法借地権や定期借地権にも、そのまま同じ説明を当てはめないようにしましょう。
すでに契約解除や明渡しを求める通知が届いているなら、契約書と請求書を持って弁護士へ相談しましょう。「払えないからすぐ退去するしかない」「法定更新があるから返事をしなくてよい」と、どちらかに決めつけないことが大切です。

法定更新になるなら、更新料の請求には返事をしなくてもいいんですか?

返事をせずに放っておくのは避けましょう。契約が続くかどうかと、更新料を払う約束があるかは別の話です。請求の根拠に疑問があれば、まず書面で確認したいですね。
更新料が高い・一括で払えないときは、支払条件と将来費用を比べる

契約を確認したうえで、更新料を一度に用意するのが難しければ、支払期限が来る前に地主へ相談しましょう。必ず分割にしてもらえる、減額してもらえるという権利があるわけではありませんが、いくらを、いつ、何回に分けて払うかを話し合い、合意した内容を書面に残す方法があります。
- 支払義務に争いがあるのか、金額だけか、資金不足かを切り分ける。
- 契約書・過去の領収書・今回の請求の計算資料をまとめる。
- 支払額、分割する場合の回数・日程、遅れた場合の扱いを協議する。
- 新しい更新契約書案で地代・期間・増改築・譲渡の条件まで変わらないか確認する。
更新料を払うために高金利の借入れをしても、その後の地代や修繕費まで払えなくなっては困ります。更新後も住み続けられる家計か、今後の負担まで考えておきましょう。
仮定例:更新料150万円、地代月3万円で10年住む場合
地代が変わらなければ、3万円×12か月×10年=360万円。更新料150万円と合わせると510万円です。建物の税金・保険・修繕費は、さらにかかります。ただし、510万円かかるから手放した方が得、とは限りません。引っ越せば新居の家賃や購入費用も必要になるからです。
| 更新して住む | 手放して転居する |
|---|---|
| 更新料、今後の地代 | 新居の家賃・購入諸費用 |
| 建物の維持・修繕 | 引っ越し・新居の維持費 |
| 将来の更新・返還条件 | 売却時の手取り・譲渡承諾料等 |
相続したまま誰も住んでいない家なら、更新料を払って保有するほかに、売却する場合の条件も調べてみましょう。ただし、更新料を請求されたからといって、すぐ地主へ無償返還や解体を約束しないこと。借地権や建物に売却できる価値が残っているかもしれません。
仲介で買主を探すか、地主や専門会社に売るか。売却方法を整理したい方は、こちらから確認できます。

直接買取を考えている方は、買取会社との契約条件や査定額の見方も参考にしてください。

地主が第三者への売却を認めてくれない場合は、こちらで対応方法を確認できます。


払えるとしても、今後10年の地代や家の修繕費まで考えないといけないんですね。

そうですね。今の家に何年住みたいか、その間にいくらかかるかを出してみましょう。手放す場合も、新居の費用と売却で残る金額を比べると、考えやすくなりますよ。
相談先を分ける|請求の争いは弁護士、価格と売却は不動産会社

「この更新料を払う義務があるのか」「払わなければ出て行くよう言われた」といった契約上の争いは、弁護士に相談しましょう。一方、更新後も住むか迷っていて、売った場合の価格を知りたいなら、借地権の取引に慣れた不動産会社が相談先です。
東京・神奈川・埼玉・千葉の借地権で、地主との調整を含めて売却方法を考えたい方は、次の相談窓口も候補になります。受付地域や相談できる範囲を確かめておきましょう。なお、更新料の請求を巡る紛争の代理は弁護士の仕事で、不動産会社への売却相談とは別です。
「長く買主を待てない」「借地権付きの古い家をそのまま手放したい」という方は、専門会社の直接買取も比べてみましょう。査定額だけでなく、地主との調整や承諾料、引渡し条件を誰が負担するかも確認したいところです。
まとめ|更新料の請求は「条項・金額・支払期限」の順に確認

更新料を請求されたら、まず借地権の種類と満了日を確認し、元の契約書、以前の更新時の書類、今回の請求書を並べましょう。更新料を払うかどうかと、地代の改定や建て替え・譲渡の新しい条件に合意するかは、一度に決めないようにしたいところです。
支払義務に疑問があれば契約書を持って弁護士へ。支払う約束があっても一括で用意できないなら、期限前に地主へ相談しましょう。今後その家に住まない場合は、地代や維持費と、売却した場合の手取りを比べてから判断してください。
※本記事は不動産・法律・家計に関する一般的な情報提供です。更新料特約の解釈や解除・明渡しの争いは、契約書と個別事情に基づく判断が必要です。


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