「相続した実家が遠方にあり、なかなか様子を見に行けない」
「売るか残すか決まっていないけれど、その間ずっと放置しても大丈夫?」
そんなときに検討したいのが、所有者に代わって定期的に建物や敷地を確認してくれる空き家管理サービスです。
ただし、同じ「空き家管理」でも、外から見回るだけのプランと、鍵を預けて室内の換気・通水・清掃まで行うプランでは、料金も作業内容も違います。
一番安い会社を探す前に、自分の空き家に何をしてほしいのかを決めることが大切です。
空き家管理サービス4社の料金と作業範囲を比較しながら、自分で管理する場合の費用や、契約前に確認したい鍵・補償・解約条件を見ていきましょう。
売却や活用の方針が決まっていない場合に、いつまで管理を続けるのかという判断についても取り上げます。
空き家管理サービス4社を比較|料金と作業範囲の違い

まずは、作業内容の異なる4サービスを比較してみましょう。
| サービス | 月額料金例(税込) | 基本となる作業・特徴 |
|---|---|---|
| NPO法人 空家・空地管理センター | 2,750円~ | 外観・草木・ポストの確認と写真報告。室内管理は月6,600円のプラン |
| 郵便局の空き家みまもり | 4,280円 | 月1回の外観・庭木・郵便受けなどの確認。通風・通水は月5,000円の追加オプション |
| HOME ALSOK るすたくサービス | 7,700円~ | 月1回の見回り・投函物整理。防犯付きは月11,000円、換気付きは月18,700円 |
| ダスキン 空家点検サービス | 戸建て15,400円 | 月1回、室内清掃・通水・建物点検などを行う |
※各社公式サイトで確認した料金例です。建物の大きさ・所在地・オプション・契約条件により異なる場合があります。申込み時には最新の料金と対応エリアを確認してください。
外観を月1回確認してほしいだけなら、室内清掃やホームセキュリティまで付いたプランは必要ないかもしれません。
反対に、数年後に家族が住む予定で室内の状態も気になるなら、外観だけの巡回では不足する場合があります。
月額料金に差があるのは、単に会社によって価格設定が違うからではありません。どこまで家に入って、何を確認・作業してくれるのかをそろえて比較する必要があります。


NPO法人 空家・空地管理センター|外観中心と室内管理の2プラン
NPO法人 空家・空地管理センターの「空き家あんしん管理」は月額2,750円(税込)です。
月1回の巡回で、建物外観・草木の目視確認、ポスト掃除、写真付き報告、近隣クレームの一次対応などを行います。
室内まで確認してほしい場合は、月額6,600円(税込)の「空き家あんしん管理プラス」があり、換気・通水・室内の目視確認などが加わります。
例えば、遠方の実家を売るまでの間、雑草や外壁の状態、郵便物のたまり具合を確認してほしいなら、外観中心のプランを検討できます。
一方、数年後に家族が住む予定なら、室内まで確認してもらう方が目的に合うかもしれません。
補償が付帯する点も特徴ですが、補償対象・限度額・対象外となる事故は契約前に確認してください。
また、サービス提供エリアは限られます。対象都道府県でも利用できない地域があるため、まず空き家の所在地が対象かを確認しましょう。
公式サイト:NPO法人 空家・空地管理センターの管理サービス
郵便局の空き家みまもり|月1回の外観確認を基本に追加する
「郵便局の空き家みまもり」は、月額4,280円(税込)です。
月1回、住宅外観・庭木・雑草・郵便受け・施錠・不法投棄・越境物などを確認し、最大5枚の写真付き報告書で知らせてもらえます。
基本プランは外からの見回りが中心です。
室内の通風・通水も必要なら、月額5,000円(税込)の追加オプションがあります。
通風・通水まで利用すると、基本料金と合わせて月額9,280円(税込)になります。
郵便物の転送や臨時見回りなども別料金です。
郵便受けの確認と郵便物の転送は同じ作業ではないため、実家に届いた郵便物を自宅へ送ってほしい場合は、転送サービスの料金も確認しておきましょう。
全国で提供されていますが、離島や物件の立地・状態などによって対応できない場合があります。
公式サイト:郵便局の空き家みまもり
HOME ALSOK るすたくサービス|防犯まで考える場合の候補
ALSOKの「HOME ALSOK るすたくサービス」は、月1回の見回りと投函物整理を行うサービスです。
料金と作業内容は、プランによって変わります。
| プラン | 月額(税込) | 主な内容 |
|---|---|---|
| るすたくサービス | 7,700円 | 月1回の見回り・投函物整理 |
| るすたくセキュリティパック | 11,000円 | 上記+侵入・火災検知、警備員の駆けつけ |
| セキュリティパック+換気 | 18,700円 | 上記+換気・通水・建物内外の目視確認 |
単に月1回見回ってほしいだけなら、ほかの管理サービスと作業範囲をそろえて比較しましょう。
一方、人がいない実家の不法侵入や火災への備えも必要なら、防犯付きプランを検討する意味があります。
ただし、防犯付きのプランと、定期的に室内を清掃・点検するプランでは役割が異なります。
防犯対策に加えて換気や通水も必要なら、それらが含まれるプランの料金まで確認してください。
るすたくサービスは1年契約で、その後は1年単位の自動更新と案内されています。
数か月後に実家を売却する予定なら、売却時に途中解約できるのか、解約費用はかかるのかを契約前に確認しておきたいところです。
公式サイト:HOME ALSOK るすたくサービス
ダスキン 空家点検サービス|室内清掃まで任せたい場合
ダスキンの空家点検サービスは、室内の清掃・点検に重点を置いています。
月1回の標準料金は、次のとおりです。
- 一戸建て(延べ床面積120㎡未満):15,400円(税込)
- マンション(100㎡未満):13,200円(税込)
床の掃除機・モップがけ、玄関やベランダの清掃、トイレ便器内部の洗浄、窓・扉の動作や施錠の確認などを行います。
建物を残して将来また使う予定があり、外観だけでなく室内の状態も維持したい場合は候補になります。
ただし、水道・電気の契約を止めていると、通水や掃除機を使う清掃ができない場合があります。
管理料金だけで比較せず、水道・電気の基本料金を残す必要があるかも確認しましょう。
また、建物の広さが標準料金の対象条件を超える場合や、通常の点検以外の作業を希望する場合は、別途見積もりになることがあります。
公式サイト:ダスキン 空家点検サービス
空き家管理サービスに頼めること・頼めないこと

管理サービスを選ぶ際に、料金と同じくらい重要なのが「状態を見るだけか、実際に作業してくれるのか」という違いです。
例えば、庭の草が伸びていないか確認してくれても、草刈りまでは契約に含まれていない場合があります。
同じように、雨漏りを発見して報告してくれても、その場で修理までしてくれるとは限りません。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 建物外観 | 屋根・外壁・窓などを外から見るだけか |
| 草木 | 伸び具合の確認だけか、草刈り・剪定まで行うか |
| 郵便受け | 投函物を整理するか、所有者宅へ転送するか |
| 室内 | 鍵を預けて入り、雨漏りやカビなどを確認するか |
| 換気・通水 | 基本料金に含まれるか、追加料金か |
| 写真報告 | どの箇所を撮影し、どの方法で送るか |
| 災害後 | 臨時巡回があるか、何日後に対応できるか |
特に遠方の実家では、報告を受けても自分ですぐ現地へ行けないことがあります。
雨漏りや外壁の破損が見つかった場合に、管理会社が修理業者を紹介してくれるのか、所有者が自分で探す必要があるのかも聞いておきましょう。
空き家管理サービスの役割は、家が劣化しないことを保証することではなく、異常を発見する機会をつくることです。
報告を受けたあとに補修や剪定をするか判断するのは、基本的に所有者側です。
近隣から草木の越境や建物の破損について連絡が来た場合も、管理会社がどこまで対応してくれるのかを確認しておく必要があります。

また、管理サービスを契約しただけで、管理不全空家等・特定空家等にならないことが保証されるわけではありません。
自治体から指導や勧告などの通知が届いた場合は、管理会社へ任せたままにせず、所有者自身も求められている対応を確認してください。

空き家管理サービスが向いている人・自主管理でもよい人

有料の空き家管理サービスを検討したいのは、次のようなケースです。
- 実家が遠方で、必要な頻度で現地へ行けない
- 仕事や介護などで管理の時間を確保しにくい
- 相続人同士で今後の使い方が決まるまで、状態を確認しておきたい
- 売却活動中で、内覧や契約まで建物を維持したい
- 庭木や郵便物、防犯面を定期的に見てほしい
反対に、自宅から近く、自分や家族が継続して見回り・掃除・草木の手入れをできるなら、有料サービスが必須とは限りません。
ただし、「行こうと思えば行ける」と「何年間も必要な頻度で行ける」は違います。
例えば、相続した直後は頻繁に実家へ通えていても、仕事や家族の事情で次第に足が遠のくこともあります。
月1回の管理が負担になっているなら、すべてを業者へ任せる必要もありません。
定期巡回だけ依頼し、草刈りは必要な時期に別の業者へ頼むなど、作業を分ける方法もあります。
自分でできることと、遠方にいるため難しいことを整理してから、必要なサービスを選びましょう。
管理料金は「月額」より年間総額と自主管理の費用で比較する

月額料金だけでなく、1年間、3年間でいくら支払うのかまで考えておきましょう。
月額数千円なら負担が小さく感じても、何年も管理を続ける場合はまとまった金額になります。
今回比較した4サービスの基本料金を年間にすると、次のとおりです。
| サービス・基本プラン | 月額(税込) | 年間(税込) |
|---|---|---|
| NPO法人 空家・空地管理センター | 2,750円 | 33,000円 |
| 郵便局の空き家みまもり | 4,280円 | 51,360円 |
| HOME ALSOK るすたくサービス | 7,700円 | 92,400円 |
| ダスキン 空家点検サービス(一戸建て) | 15,400円 | 184,800円 |
※月額×12か月の単純計算です。各社で作業範囲は異なり、オプションや別途費用は含めていません。
例えば、郵便局の空き家みまもりで通風・通水も頼むなら、月額9,280円、年間111,360円です。
外観だけの基本プランとは、年間の支払いも管理内容も変わります。
さらに、物件によっては次の費用も必要です。
- 草刈り・庭木の剪定
- 郵便物転送・臨時巡回
- 不用品処分や大規模清掃
- 修繕費
- 水道・電気の基本料金
管理サービスの月額料金だけを比べても、実際の年間負担は分かりません。
実家に必要な作業を一通り書き出し、基本料金に含まれない費用も含めて比較しましょう。
自分で管理する場合は、交通費も比較する
遠方の実家まで往復1万円かかり、年6回通うなら、交通費だけで年間6万円です。
月5,000円の管理サービスも年間6万円なので、金額だけなら同程度になります。
ただし、自分で管理する場合は、現地で清掃や庭の手入れをする時間も必要です。交通費以外に、草刈り道具や処分費などがかかる場合もあります。
一方、有料サービスにも、基本料金に含まれない作業があります。
例えば、月1回の外観確認を頼んでいても、草刈りや室内清掃が別料金なら、その費用も考えなければなりません。
管理費と交通費のどちらが安いかだけでなく、同じ作業を何年続けられるかで比較しましょう。
契約前に確認したい鍵・補償・再委託・解約条件

空き家管理サービスは、料金表だけで契約を決めない方がよいサービスです。
特に室内に入ってもらう場合は、家の鍵を第三者へ預けることになります。
また、数か月後に売却する予定なら、サービスをいつまで利用できるかだけでなく、途中で解約できるかどうかも重要です。
契約前には次の項目を確認しておきましょう。
| 確認項目 | 契約前に聞くこと |
|---|---|
| 鍵の管理 | 誰が保管し、紛失時はどう対応するか。終了時の返却方法は? |
| 再委託 | 自社スタッフが訪問するか、提携会社・地域の業者が担当するか |
| 作業範囲 | 報告のみか、清掃・草刈り・転送まで行うか |
| 異常時の連絡 | 雨漏りや破損を見つけたら、誰へ、どの方法で連絡するか |
| 災害時 | 臨時巡回の料金と訪問可能時期。対応できない条件は? |
| 修繕 | 業者紹介は可能か。所有者の承諾なしに発注する作業はあるか |
| 補償 | 何が対象で、限度額と免責事項はどうなっているか |
| 契約期間 | 最低契約期間、自動更新、解約期限、途中解約の費用は? |
例えば、台風の翌日に実家の様子を確認してほしくても、通常の月1回巡回とは別料金だったり、すぐには訪問できなかったりする場合があります。
「月1回管理してもらえる」という説明だけでなく、通常の巡回日以外に何か起きたときの対応も聞いておきましょう。
補償についても、建物自体の損害、第三者への損害賠償、鍵の紛失など、何が対象になるのかは契約内容によって異なります。
補償付きという言葉だけで判断せず、対象となる事故と対象外になる事故まで確認してください。
管理契約と売却の媒介契約は別
実家をいずれ売却する予定なら、もう一つ区別しておきたいことがあります。
空き家の「管理契約」と、不動産を売却するための「媒介契約」は別の契約です。
管理会社から「売却しませんか」「提携している不動産会社を紹介します」と案内されることもあります。
ただし、管理を頼んだからといって、売却まで同じ会社や紹介先に任せる必要はありません。
例えば、長年管理を依頼していて実家の状態をよく知っている会社でも、売却査定や販売活動については別の不動産会社の方が条件に合う可能性があります。
売却を考え始めたら、査定価格の根拠や販売方法を改めて比較しましょう。
不動産会社への査定依頼から媒介契約、引き渡しまでの流れは、次の記事で確認できます。

空き家管理はいつまで続ける?売却・活用へ切り替える判断

空き家管理サービスは、建物を使わない期間の状態確認には役立ちます。
ただし、何年も管理費を払い続けるなら、そもそも実家をいつまで残す予定なのかも考えておきたいところです。
| 今後の予定 | 管理サービスの使い方 |
|---|---|
| 売却活動中 | 引き渡しまでの一時的な管理として利用する |
| 数年後に家族が住む | 室内を含め、将来の利用に必要な作業を選ぶ |
| 売るか貸すか決まっていない | 一時的に管理しながら、売却価格・賃貸収支を確認する |
| 誰も使う予定がない | 年間保有費用を出し、売却・活用などの出口も検討する |
例えば月5,000円なら、3年間で18万円、5年間で30万円です。
ここに固定資産税、保険、草刈り、修繕なども加わります。
家族の思い出があるから実家を残したい、という考えもあるでしょう。
その場合も、何年間、誰が、いくら負担して管理するのかまで決めておくと、今後の方針を見直しやすくなります。
特に兄弟姉妹など複数の相続人がいる場合は、一人だけが管理費を払い続けることにならないよう、負担の分け方も話し合っておきたいところです。
ふるさと納税の返礼品として見回りを頼める地域もある
空き家の所在地によっては、ふるさと納税の返礼品として、シルバー人材センターなどによる見回りを用意している自治体もあります。
定期契約をするほどではなく、年に数回だけ外観を確認してほしい場合には、こうした方法も比較対象です。
例えば、普段は自分で管理できるものの、遠方で冬の間だけ実家へ行きにくい場合などは、必要な時期に利用できる返礼品がないか調べてみてもよいでしょう。
ただし、ふるさと納税なら無料で管理できるという意味ではありません。
寄附額、利用条件、返礼品の受付状況、見回りの回数や作業範囲を確認してください。
売却・賃貸・解体で迷っているなら、管理サービスとは別に比較する
実家を残すか手放すか決まっていない場合は、ひとまず管理を続けながら、今後の使い方を検討することもできます。
ただし、管理サービスは建物の状態を確認・維持するためのもので、実家を売るか貸すかという判断まで代わりに行うものではありません。
タウンライフ 空き家解決は、毎月の見回りや通水を代行する管理サービスではありません。
売却・活用・リノベーション・建て替え・解体など、今後の方法を比較するサービスです。
例えば、実家を管理しながら「今売るといくらか」「貸すなら修繕費はいくら必要か」を調べておけば、家族で今後の方針を話し合う材料になります。
今の家を維持するための管理サービスと、いつまで所有するかを考えるための売却・活用の比較は、目的を分けて利用しましょう。
まとめ|空き家管理サービスは必要な作業と契約条件で選ぶ

空き家管理サービスは、遠方の実家や、売却・活用の方針が決まるまでの空き家を管理する方法の一つです。
今回の4社を比較しても、外観の見回り、室内の換気・通水、清掃、ホームセキュリティでは、作業範囲と料金が大きく違います。
まずは「自分が行けない代わりに、何をしてほしいのか」を決めましょう。
そのうえで、年間総額、鍵の管理、異常時の対応、補償、契約期間と解約条件を確認します。
また、管理を依頼しても、所有者としての判断が不要になるわけではありません。報告を受けたら必要な補修や剪定を検討し、将来使う予定がなければ、管理費を払い続ける期間も見直しましょう。
空き家を残すことと、何も決めずに放置することは別です。
実家を今後どう使うのかが決まるまでの間も、必要な管理を続けながら、家族の予定と年間の負担を整理しておきたいところです。


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