「借地権付きの実家を売り出したのに、問い合わせがない」
「買いたい人は見つかったのに、住宅ローンや地主との話で止まってしまった」
借地権付きの家が売れないからといって、すぐに値下げする必要があるとは限りません。問い合わせが来ないのか、内覧後に断られるのか、住宅ローンや地主の承諾で止まっているのかによって、見直すところは違います。
まずは不動産会社に販売状況を聞き、どこで話が止まっているかを確かめましょう。価格を変える前にできることや、仲介を続けるか専門買取も考えるかが見えてきます。
仲介・地主への売却・直接買取など、売り方そのものから知りたい方は、先にこちらを読むと全体の流れがつかめます。

借地権付き建物が売れないなら、値下げ前に販売のどこで止まったか確認する

不動産会社から「借地権なので難しいですね」と言われただけでは、次の手を打てません。販売開始から何件の問い合わせがあり、何人が内覧し、どこで購入を見送ったのか。まずはそこを聞いてみましょう。
| 止まった段階 | 疑う要因 | 不動産会社に聞くこと |
|---|---|---|
| 問い合わせがほぼない | 売出価格・写真・掲載先・広告内容 | どこに何日掲載したか。近隣の類似物件と比べて何が違うか |
| 問い合わせ後に内覧へ進まない | 地代・期間・承諾条件が不明 | どの質問に答えられず、どこで検討が止まったか |
| 内覧後に申込みがない | 建物の傷み・総住居費・再建築の見通し | 何を理由に見送られたか。追加資料で解消できるか |
| 申込み後、融資で止まる | 借地契約、担保、期間、金融機関の条件、買主の資金計画 | 物件側の条件か、買主自身の審査上の理由か |
| 地主との協議で止まる | 譲渡承諾・承諾料・買主・建て替え条件 | 誰が、いつ、何を依頼して、どこで合意できなかったか |
問い合わせが少ないからといって、価格だけが原因とは限りません。問い合わせや内覧で出た質問を借地契約の内容と照らし合わせれば、値下げより先に説明や資料を見直した方がよい場合もあります。
地主の承諾・契約内容・住宅ローンで止まった場合

地主が譲渡に同意しないなら、拒否された条件を特定する
住宅で多い土地賃借権を第三者へ譲る場合は、原則として地主の承諾が必要です。地上権とは扱いが違うので、まず借地契約書と土地・建物の登記事項証明書で、自分の権利がどちらに当たるか確かめましょう。
希望価格で買いたい人が現れても、地主との話がまとまらなければ売却は進みません。地主が「誰にも譲りたくない」と考えているのか、買主や承諾料、建て替え条件のどこかが折り合わないのか。不動産会社を通じて理由を確かめましょう。

地主さんには、買主が決まってから話せばいいんですか?

買主が決まってから初めて話すと、承諾料などの条件が合わず、売買が止まることもあります。先に不動産会社に借地契約を見てもらって、地主さんにいつ、どんな話をするか相談しておくと進めやすいですよ。
地主から承諾を得られなくても、一定の要件を満たせば借地借家法19条に基づく裁判所の許可を検討できます。ただし、申し立てれば必ず認められるわけではありません。承諾を断られたときの対応や裁判所への申立てについては、こちらを参考にしてください。

借地契約書がないなら、「分かること」と「未確認」を分ける
親の代から続く借地では、契約書が見つからないこともあります。それだけで売却できなくなるとは限りませんが、地代やいつまで借りられるかが分からないままでは、買主も購入を決めにくいでしょう。
- 土地・建物の登記事項証明書:地主、建物名義、抵当権など
- 地代の振込記録・領収書:支払額と継続状況
- 更新時の覚書・通知:期間、更新料、当事者間の経緯
- 地主とのやり取り:譲渡や建て替えについて既に説明した内容
最初の契約日や借地権の種類、残存期間、地代、譲渡・増改築の条件など、分からない項目を不動産会社に伝えて調べてもらいましょう。確認できていないのに「更新できます」と買主へ説明するのは避けてください。
相続した家なら、建物の登記が故人名義のままになっていないか、ほかの相続人との話し合いが済んでいるかも確認しましょう。相続後に何をすればよいか迷っている方は、こちらから確認できます。

建物の登記と借地権の関係が気になる方は、次の記事も参考にしてください。

住宅ローンが原因なら、物件と買主のどちらが理由か聞く
「借地権だから住宅ローンは使えない」と決まっているわけではありません。例えば【フラット35】は、敷地が借地でも条件を満たせば利用できる場合があり、借地権の種類によって借入期間の扱いも異なります。
住宅ローンの審査で話が止まったら、借地の残存期間や担保、地主の書類、建物の状態など、物件側で不足しているものがないかを不動産会社に聞いてみましょう。買主自身の審査上の事情であれば、値下げだけでは解決しないこともあります。買主の個人情報を聞き出すのではなく、売主として用意できる書類や条件があるかを確かめます。
内覧後に断られるなら、購入後の負担と建物の状態を見直す

内覧では好感触だったのに申込みにつながらないなら、建物の印象だけでなく、地代や更新時の費用、将来の建て替えが気になっているのかもしれません。「価格が安い」だけでは伝わりにくい購入後の負担を、買主が考えられるようにしておきましょう。
| 買主が気にすること | 売主が用意したい情報 |
|---|---|
| 地代が負担にならないか | 現在の地代、改定履歴、支払方法 |
| 更新時にいくらかかるか | 満了時期、更新料の特約、過去の合意 |
| 建て替えられるか | 地主の承諾条件、接道、建築上の制限 |
| 古家の修繕費 | 雨漏り・設備不具合・点検結果・見積り |
| いつまで住めるか | 普通/定期の区別、契約満了日、残存期間 |
例えば地代が月3万円なら、金額が変わらなくても10年間で360万円になります。買主が住宅ローン以外の負担を考えられるよう、地代の金額や更新時の条件を示しましょう。更新料や建て替え承諾料は、どの借地でも一律に発生するものとして説明しないようにします。
地代の金額や改定について詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。

更新料が気になる方は、契約上の扱いを次の記事でも確認できます。

古い家・再建築不可では、リフォームや解体を急がない
雨漏りや老朽化、接道不足、残置物などが重なると、購入をためらう人も増えます。ただ、売るためにリフォームしても、工事費をそのまま売却価格に上乗せできるとは限りません。現状のまま仲介で売る場合、最低限修繕する場合、現況で買い取ってもらう場合を比べてから、費用をかけるか決めましょう。
借地上の建物は、売り方を決める前に自己判断で解体しないでください。契約上の返還・建て替え条件だけでなく、借地権の第三者への対抗力にも影響する場合があります。
建て替えや解体を考えている方は、工事前にこちらの注意点も確認してください。

反響が少ないなら、査定額だけでなく売出価格と広告の中身を点検する

近所の所有権付き戸建てが高く売れたからといって、借地権付きの家も同じ条件では比べられません。土地を所有できるかどうかに加え、地代や残存期間、譲渡条件、建物の状態も違うからです。
値下げを決める前に、不動産会社へ次の3点を聞いてみましょう。
- 比較した成約事例と、今回の物件との条件差
- 掲載先・掲載写真・広告文・問い合わせや内覧の反応
- 価格を変えるなら、どの買主層を想定し、売主の手取りがどう変わるか
反響がないまま同じ売り方を続けても、売却までの地代や維持費はかかります。価格を下げるなら、広告や購入を検討している人に届く場所も一緒に見直したいところです。
借地権割合70%なら更地の市場価格の70%で売れる、という計算はできません。借地権割合は相続税・贈与税の評価で使う数字で、成約価格ではありません。

借地権割合が70%なら、土地が5,000万円の場合は3,500万円で売れると思っていました。

そう思いますよね。でも、借地権割合は税務上の評価に使う数字で、その割合で買主が見つかるという意味ではないんです。実際の査定では、借地契約の条件や、その地域で買いたい人がいるかも見ていきます。
借地権割合と実際の売却価格の違いや、査定額の見方はこちらで確認できます。

仲介を続けるか、専門買取も比較するかは売却期間と手取りで決める

借地契約や地主の承諾について見通しが立ち、問い合わせや内覧も続いているなら、広告や価格を調整しながら仲介を続ける方法があります。一方、空き家の地代や管理費がかさみ、買主を長く待てないなら、専門会社の買取価格も聞いて比べてみましょう。
ただし、買取業者が買主になっても、土地賃借権の第三者譲渡について地主の承諾が不要になるわけではありません。
専門買取でどんな条件を比べればよいか迷う方は、こちらも参考にしてください。

値下げと待機費用を同じ条件で試算する
例えば、仲介では3,000万円で売れる見込みがあり、買取会社からは2,700万円の提示があったとします。ただし、仲介の3,000万円は必ず売れる金額ではありません。地代や建物の税金・維持費、仲介手数料、承諾料、税金、決済までの期間をそろえて比べましょう。
資金計画上の残額=実際の成約代金-売却時の支出・税金-売却までの保有費-ローン残債
ローン残債は手元に残る金額を考えるときに差し引きますが、譲渡所得の計算で使う取得費や譲渡費用とは別です。売れたあとに持ち出しが必要にならないか、契約前に確認しておきましょう。

3,000万円の査定が出た会社が、一番お得とは限らないんですね。

そのとおりです。査定が高くても、売れるまでに地代や管理費がかかり続ける場合があります。急いで手放したいのか、時間をかけて買主を探せるのかも含めて、最後に手元へ残る金額を比べたいですね。
売れない理由が分かった後、どこへ相談すればよい?

ここまで確認しても売却が進まないときは、今の不動産会社に販売開始日や掲載先、問い合わせ・内覧の件数、見送り理由、融資や地主との協議の状況を聞いてみましょう。どこで止まっているかによって、相談する相手も変わります。
| 解決したい問題 | 主な相談先 |
|---|---|
| 広告・価格・販売網 | 借地権の売却実績がある仲介会社 |
| 専門買取価格・引渡し時期 | 借地権・底地を扱う買取会社 |
| 承諾拒否や法律上の紛争 | 弁護士 |
| 相続した建物の名義 | 司法書士 |
| 譲渡税の見込み | 税理士 |
地主とどのように話せばよいか分からない、今の契約で売却できるか知りたいという方は、借地権を扱う不動産会社へ相談する方法もあります。東京・神奈川・埼玉・千葉の物件なら、次の窓口も候補です。相談できる内容や費用の条件は事前に確かめましょう。なお、法的紛争の代理や税務申告は、それぞれ弁護士・税理士に相談します。
古家や接道の問題もあって一般の買主が見つかりにくい場合は、借地・底地などを扱う専門買取会社にも相談してみましょう。査定額だけでなく、地主への連絡を誰がするか、どんな状態で引き渡せるかも聞いておくと比較しやすくなります。
まとめ|「借地権だから売れない」で終わらせず、止まった原因から直す

借地権付きの家が売れないときは、「どこで売却が止まっているか」を不動産会社と確認しましょう。問い合わせがなければ価格や広告、内覧後に断られるなら購入後の負担、申込み後なら住宅ローンや地主の承諾が原因になっているかもしれません。契約内容に分からないところがあれば、値下げ前に資料を集め、確認できた条件を買主へ伝えられるようにしておきます。
古い家でも、先に解体や大きなリフォームをする必要があるとは限りません。今の状態で売る場合と工事をする場合の査定を比べ、売却までの地代や管理費も含めて、最後にいくら残るかを考えましょう。
地主との調整や売却方法そのものに迷っている方は、借地権の相談窓口に今の状況を伝えてみる方法があります。東京・神奈川・埼玉・千葉の物件なら、次の無料相談・査定も候補になります。提示額だけでなく、承諾料などの費用や引渡しまでの期間も確かめてください。
借地・底地の専門買取も比較したい方は、次の窓口で対応できる物件や引渡し条件を確認できます。
※本記事は不動産・法律・税金に関する一般的な情報提供です。個別の借地契約・法律問題・登記・税金は、必要に応じて不動産会社・弁護士・司法書士・税理士などへご相談ください。


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