マンションを購入するときは、価格や間取り、駅からの距離だけで決めないことが大切です。
実際に住み始めてから、「修繕積立金が思った以上に上がった」「上の階の音が気になる」「管理規約で希望していたリフォームができなかった」と気づいても、簡単には買い替えられません。
特にマンションは、自分が購入する部屋だけでなく、共用部分や管理組合の運営、将来の修繕計画まで含めて考える必要があります。
私は宅建士・FP2級に加えて、管理業務主任者試験、賃貸不動産経営管理士試験にも合格しています。この記事では、売買契約や住宅ローンだけでなく、「購入後も無理なく管理・修繕されていくマンションか」という視点まで含めて解説します。
新築・中古マンションに共通する注意点を扱いますが、管理状態や修繕履歴を実際に見られる中古マンションについては、より具体的に紹介します。
マンション購入でまず確認したいこと

マンション選びでは、次の項目から見ていきましょう。
| チェック項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 立地 | 駅距離、交通、買い物、病院、将来の売りやすさ |
| 災害・耐震 | ハザードマップ、耐震基準、建物構造 |
| 住戸環境 | 日当たり、眺望、騒音、階数、周辺建物 |
| 管理状態 | 管理規約、総会議事録、管理組合の運営、管理会社との関係 |
| 修繕計画 | 長期修繕計画、修繕履歴、修繕積立金、今後の増額予定 |
| 毎月の費用 | 管理費、修繕積立金、駐車場代など |
| 共用施設・設備 | 利用頻度、維持管理費、将来の更新負担 |
| 契約・権利関係 | 重要事項説明書、管理規約、敷地の権利など |
| 資金計画 | 住宅ローンだけでなく購入後の総住居費 |
新築マンションでは、完成前販売の場合の現物確認や、将来の修繕積立金の設定にも注意が必要です。
一方、中古マンションでは、これまでの管理状態、修繕履歴、修繕積立金の状況、総会で何が話し合われてきたのかまで追うことができます。
すべての条件が完璧なマンションを探す必要はありません。
大切なのは、「自分にとって譲れない条件」と「許容できる条件」を分けたうえで、購入後に自分では変えにくい部分から見ていくことです。
【立地・資産価値】マンション購入の注意点

マンション購入では、立地が非常に重要です。
駅に近いマンションは通勤・通学や買い物に便利な一方で、交通量や電車、繁華街などによる騒音が気になることもあります。
反対に郊外のマンションは静かな住環境を得やすいものの、車がないと生活しにくかったり、将来高齢になって運転しなくなったときに不便を感じたりする可能性があります。

自分が長く住むつもりなら、駅から遠いだけで悪い物件とはいえません。
ただし、転勤や家族構成の変化などで将来売却する可能性があるなら、次のような項目にも目を向けておきましょう。
- 最寄り駅までの距離
- 利用できる路線や駅の利便性
- スーパーや病院、学校などの生活施設
- 周辺の中古マンションの売出価格や成約状況
- 周辺で予定されている再開発や大規模な建築計画
販売担当者から「将来も資産価値が落ちにくい」と説明されたとしても、それだけで購入を決めるのは避けたいところです。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、中古マンションなどの取引価格や成約価格を見ることができます。
同じ駅でも、駅距離、築年数、面積、階数などによって価格は変わります。個別の成約価格をそのまま当てはめるのではなく、周辺相場をつかむ材料として利用するとよいでしょう。
日当たりは「南向き」だけで判断しない
マンションは高層階なら日当たりがよいと思われがちですが、周辺に同程度の高さのマンションやビルがあれば状況は変わります。
バルコニーの向きだけでなく、前面建物との距離や周辺の土地利用も見ておきましょう。
目の前が空き地や古い建物なら、将来別の建物が建つ可能性もあります。
できれば時間帯を変えて現地を訪れ、日当たりに加えて交通量や周辺の音、人通りまで見ておくと、入居後の生活をイメージしやすくなります。
【災害・耐震性能】マンション購入の注意点

マンションを購入するときは、建物の耐震性能だけでなく、その土地の災害リスクも見てください。
耐震・制震・免震の違い
地震対策としてよく使われる言葉に、耐震・制震・免震があります。
- 耐震:柱や梁など建物そのものを強くして地震に耐える
- 制震:ダンパーなどによって地震の揺れのエネルギーを吸収する
- 免震:建物と地盤の間に免震装置を設け、揺れが建物へ伝わりにくくする
それぞれ仕組みが違うため、単純に「免震だから絶対安全」「耐震だから弱い」と比べられるものではありません。

中古マンションでは新耐震基準かも見る
中古マンションでは、1981年6月1日以降に建築確認を受けた新耐震基準の建物かどうかも、一つの目安になります。
ただし、新耐震基準なら地震による被害が起きないという意味ではありません。
築年数だけを見るのではなく、耐震診断や耐震改修の履歴、これまでの維持管理状況なども合わせて見たいところです。
住宅性能評価書があるマンションなら、耐震性能についてどのような評価を受けているかも参考になります。
ハザードマップは高層階でも見ておく
耐震性能が高いマンションでも、土地そのものの災害リスクがなくなるわけではありません。
洪水、内水氾濫、高潮、土砂災害などについて、自治体のハザードマップに目を通しておきましょう。
水害ハザードマップにおける物件所在地は重要事項説明でも説明されますが、「説明されるから自分では見なくていい」というものではありません。
マンションの場合、自分の部屋が浸水しない高層階でも、地下や1階にある受変電設備、給排水設備、駐車場、エレベーターなどが被害を受ければ生活に影響します。
「自分の部屋が何階か」だけではなく、建物全体が被災したときにどうなるかまで想像しておくとよいでしょう。

【騒音・遮音性】マンション購入の注意点

マンション購入後のトラブルになりやすいものの一つが、生活音です。
上階からの足音や隣の部屋から聞こえる生活音だけでなく、エレベーター、機械式駐車場、道路、線路などから音が聞こえるケースもあります。
床のコンクリート部分である「スラブ」の厚さは一つの参考になりますが、スラブが厚ければ必ず静かになるわけではありません。
床の構造や仕上げ材、梁の配置、建物の構造などによっても実際の聞こえ方は変わります。

住宅性能評価書がある物件で音環境に関する評価が記載されていれば参考にし、中古マンションなら内覧時に周囲の音を聞いてみましょう。
平日の昼間だけ静かでも、夜間や休日には状況が変わることがあります。可能なら曜日や時間帯を変えて現地を訪れるのが理想です。
また、中古マンションでは総会議事録に騒音問題が繰り返し出ていないかを見る方法もあります。

【管理状態】マンションは部屋だけでなく建物全体を見る

中古マンションでは、室内のきれいさだけで購入を決めないようにしてください。
室内の壁紙や設備は購入後に交換できますが、エントランス、外壁、給排水設備、エレベーターなどの共用部分や、管理組合の運営状態を一人の区分所有者だけで変えることは困難です。
マンション購入では、売買条件だけでなく「この建物を住民全体で今後どう維持していくのか」を見ることが欠かせません。
内覧では共用部分も歩いてみる
中古マンションを見に行ったら、室内だけで帰らず、共用部分にも目を向けてみてください。
たとえば次のような場所です。
- エントランスや共用廊下の清掃状態
- ゴミ置き場の使われ方
- 駐輪場・バイク置き場の整理状況
- 共用廊下などへの私物の放置
- 郵便受け周辺の状態
- 掲示板のお知らせや注意書き
共用部分が少し汚れているだけで「管理が悪い」と決めつける必要はありません。
一方で、放置自転車や私物が長期間そのままになっていたり、同じ生活トラブルに関する注意書きが何度も出ていたりするなら、日常管理の様子を知る手掛かりになります。
掲示板に書かれている内容と総会議事録を合わせて見ると、書類だけでは分かりにくいマンションの日常が見えることもあります。
中古マンションでは管理関係の書類に目を通す
中古マンションでは、可能であれば次の資料を見ておきたいところです。
間取りや設備と違ってテンションも上がらず、「めんどくさいなー」と思うところですが、将来テンションが下がらないために頑張ってチェックしましょう。
| 資料 | 特に見たい内容 |
|---|---|
| 重要事項調査報告書 | 管理費・修繕積立金、滞納、修繕積立金残高、管理状況など |
| 管理規約・使用細則 | ペット、駐車場、リフォーム、専有部分・共用部分のルール |
| 総会議案書・議事録 | 修繕、漏水、騒音、滞納、駐車場など継続的な課題 |
| 長期修繕計画 | 計画期間、見直し時期、予定工事、必要資金 |
| 修繕履歴 | 大規模修繕や設備更新が実際に行われてきたか |
| 収支・決算資料 | 管理費会計・修繕積立金会計の収支や借入れ |
中でも総会議事録には、修繕積立金の値上げ、大規模修繕、漏水、騒音、駐車場など、そのマンションで実際に話し合われている問題が記録されていることがあります。
1期分だけでは一時的な問題なのか継続している問題なのか分かりにくいため、可能であれば複数年分に目を通してみてください。
資料をすぐ用意できるとは限りません。気になる中古マンションが見つかった段階で、仲介会社に「管理関係の資料も見たい」と伝えておくと進めやすくなります。

重要事項説明書と「重要事項調査報告書」は別の書類
中古マンションでは「重要事項調査報告書」という言葉を目にすることがあります。
名前が似ていますが、売買契約前に宅地建物取引士から説明を受ける重要事項説明書とは別の書類です。
重要事項調査報告書は、一般的に仲介会社などが管理会社へ依頼して取得し、マンションの管理状況を調べるために利用します。
書式や記載内容は一律ではありませんが、
- 管理費・修繕積立金の月額
- 対象住戸の滞納状況
- 管理組合全体の修繕積立金残高
- 借入金の有無
- 大規模修繕などの実施状況
- 管理規約に関する情報
など、購入前に知っておきたい管理情報がまとめられています。
ただし、重要事項調査報告書だけですべて分かるわけではありません。
長期修繕計画や総会議事録、管理規約などと組み合わせて読むことで、そのマンションの状態をより具体的につかめます。
管理会社と管理組合は同じではない
「大手の管理会社が入っているから安心」と考える方もいるかもしれません。
しかし、管理会社と管理組合は別です。
管理会社は、管理組合から委託された範囲で管理事務を行います。
一方、修繕積立金をどうするか、どの工事を行うか、管理規約を変更するかといったマンション全体の意思決定は、管理組合側で進めていくのが基本です。
そのため管理会社の名前だけでなく、総会が開かれているか、必要な修繕について議論されているか、費用の見直しが先送りされていないかといった管理組合の運営状況も見たいところです。
管理計画認定の有無も一つの材料になる
自治体によっては、マンションの管理計画を認定する「管理計画認定制度」があります。
国の認定基準では、管理組合の運営、管理規約、経理、長期修繕計画などについて一定の基準が設けられています。
長期修繕計画については、計画期間が30年以上で、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていることなどが基準です。
もちろん、認定を受けていないから管理状態が悪い、認定マンションなら将来も安心、と単純に分けられるものではありません。
制度を利用していないマンションもあるため、管理状態を見る材料の一つとして使うのがよいでしょう。
2026年以降は管理規約の見直し状況にも注目
2026年4月1日に改正区分所有法が施行され、国土交通省のマンション標準管理規約も法改正を踏まえて改正されています。
ただし、中古マンションの管理規約が国の標準管理規約と完全に同じである必要はありません。
マンションごとに事情が異なるため、大切なのは単純に「新しい・古い」で判断することではなく、法改正や建物の状況に応じて必要な見直しが検討されているかです。
最近の総会議事録にも目を通し、管理組合が継続的に運営されているかを見る材料にしましょう。
マンションを購入すると管理組合の一員になる

分譲マンションでは、区分所有者全員で管理組合を構成します。
管理組合では、管理費や修繕積立金、大規模修繕、管理規約の変更など、マンション全体に関わる事項を決めていきます。
物件によっては順番で理事などの役員を担当することもあります。
最近では、管理会社など外部の専門家が管理者になる方式を採用するマンションもあります。
「管理会社に任せておけば、自分は何もしなくてよい」とは限りません。
マンションを購入するということは、自分の部屋を所有するだけでなく、共用部分をほかの区分所有者と一緒に維持していく立場になるということです。
【管理費・修繕積立金】安いマンションがお得とは限らない

マンション購入後は、住宅ローン以外にも継続的な支出があります。
- 管理費
- 修繕積立金
- 固定資産税・都市計画税
- 駐車場・駐輪場代
- インターネットなどの利用料
中でも注意したいのが修繕積立金です。
修繕積立金は、外壁や屋上防水、給排水設備、エレベーターなど、共用部分を将来修繕するために積み立てるお金です。
月額が安ければお得、というものではありません。
修繕積立金は「今いくら」より将来を見る
マンションによっては、当初の負担を抑え、数年ごとに金額を上げていく「段階増額積立方式」が採用されています。
購入時に月1万円だったとしても、将来2万円、3万円と増えていく計画なら、住宅ローンの返済額が同じでも住居費は上がります。
国土交通省は、将来にわたって安定的に修繕積立金を確保する観点から、計画期間中の負担を均等化する「均等積立方式」を望ましい方式としています。
だからといって、段階増額積立方式のマンションを一律に避ける必要はありません。
大切なのは、購入時の金額だけを見るのではなく、
- 今後どの時期に増額する計画なのか
- 大規模修繕はいつ予定されているか
- その工事にいくら必要と見込んでいるか
- 現在の積立ペースで賄えそうか
- 一時金や借入れを前提としていないか
まで見ることです。
長期修繕計画は「あるか」だけでは足りない
長期修繕計画が用意されているだけで安心とはいえません。
いつ作られ、最後にいつ見直されたのかも重要です。
工事費や物価は変化しますし、実際に建物を使っていく中で必要な工事が変わることもあります。
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、長期修繕計画を5年程度ごとに見直す考え方が示されています。
また、管理計画認定制度では、計画の作成または見直しが7年以内であることが認定基準の一つになっています。
10年以上前に作った計画をそのまま使っているのであれば、現在の工事費や建物の状態と合っているのか慎重に見た方がよいでしょう。
修繕積立金は単なる「毎月払う固定費」ではありません。
管理組合が将来必要になる修繕を実行するための資金なので、月額の安さではなく、長期修繕計画と積立状況をセットで考える必要があります。
固定資産税は戸建てとマンションのどちらが高い?

「マンションの方が高い」「戸建ての方が高い」と一概にはいえません。
固定資産税は土地・建物の評価額、所在地、築年数、床面積などによって変わります。
マンションと戸建ての一般論を比べるより、自分が購入しようとしている物件で年間いくら必要になるのかを資金計画へ入れておきましょう。
【共用施設・設備】豪華さより「自分が使うか」で考える

マンションには、物件によってさまざまな共用施設があります。
- ラウンジ
- ゲストルーム
- キッズスペース
- ワークスペース
- パーティールーム
- ペット関連設備
便利な施設ではありますが、その維持・清掃・修繕にもお金がかかります。

今は子育て中でキッズスペースを利用するとしても、10年後には使わなくなっているかもしれません。
自分が利用しなくなったとしても、共用施設を維持する費用はマンション全体で負担していきます。
「あると便利そう」だけでなく、実際にどの程度利用するのか、古くなったときにどのような維持・更新が必要になるのかまで考えてみましょう。
専有部分の設備も数だけで判断しない
最近のマンションには、宅配ボックス、ディスポーザー、食器洗い乾燥機、浴室暖房乾燥機などさまざまな設備があります。
ただし、必要な設備は生活スタイルによって違います。
設備が多ければ、必ず優れたマンションというわけではありません。
専有部分の設備なら、将来の修理・交換費用も含めて、自分が実際に使うものか考えてみてください。
共用設備の場合は、自分が使わなくても管理費や修繕費に影響する可能性があります。

タワーマンションではエレベーターなども見る
タワーマンションなど高層マンションを検討している場合は、眺望だけでなく、エレベーターの台数や利用状況も見ておきましょう。
朝の通勤・通学時間帯にはエレベーターが混雑することがあります。
また、停電や災害時にエレベーターが停止した場合の対応、防災備蓄、非常用電源なども生活への影響が大きい部分です。
タワーマンションだから悪いという話ではありません。
高層マンションならではのメリットと、設備が多いことで生じる維持管理の負担を両方知ったうえで選ぶことが大切です。
【契約前】重要事項説明書と管理規約を確認する

ここから少し、また面倒な内容になります。
ですが、将来の自分たちの幸せを守るために、ちょっとふんばってお付き合いください。
マンション購入の契約前には、宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。
重要事項説明では、登記や法令上の制限だけでなく、区分所有建物ならではの管理や修繕に関する事項も扱います。
マンションでは、特に次の内容を見ておきたいところです。
- 管理費・修繕積立金の金額
- 対象住戸の管理費・修繕積立金の滞納状況
- 管理組合に積み立てられている修繕積立金
- 管理会社
- 管理規約
- 共用部分や専用使用部分に関するルール
- 修繕の実施状況
- 駐車場などの利用条件
- 敷地に関する権利
宅建士として特に伝えたいのは、重要事項説明書を契約直前に初めて見るのではなく、可能であれば事前に受け取り、疑問点を洗い出しておくことです。
数千万円になることも珍しくない不動産の契約です。
説明をその場で聞いて、すぐにすべてを理解して判断する必要はありません。
意味が分からない部分や、自分の生活に影響しそうな条件があれば、契約を結ぶ前に質問しておきましょう。
敷地の権利も見落とさない
マンションを購入するときは、建物だけでなく、そのマンションが建っている敷地についてどのような権利を持つことになるのかも見ておきます。
多くのマンションは土地の所有権を区分所有者で共有しますが、借地権が設定されたマンションもあります。
借地権だから悪い物件ということではありません。
ただし、所有権のマンションとは条件が異なるため、
- 借地権の種類
- 残存期間
- 地代
- 契約更新の扱い
- 売却や建替えなどに関する条件
など、該当する契約内容を読んでおく必要があります。
物件価格だけを比べて「同じエリアなのに安い」と感じたときは、土地の権利が違っていないかも見てください。
管理規約だけでなく使用細則まで見る
ペットを飼いたい方やリフォームを予定している方は、管理規約だけでなく使用細則にも目を通してください。
「ペット可」と書かれていても、犬・猫の大きさや頭数などに条件が付いている場合があります。
リフォームについても、
- 床材の遮音性能
- 工事可能な曜日・時間
- 管理組合への事前申請
- 工事できる範囲
などが定められていることがあります。
「自分が買った部屋だから自由に工事できる」と考えていると、希望していたリフォームができないこともあります。
将来マンションを貸す可能性がある人も規約を見る
今は自分で住む予定でも、転勤や住み替えによって、将来マンションを賃貸に出す可能性があります。
その場合は購入時点から、
- 第三者へ賃貸する際の届出や手続き
- 事務所利用など用途に関する制限
- 民泊に関する規定
- 賃借人にも守らせる必要がある管理規約・使用細則
- 区分所有者がマンション外に住む場合の届出
なども見ておくと、将来の選択肢を考えやすくなります。
また、住宅ローンを利用して購入した住宅を途中から賃貸する場合は、金融機関との契約条件について別途確認が必要になることもあります。
「住まなくなったら貸せばいい」と決めつけず、購入時から売却・賃貸の両方を選択肢として考えておくと安心です。
【資金計画】FP視点では住宅ローン以外の支出も重要

マンション購入では、「住宅ローンを返せるか」だけで資金計画を立てないことも大切です。
購入時には物件価格以外にも、登記費用、住宅ローン関係費用、火災保険料、中古マンションなど仲介による取引では仲介手数料などの諸費用がかかります。
頭金や諸費用で手元の貯蓄をほとんど使い切ってしまうと、入居後の急な出費に対応しにくくなります。
購入後も生活予備資金を残せるように考えておきましょう。
さらに、マンションでは住宅ローン以外にも毎月の負担があります。
たとえば、
- 住宅ローン:10万円
- 管理費:2万円
- 修繕積立金:1万5,000円
- 駐車場:2万円
なら、毎月の住居費は15万5,000円です。
さらに固定資産税なども必要です。
修繕積立金が将来増額されれば、住宅ローンの返済額が同じでも、住居費全体は増えていきます。
そのため物件を比較するときは、
住宅ローン返済額+管理費+修繕積立金+駐車場代など
をまとめて見る方が、実際の家計に近くなります。
FPの視点で考えると、住宅ローンで「借りられる金額」と、家計から「無理なく返し続けられる金額」は別物です。
教育費、車の買い替え、旅行、老後資金など、住宅以外にも将来必要になるお金があります。
住宅ローン審査に通るかではなく、購入後も無理のない生活を続けられるかで予算を決めてください。
マンション購入前のチェックリスト

購入を決める前に、最後にもう一度見直しておきたい項目をまとめます。
- □ 駅距離だけでなく実際に駅まで歩いたか
- □ スーパー・病院など生活に必要な施設を見たか
- □ 昼と夜、平日と休日の周辺環境を見たか
- □ ハザードマップに目を通したか
- □ 耐震基準や耐震性能を調べたか
- □ 日当たりや前面建物との距離を見たか
- □ 室内だけでなく共用部分を歩いて見たか
- □ 管理規約・使用細則に目を通したか
- □ 中古なら重要事項調査報告書を見られるか聞いたか
- □ 総会議事録を読んだか
- □ 長期修繕計画を読んだか
- □ 長期修繕計画がいつ見直されたか調べたか
- □ 修繕積立金の今後の増額予定を把握したか
- □ 大規模修繕の履歴・予定を見たか
- □ 管理費・修繕積立金の滞納状況を把握したか
- □ 管理組合が継続的に運営されているか
- □ 駐車場・ペット・リフォームなどのルールを読んだか
- □ 敷地の権利が所有権か借地権かを見たか
- □ 将来貸す可能性があるなら賃貸時のルールも読んだか
- □ 購入時の諸費用を予算に入れたか
- □ 住宅ローン以外を含めた毎月の住居費を計算したか
- □ 購入後に生活予備資金を残せるか
- □ 将来売却する可能性も含めて立地を選んだか
- □ 重要事項説明で疑問点を残していないか
チェック項目が多いと感じるかもしれません。
ただ、マンションは数千万円単位になることも珍しくないうえ、購入後に自分一人では変えられない部分が多い住宅です。
特に、立地、敷地の権利、管理組合の状態、修繕計画、管理規約は後から変えにくい部分です。
気になる点を「たぶん大丈夫」で済ませず、契約を結ぶ前に一つずつ解消しておきましょう。
よくある質問

マンション購入で一番注意すべきことは何ですか?
一つだけ挙げるのであれば、「自分の部屋だけでなくマンション全体を見ること」です。
室内は購入後にリフォームできても、立地、共用部分、管理組合の状態、長期修繕計画などを自分一人で変えることはできません。
中古マンションなら、長期修繕計画、修繕積立金、総会議事録、管理規約、過去の修繕履歴まで見ると、そのマンションがこれまでどのように管理されてきたのか分かりやすくなります。
もちろん、管理状態が良くても、立地や資金計画が自分に合わなければ購入後に負担を感じることがあります。
一つの条件だけで決めず、複数の条件を合わせて考えてください。
中古マンション購入前にどんな書類を見ればいいですか?
まず見たいのは、重要事項調査報告書、管理規約・使用細則、長期修繕計画、修繕履歴、総会議案書・議事録などです。
それぞれ役割が違います。
重要事項調査報告書で管理費や修繕積立金などの概要をつかみ、長期修繕計画で将来必要になる工事と費用を見る。さらに総会議事録を読むと、そのマンションで実際に何が話し合われているのかが分かります。
一つの書類だけで判断するのではなく、複数の資料を照らし合わせるのがコツです。
管理費や修繕積立金が安いマンションがおすすめですか?
必ずしもそうではありません。
管理費が安くても、必要な管理が十分に行われていなければ問題です。
修繕積立金についても、現在の金額が低くても、将来大幅に増額する計画になっている場合があります。
月額だけで比較せず、管理内容、長期修繕計画、積立方式、今後の増額予定まで合わせて見ましょう。
新築マンションなら管理状態を気にしなくても大丈夫ですか?
新築マンションでも管理について見る必要があります。
中古マンションのような過去の管理実績はありませんが、管理規約、長期修繕計画、修繕積立金の設定、共用施設の維持費などは購入前に分かる部分があります。
特に修繕積立金が段階増額積立方式になっている場合は、購入時の月額だけではなく、将来どの程度まで上がる計画なのかを見ておきましょう。
中古マンションでは長期修繕計画があれば安心ですか?
長期修繕計画が存在するだけでは十分とはいえません。
いつ作成・見直しされたのか、予定していた修繕が実際に行われてきたのか、必要な工事費に対して修繕積立金が足りそうなのかまで見る必要があります。
長期修繕計画、総会議事録、修繕履歴、修繕積立金の状況を一緒に見ると、建物の維持管理の実態をつかみやすくなります。
まとめ|マンションは「部屋」だけでなく「管理」と「総費用」で選ぶ

マンションを選ぶときは、間取りや内装、駅からの距離など、目に見えやすい部分に意識が向きがちです。
しかし、購入後に長く影響するのは、立地や敷地の権利、管理組合の状態、修繕計画、管理規約、そして毎月かかる住居費です。
特に中古マンションでは、室内がきれいかだけで判断せず、重要事項調査報告書、管理規約、総会議事録、長期修繕計画、修繕履歴などにも目を通してみてください。
資金面では住宅ローンだけを見ず、管理費、修繕積立金、駐車場、固定資産税まで含めた住居費で考えることも大切です。
また、将来住み替えたり貸したりする可能性があるなら、そのときの選択肢まで考えておくと購入時の見方も変わります。
マンションと戸建てのどちらにするかまだ迷っている方は、こちらの記事も参考にしてください。
マンションは簡単に買い直せるものではありません。
購入後に自分では変えにくい条件から見て、納得できない部分を残したまま契約しないこと。
これがマンション購入で失敗を減らすための基本です。


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