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借地権の地代相場はいくら?固定資産税の何倍か・値上げ・供託の対処法を解説

「借地権の地代が月3万円なら高い?」「地主から来月は2倍にすると言われたら、すぐに払わなければならない?」

借地権付き住宅に住んでいると、現在の地代が適正なのか、地主から値上げを求められたらどうすればよいのか、気になることもあるでしょう。

地代には全国一律の料金表がありません。また、地主から値上げを求められても、通知された金額が必ずそのまま確定するわけではありません。

ただし、値上げに納得できないからといって、地代の支払いそのものを止めるのは別の問題です。

地代の相場を考えるときの目安や、値上げ・減額を求められた場合の対応、地主が地代を受け取らない場合の供託まで、借地人の立場から順番に見ていきましょう。

借地権の地代はいくらが相場?固定資産税の何倍かだけでは決まらない

借地権の地代はいくらが相場?固定資産税の何倍かだけでは決まらない

借地権付き住宅では、一般に土地を所有する地主へ土地の使用料である地代を支払い、借地人は自分の建物を所有します。

土地の固定資産税は原則として地主が負担し、建物の固定資産税は建物所有者である借地人が負担します。

ただし、地代は地主が支払う固定資産税と同じ金額になるわけではありません。

現在の地代が高いのか、値上げにどの程度の根拠があるのかを考えるなら、次のような情報を集めておきましょう。

比較するもの 確認する金額・条件
現在の地代 月額・年額、支払日、最後に金額を決めた年月
土地の公租公課 固定資産税と、課税されていれば都市計画税の年額
土地と借地の条件 場所・面積・用途、近隣の地代、借地契約と更新歴
直近の変化 公租公課・土地価格・経済事情・近隣地代の推移

「固定資産税・都市計画税の3~5倍」は簡易目安の一つ

住宅用の借地では、地主が負担する土地の固定資産税・都市計画税の合計年額に対して、地代年額が3~5倍程度という数字が参考にされることがあります。

しかし、この倍率は法律で決められた相場でも、裁判所が適正地代を決める公式でもありません。

例えば、土地の固定資産税・都市計画税の合計が年間12万円だった場合、次のようになります。

税額に対する倍率 年間地代 月額地代
3倍 36万円 3万円
4倍 48万円 4万円
5倍 60万円 5万円

これは倍率によって金額がどれくらい変わるのかを見るための計算例であり、実際の地代や値上げを正当化するものではありません。

「月5万円だから高い」と金額だけで判断することも難しく、何十年も据え置かれてきた地代と、新しく契約する土地の地代をそのまま比べることもできません。

地代の見直しを考えるなら、最後に地主と借地人が金額を決めたときから、土地の税額や価格、周辺の状況がどのように変わったのかを調べることが大切です。

HOMEくん
HOMEくん

地代って、賃貸住宅の家賃みたいなものですか?

先生
先生

似ていますが、家賃は建物を借りるためのお金、地代は土地を利用するためのお金です。借地権付き住宅では、借地人が自分の建物を所有している点が大きな違いですね。

地主は地代を一方的に値上げできる?借地借家法11条の確認点

地主は地代を一方的に値上げできる?借地借家法11条の確認点

地主から突然、地代の値上げ通知が届いたら、借地人はその金額を受け入れなければならないのでしょうか。

借地借家法11条では、土地の公租公課や土地価格、経済事情、近隣の類似した土地の地代などが変化し、現在の地代が不相当になった場合、当事者が将来に向かって増額・減額を請求できると定めています。

例えば、地主から「月3万円の地代を来月から6万円にする」という通知が届いたとします。

この場合も、地主が希望した金額だからといって、無条件にその額で確定するわけではありません。

ただし、借地人が値上げに反対しただけで、地主からの増額請求がなかったことになるわけでもありません。

契約書に一定期間は地代を増額しない特約がある場合は、その取り決めも確認しておきたいところです。

また、契約書に地代の見直し時期が書かれていても、地主からの通知、双方が合意した改定、借地借家法11条に基づく増減請求は、それぞれ扱いが異なります。

値上げの通知が届いたら、まず契約書と請求内容を見比べ、地主がどのような理由で増額を求めているのか把握しましょう。

参考:借地借家法11条(e-Gov法令検索)

地代の値上げ通知が来たら、契約・根拠・支払額を順番に確認する

地代の値上げ通知が来たら、契約・根拠・支払額を順番に確認する

地主から地代の値上げ通知が届いたら、まず変更の理由と金額の根拠を尋ねてみましょう。

「いきなり2倍は高すぎる」と感じるかもしれませんが、値上げ幅だけで話し合うより、前回地代を決めたときから何が変わったのかを調べる方が、双方の主張を確認しやすくなります。

手元にある契約書や地代の支払記録と、今回の通知内容を見比べてみてください。

手元に置く資料 確認すること
当初契約・更新の覚書 現行地代、改定条項、増額しない特約、支払日、地代以外の変更案
振込記録・領収書 今の支払額、最後の改定時点、滞納の有無
今回の通知・請求書 希望額、いつから適用する主張か、土地税額・価格の変化などの根拠
近隣・土地価格等の資料 比較物件の用途・面積・契約時期が近いか

値上げに伴って、新しい契約書への署名を求められる場合もあるでしょう。

その際は地代の金額だけでなく、借地期間や更新料、建て替え・譲渡の条件まで変わっていないか、契約書全体を読んでおきたいところです。

地代の値上げについて話し合うことと、別の契約条件の変更に同意することは分けて考えましょう。

金額を争う間も、相当と考える地代の支払いを止めない

地主からの値上げに納得できない場合でも、地代をまったく支払わなくてよいわけではありません。

借地借家法11条2項では、増額について協議がまとまらない場合、増額を正当とする裁判が確定するまで、請求を受けた借地人は相当と認める額の地代を支払うことができます。

つまり、「地主が請求した全額をすぐに支払わなければならない」とも、「以前の地代を支払っていれば必ず十分」とも一律にはいえません。

また、最終的に裁判で増額が認められ、それまでの支払額に不足があった場合は、不足額と、各支払期後の年1割(10%)の利息を支払う規定があります。

増額幅が大きい場合や、どの金額を支払い続けるべきか判断に迷う場合は、差額が積み重なる前に弁護士へ相談しておきましょう。

HOMEくん
HOMEくん

値上げに納得できないなら、今までの地代も払わなくていいんですか?

先生
先生

それは避けてください。争っているのは「地代はいくらが相当なのか」という点です。支払いを止めてしまうと滞納の問題も出てくるので、支払額や方法に迷ったら早めに相談しましょう。

地主が従来の地代を受け取らない場合は、弁済供託を検討する

地主が従来の地代を受け取らない場合は、弁済供託を検討する

地主から「新しい金額でなければ地代を受け取らない」と言われることもあります。

借地人が相当と考える地代を支払おうとしても、地主に受け取りを拒否された場合、そのまま何もしないでいると、地代を支払っていない期間が長くなってしまいます。

このように、適法に地代の支払いを申し出たのに受け取ってもらえない場合などには、法務局の弁済供託を検討できます。

ただし、供託は地主に値上げ要求を撤回させるための制度ではありません。要件を満たした供託によって、賃料債務を免れるための制度です。

地主に地代の受け取りを拒否された場合は、次の順番で対応を考えてみましょう。

  1. いつ、いくらを払うべきか借地契約と通知を確認する。
  2. 相当と考える額を、契約・状況に応じた適切な方法で地主に提供する。
  3. 受領を拒否された日時・方法・相手の返答を残す。
  4. 法務局・弁護士に供託原因、額、提出書類、供託の時期を確認する。

値上げの通知が届いただけで、直ちに「受領拒否」が成立するわけではありません。

例えば、地主から値上げの書面が届いた段階と、実際に地代を支払おうとして受け取りを断られた段階では、状況が異なります。

地代の提供が必要かどうかも個別の事情によって変わるため、自己判断で供託を始めず、法務局や弁護士に必要な手続きを確かめておきましょう。

参考:法務省「供託Q&A」Q23・Q27・Q28

地代が高すぎるなら借地人から減額請求できる?調停と裁判の順序

地代が高すぎるなら借地人から減額請求できる?調停と裁判の順序

地代の見直しを求められるのは、地主だけではありません。

借地借家法11条では、借地人から将来に向けた地代の減額請求も認めています。

例えば、土地価格や公租公課が下がり、現在の地代が不相当になったと考える場合は、最後に地代を改定したときからの変化を資料で示し、地主へ減額を求めることができます。

ただし、「固定資産税の5倍を超えているから、来月から自分で3倍に下げる」という対応はできません。

減額をめぐって争いになった場合、借地借家法11条3項では、減額を正当とする裁判が確定するまで、地主は相当と認める額の地代を請求できるとされています。

最終的に裁判で減額が確定し、地主が地代を受け取り過ぎていた場合には、その超過額と受領時からの年1割の利息を返還する規定があります。

地主からの値上げに反対する場合と、借地人から減額を求める場合では、協議中の地代の扱いが異なります。

減額を求めたからといって、自己判断で支払いを減らさず、話し合いがまとまるまでの支払額や方法についても確認しておきましょう。

話し合いがまとまらない場合は原則として民事調停から

地主と借地人の話し合いで地代の金額が決まらない場合は、調停や裁判によって解決を図ることもあります。

地代の増減額請求をめぐって訴訟を起こす場合は、民事調停法24条の2により、原則として先に民事調停を申し立てる必要があります。

話し合いで解決できず、調停でも合意に至らなければ、訴訟へ進む流れです。

その際には、借地契約の経緯や過去の改定履歴、土地の税額・価格、近隣の地代などが判断材料になります。

不動産鑑定では、継続賃料について差額配分法・利回り法・スライド法・賃貸事例比較法などを関連付けて判断します。

「固定資産税の何倍だから適正」という単純な計算で決まるわけではありません。

参考:民事調停法24条の2(e-Gov法令検索)/国土交通省「不動産鑑定評価基準」

法的な争いになっている場合は弁護士へ

地代の値上げが妥当なのか、不動産会社に土地の価格や周辺の地代について相談することはできます。

ただし、不動産会社に地代の増減請求に関する訴訟まで代理してもらえるわけではありません。

地主から契約解除や明渡しの通知が届いている場合、地代の差額が長期間にわたって積み重なっている場合などは、借地契約書や通知、支払記録を持って弁護士に相談しましょう。

一方、地代の負担が大きくなり、今後もその家に住み続けるか、借地権付き住宅を売却するか迷っている方もいると思います。

東京・神奈川・埼玉・千葉の借地権で、契約条件の整理や売却方法について相談したい場合は、借地権を扱う不動産会社に現在の状況を伝えてみる方法もあります。

法的な争いの解決と、不動産の保有・売却についての相談は、内容に合った相談先を選びましょう。

【借地権 無料相談ドットコム】

地代を払えない・滞納しているときは、支払時期を決めて連絡する

地代を払えない・滞納しているときは、支払時期を決めて連絡する

地代が家計の負担になり、支払いが難しくなることもあるでしょう。

ただし、何も伝えずに滞納を続けると、未払地代や遅延損害金を請求され、契約解除が問題になる場合があります。

一度支払いが遅れたからといって、必ず借地権がなくなるわけではありませんが、長期間の滞納や地主からの連絡を無視する対応は避けたいところです。

支払いが難しいと分かったら、まず地主へ未払いが何か月分あるのか、いつ、いくら支払えるのかを伝えましょう。

支払日の変更や一時的な猶予、分割払いなどを相談することはできます。ただし、地主が必ず応じなければならないわけではありません。

話し合いで合意できた内容は、あとから認識が食い違わないよう、書面や記録に残しておきましょう。

また、相続した借地権付き住宅では、亡くなった方の口座から地代が引き落とされていたケースもあると思います。

相続に伴う口座の取扱い変更によって支払いが止まっていないか、早めに確かめておきたいところです。

借地権を相続したときの地主への連絡や、地代を誰が支払うのかについては、こちらの記事も参考にしてください。

借地権は相続できる?地主への連絡・相続登記・住むか売るかの判断を宅建士が解説
借地権付き住宅を相続したら何から始める?地主の承諾・名義変更料、地代、建物の相続登記、相続放棄と相続税の期限、住む・貸す・売る判断まで宅建士・FP視点で解説します。

なお、地代そのものが家計に合わなくなっている場合は、一時的に支払いが難しいのか、今後も継続して支払うことが難しいのかを考える必要があります。

今の家に住み続けることも含めて、今後の住居費を見直してみましょう。

地代は10年・20年の総額で考える|住み続けるか売るかの家計比較

地代は10年・20年の総額で考える|住み続けるか売るかの家計比較

地主から地代の値上げを求められたときは、毎月の増額分が気になると思います。

ただし、これから10年、20年と同じ家に住み続ける予定なら、月々の値上げ額だけでなく、今後支払う地代の総額も考えておきたいところです。

地代は月額ではそれほど大きく感じなくても、長期間にわたって支払いが続けば、家計への影響も大きくなります。

例えば、毎月3万円と4万円の地代では、10年間・20年間で次のような差が生じます。

地代の仮定 10年間 20年間
月3万円 360万円 720万円
月4万円 480万円 960万円
月1万円の増額による差 120万円 240万円

月1万円の値上げでも、10年間では120万円、20年間では240万円の負担増になります。

ただし、この表は地代が途中で変わらないと仮定した計算例です。

建物の固定資産税や保険、修繕費、更新料、将来の建て替え費用などは含めていません。

住み替えを考えるなら、転居先の家賃や住宅購入費、引っ越し費用なども比べる必要があります。

また、更新時に一時金として請求されることがある更新料は、毎月の地代とは別の費用です。

地主から更新料も求められている方は、契約上の支払義務や金額の根拠についても知っておきましょう。

借地権の更新料は払う必要がある?相場・特約・不払い時の対応を宅建士が解説
借地権の更新料は必ず払う?地主から請求されたときの契約書・金額根拠の確認方法、普通借地権と定期借地権の違い、法定更新、不払い・分割協議、更新後の家計負担まで解説します。

誰も住まない家なら、地代と売却後の手取りを比べる

相続した借地権付き住宅が空き家になっている場合や、今後その家を使う予定がない場合は、地代を払い続けることが負担になるかもしれません。

空き家でも地代の支払いが続くほか、建物の管理費や修繕費がかかることもあります。

今後の利用予定がないなら、年間の地代と建物の維持費を計算し、今売却した場合の手取りと比べてみましょう。

ここで気をつけたいのが、建物の古さだけで借地権の価値まで判断しないことです。

古い建物だから借地権まで無価値だと決めず、地主への無償返還や解体を約束する前に、現状で売却できるか査定を受けておきましょう。

借地権付き住宅の売却方法や、地主の承諾・承諾料、売却後の手取りについては、こちらの記事で詳しく取り上げています。

借地権は売却できる?5つの売り方・地主の承諾・費用と手取りを宅建士が解説
借地権付きの家は売却できる?仲介・地主への売却・専門買取など5つの方法を比較。地主の承諾や譲渡承諾料、売却の流れ、相場、税金、最終的な手取りまで宅建士・FP2級の視点で解説します。相続した借地権を手放したい方も参考にしてください。

一般の買主を探す仲介だけでなく、不動産会社への直接買取も比較したい場合は、査定額がいつ確定するのか、売主が負担する費用や決済時期はどうなるのかも確かめておきたいところです。

借地権の買取業者はどう選ぶ?査定・地主の承諾・契約条件と手取りを解説
借地権の専門買取と仲介は何が違う?買取価格が確定する時点、業者選びの質問、地主の譲渡承諾、契約後の減額・解除、契約不適合責任、売主の手取りまで宅建士・FP視点で解説します。

借地・底地や古家などの買取を扱う会社に、現在の状態で売却できるか相談する方法もあります。

「地代を払い続けるのが負担になっている」「相続した借地権付き住宅を使う予定がない」という方は、現状のまま買取を相談できるか問い合わせてみてください。

ただし、査定額だけで売却を決めず、地主との協議や売主側の費用負担も含めて、実際に手元に残る金額を比べましょう。

【ワケガイ】

ワケガイ

まとめ|地代の請求根拠と、払い続ける場合の総負担を確認する

地代の請求根拠と、払い続ける場合の総負担を確認する

地代の「固定資産税の何倍か」は簡易的な目安の一つであり、その倍率だけで地代の適正額や値上げの可否が決まるわけではありません。

地主から値上げの通知が届いたら、借地契約や最後の地代改定の時期、土地の税額・価格、近隣の地代などを調べ、なぜその金額への変更を求めているのか尋ねてみましょう。

値上げに納得できない場合も、地代の支払いそのものを止めないことが大切です。

地主が地代を受け取らない場合は弁済供託を検討し、減額を求める場合も協議中の支払額の扱いに注意しましょう。

また、今後その家に住み続けるなら、毎月の地代だけでなく、10年・20年の総負担も考えておきたいところです。

相続した空き家などで今後の利用予定がない場合は、地代や維持費を払い続ける場合と、現状で売却した場合の手取りを比べ、自分の家計や暮らしに合う方法を選びましょう。

※本記事は借地権と地代に関する一般的な情報です。地代の増減請求・供託・契約解除・調停や訴訟は、個別の借地契約と事情に基づき、弁護士・法務局などへ確認してください。

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この記事を書いた人

名前:早坂

プロフィール:不動産のプロである現役の宅地建物取引士(令和6年11月26日合格・令和7年5月7日宅地建物取引士資格登録あり)。また

  • マンション管理業協会 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 国家資格ファイナンシャル・プランニング技能士2級
  • ファイナンシャル・プランニング(資産設計提案業務・生保顧客資産相談業務)
  • 日本商工会議所主催 簿記検定2級

など、その他の不動産に関連する国家資格も多数保有するだけでなく、FPや簿記などお金や企業経営、財務分析の知識も活用しながら、わかりやすく、公平かつ正確な情報の提供に努めています。

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