「空き家を解体したいけれど、補助金は使える?」
「相続した実家を直して住む場合も、費用を補助してもらえる?」
空き家の解体・改修・家財整理を考えるとき、まず調べておきたいのが物件所在地の自治体の補助制度です。空き家向けの補助金はありますが、全国どこでも同じ条件・金額で受け取れるわけではありません。
特に注意したいのが、申請と工事契約の順番です。
補助金を利用したいなら、業者との工事契約や着工より先に申請手順を確認してください。制度によっては、交付決定前に契約しただけで対象外になります。
解体・改修・家財整理など、目的によって使える制度も変わります。自分の空き家で利用できる補助金の探し方から、申請手順、最終的な自己負担まで見ていきましょう。
空き家に使える補助金は主に5種類|まず「何をするか」で探す

同じ「空き家補助金」でも、危険な建物の解体を促す制度と、空き家を改修して住めるようにする制度では目的が違います。
まずは、自分が何をしたいのかに合わせて、次の5種類から探してみましょう。
| 種類 | 対象になることがある費用 | 主な確認条件 |
|---|---|---|
| 解体・除却 | 老朽空き家などの解体工事 | 築年数・腐朽や破損・耐震性・空き家の状態 |
| リフォーム・改修 | 屋根・外壁・水回りなどの改修 | 居住・賃貸・空き家バンク登録などの活用条件 |
| 耐震診断・耐震改修 | 診断・補強工事 | 建築時期・構造・診断方法・耐震性 |
| 家財整理 | 家具や家電などの処分 | 売却・活用の予定、対象となる処分費の範囲 |
| 空き家活用・移住定住 | 購入・改修・地域利用に関する費用 | 移住者・空き家バンク・居住年数・事業用途など |
「誰も住んでいない家」なら必ず解体補助の対象になるわけではありません。
老朽化して危険な住宅に限る制度もあれば、まだ使える空き家を改修して移住・定住につなげる制度もあります。
また、建物の解体は対象でも、室内の家財や庭木の処分は対象外という場合があります。
見積書を取る際は、建物・附属建物・塀・庭木・残置物などの費用を分けて記載してもらうと、自治体へ補助対象の範囲を確認しやすくなります。
自治体の実例|同じ解体でも対象建物・補助額・業者条件は違う

解体補助金は、自治体によって補助額だけでなく、対象になる建物や依頼できる業者の条件も違います。
横浜市・神戸市・東京都の制度を例に、どのような違いがあるのか見てみましょう。
| 自治体・制度例 | 公表されている内容の例 | 見落としやすい条件 |
|---|---|---|
| 横浜市「住宅除却補助制度」 | 旧耐震建築物は上限50万円。対象となる新耐震建築物は世帯条件により上限20万円または40万円 | 耐震性の確認が必要。対象地域・対象建築物・市内施工業者などの条件がある |
| 神戸市「老朽空家等解体補助制度」 | 床面積に応じて上限60万円。一定の共同住宅等は上限100万円 | 所定の建築時期、腐朽・破損、撤去範囲などの条件がある |
| 東京都「空き家家財整理・解体促進事業」 | 家財整理は対象費用の2分の1・上限5万円、解体は2分の1・上限10万円 | 東京都空き家ワンストップ相談窓口での相談などが必要 |
※横浜市・神戸市は2026年度に公表された制度、東京都は公式掲載の制度内容を参考例として記載。年度・予算・対象条件により変更や受付終了があるため、実際の申請時には必ず最新の募集要項を確認してください。
公式案内:横浜市・住宅除却補助制度/神戸市・老朽空家等解体補助制度/東京都・空き家家財整理・解体促進事業
例えば横浜市の制度では、工事契約・着手の前に補助金の交付決定が必要です。見積額が100万円以上の工事では2者以上の見積書が必要となるなど、業者を1社に決める前に確認しておきたい条件もあります。
補助金があると分かった段階で業者や工事日程まで決めず、自分の空き家が対象になるか、どの順番で準備すればよいかを先に調べましょう。


自分の空き家で使える補助金の探し方と確認項目

補助金は、原則として自分が今住んでいる住所ではなく、空き家がある市区町村から探します。
遠方の実家を相続した場合も、まずは実家がある自治体の公式サイトを確認してください。
次のような語句で検索すると、目的に合う制度を探しやすくなります。
- 「○○市 空き家 解体 補助」
- 「○○市 老朽住宅 除却」
- 「○○市 空き家 改修 補助」
- 「○○市 空き家バンク 家財 補助」
市区町村のサイトで見つからない場合は、都道府県の制度一覧や、自治体の空き家対策担当・建築担当窓口を確認しましょう。
制度名に「空き家」という言葉が入っていない場合もあります。「住宅除却」「老朽住宅」「移住定住」など、少し検索語句を変えて調べるのも一つの方法です。
制度を見つけたら、上限額より先に8項目を見る
補助金の上限額だけを見て「うちもこれだけ受け取れそう」と判断しないようにしましょう。
募集要項を見つけたら、次の8項目を確認してください。
| 確認項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| ① 建物 | 築年・用途・空き家期間・老朽度・耐震性 |
| ② 申請者 | 所有者・相続人・共有者の同意、税の滞納など |
| ③ 対象費用 | 解体本体・家財・塀・庭木・消費税等の扱い |
| ④ 施工業者 | 市内業者、登録・許可、見積書の必要社数 |
| ⑤ 受付 | 申請期間、予算残額、事前相談や現地調査の要否 |
| ⑥ 契約・着工 | 申請前・交付決定前に何をしてはいけないか |
| ⑦ 完了報告 | 写真・領収書・提出期限・年度内完了の条件 |
| ⑧ 支給 | 補助率・上限額・入金時期・併用制限 |
募集期限がまだ先でも、予算上限に達すると早期終了する制度があります。
また、民間サイトや工事業者の案内で補助金を見つけた場合も、最後は自治体の募集要項・交付要綱・申請の手引きで確認してください。
補助金申請の流れ|見積もり・契約・着工の順番に注意

解体・改修の補助金は、おおむね次のような順番で申請から受け取りまで進みます。
ただし、事前調査の要否や契約できる時期は自治体によって異なるため、実際には利用する制度の手順に従ってください。
- 対象条件・受付状況を確認し、必要なら自治体へ事前相談する
- 自治体の調査や耐震・老朽度判定が必要なら受ける
- 制度に適合する業者から見積もりを取る
- 必要書類をそろえて補助金を申請する
- 交付決定通知を受ける
- 業者と正式契約し、工事を始める
- 工事完了・代金支払い後、実績報告と請求を行う
- 審査後、補助金を受け取る
申請前に契約したら対象外になる制度がある
見積もりを受け取ることと、解体業者へ正式発注することは別です。
横浜市や神戸市の前記制度では、交付決定前の契約・着工が補助対象外になります。
通常の工事なら、見積もりを比較して依頼先を決め、そのまま契約へ進むこともあるでしょう。
しかし、補助金を使う場合は、申請を済ませただけでは契約できない制度があります。
交付決定通知が届くまで、正式な契約や着工をしないよう求められる場合があるため、工事を急いでいるときほど自治体への確認を先に行いましょう。
申請に必要な書類は物件・制度ごとに違う
申請書のほか、登記事項証明書、固定資産税関係書類、位置図、現況写真、工事見積書、共有者の同意書などを求められる場合があります。
工事後は、着工前後の写真、請求書・領収書、実績報告書などが必要になることもあります。
特に写真は、工事が終わってからでは撮り直せないものがあります。施工業者にも補助金を利用する予定だと伝え、必要な写真や書類を確認しておきましょう。
なお、補助金の交付決定は、工事や権利関係の問題がないことの保証ではありません。
共有者の同意、隣地との境界、工事の安全対策などは別途確認してください。
相続した空き家は、名義と解体への同意を確認する
亡くなった親の名義のままでも、相続関係を証明する書類などで申請できる制度があります。
例えば神戸市の老朽空家等解体補助制度では、相続登記が未了の場合に必要な証明書類を定めています。
ただし、相続人が複数いるなら、補助金を申請できるかどうかと、全員が建物の解体に同意しているかは別の問題です。
例えば、兄弟の一人が解体費を負担するつもりでも、ほかの相続人は実家を残したいと考えているかもしれません。
補助金の申請準備を進める前に、誰が所有者になるのか、解体することについて家族の意見が一致しているかも確認しておきましょう。

FP視点|補助金が出ても「後払い」と「対象外費用」を含めて計算する

補助金を利用するときは、受け取れる金額だけでなく、最終的な自己負担額と、工事代金をいつ支払うのかまで確認しておきましょう。
例えば、補助金を50万円受け取れる条件で、2社の解体見積もりを比べたとします。
| A社 | B社 | |
|---|---|---|
| 解体見積額 | 180万円 | 140万円 |
| 補助金(仮定) | 50万円 | 50万円 |
| 最終自己負担 | 130万円 | 90万円 |
※比較用の仮定例です。実際の補助対象額は工事内容や補助率・上限額により異なります。
同じ50万円の補助でも、自己負担には40万円の差があります。
業者に指定がある制度なら、補助対象となる業者の範囲内で見積もりを比較してください。
また、見積額が安くても、塀や庭木の撤去、残置物処分などが別料金になっていれば、最終的な支払額は変わります。金額だけでなく、工事範囲もそろえて比べる必要があります。
工事代金を先に支払う必要があるか確認する
工事が終わってから実績報告・請求を行い、その後に補助金が支給される制度もあります。
仮に200万円の工事で50万円が後日支給される場合、最終負担は150万円でも、工事代金200万円を先に用意する必要があるかもしれません。
「交付決定」=「その日に補助金が振り込まれる」ではありません。
着手金・残金の支払日、実績報告の期限、入金予定日を自治体と業者に確認しましょう。
また、対象外の家財処分や追加工事費、消費税の扱いによっても負担額は変わります。
補助金を差し引いた金額だけを資金計画に入れるのではなく、業者へ支払う工事代金の総額と、補助金を受け取るまでに必要なお金を分けて考えておきたいところです。
解体見積もりの比較では、建物本体の費用だけでなく、追加料金が発生する条件も確認してください。

空き家を解体する前に、売却・改修も比較しておこう

補助金が使えるからといって、必ず解体が有利になるわけではありません。
解体すると土地の住宅用地特例の適用が変わる場合もあり、古家付きのまま購入したい人がいる可能性もあります。
例えば、更地にすることで売却価格が上がっても、解体費用や税負担まで含めると、建物を残して売る方が手元に多く残ることもあります。
古家付きのまま売るか、解体して更地にするかで迷っているなら、売却価格だけでなく、解体費用や契約条件も含めて比較しておきましょう。

また、解体する時期によって固定資産税の負担が変わる場合があります。

相続した空き家を売る場合は、相続空き家の3,000万円特別控除を使えるかどうかも、解体や売却の順番を決める前に確認しておきたいところです。

実家を売るか、貸すか、解体するか、改修して自分で住むか。まだ方針が決まっていない場合は、それぞれにかかる費用や活用の可能性を比べてから判断してもよいでしょう。
タウンライフ空き家解決では、売却や活用など複数の方法について提案を受けることができます。
ただし、タウンライフ空き家解決は自治体の補助金交付を決定するサービスではありません。売却や活用の選択肢を比較するために利用し、補助金を使えるかどうかは物件所在地の自治体で確認してください。
一方、解体する方針が決まっている場合は、補助制度の施工業者・契約時期・見積書の条件を確認してから、解体業者の見積もりを比較しましょう。
まとめ|空き家補助金は「先に自治体確認、契約はそのあと」

空き家の補助制度は、解体・改修・家財整理など、何をするかによって異なります。
まず物件所在地の自治体で、対象建物・申請者・工事内容・施工業者・受付状況を確認してください。
正式な工事契約や着工をする前に、申請と交付決定の順番を確認すること。
そして、補助上限額だけでなく、対象外費用や追加工事費、支給時期も含めて、最終的な自己負担を計算しましょう。
補助金が使えるつもりで契約したのに、申請したら対象外だった。工事代金を支払う時期になって、補助金が後払いだと気づいた。
そうした事態を避けるためにも、工事の発注前に自治体の条件を確認し、補助金が入るまでの資金計画を立てておきたいところです。
また、まだ解体や改修を決めていないなら、補助金の金額だけで方針を選ぶ必要はありません。
空き家を今後どう使うのか、残すのか手放すのかを考えたうえで、その方法に利用できる補助金を探しましょう。


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