マイホームの「顔」ともいえる玄関。
毎日必ず使う場所ですが、間取りを考えていると「LDKをもう少し広くしたい」「収納を増やしたい」と、玄関の面積が少しずつ削られてしまうことがあります。
反対に、開放感を求めて広くしたものの、「思ったほど使わない」「収納は足りない」「その分リビングを広くすればよかった」と後悔することもあります。

玄関で失敗しないために大切なのは、単純に広くすることでも、人気の設備を全部付けることでもありません。
「誰が使うのか」「何を置くのか」「玄関からどこへ移動するのか」を先に考えることです。
この記事では、新築・リフォームで後悔しやすいポイントを踏まえながら、玄関の広さ、収納、明るさ、シューズインクローク、玄関ポーチ、玄関ドアまで、快適な玄関をつくるコツをまとめます。
玄関でよくある失敗・後悔

玄関づくりを始める前に、まずは「何に失敗しやすいのか」を知っておきましょう。
| よくある失敗 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 玄関が狭く家族で渋滞する | 同時に使う人数を考えていない | 朝・帰宅時の動きを想定する |
| 広くしたのに散らかる | 床面積だけ広く、収納が足りない | 置く物から収納量を決める |
| SICをつくったのに使いにくい | 通路や扉で収納面積が減っている | 収納量と動線をセットで考える |
| 玄関が暗い | 採光・照明計画が不足 | 窓・玄関ドア・照明を組み合わせる |
| 臭いや湿気がこもる | 靴・雨具を収納するのに換気不足 | 換気・除湿を考える |
| コンセントが足りない | 玄関で使う家電を想定していない | 用途と位置を先に決める |
| 雨の日に玄関前で濡れる | ポーチや庇が小さい | 玄関の外側まで計画する |
| 玄関ドアが使いにくい | デザインだけで選んだ | 開閉方法・断熱・防犯も比較する |
こうして見ると、玄関の失敗は「狭い・広い」だけではありません。
収納、動線、明るさ、外とのつながりまでまとめて考えておくと、完成後の後悔を減らしやすくなります。
玄関計画は「何を置くか」を書き出すところから

「玄関は何畳あればいい?」と考える前に、まず玄関に置きたい物を書き出してみてください。
例えば、次のようなものがあります。
- 靴
- 靴べら
- 傘・レインコート
- 鏡・姿見
- 鍵
- 印鑑
- 帽子・コート
- 掃除用品
- ベビーカー
- 子どもの外遊び用品
- 自転車
- アウトドア用品
- ゴルフバッグ
- 防災用品
家族4人でも「靴と傘だけ」という家庭と、「ベビーカー・キャンプ用品・スポーツ用品まで玄関に置きたい」という家庭では必要な収納量がまったく違います。
つまり、玄関の広さを先に決めて収納を合わせるのではなく、収納したい物から必要な広さを逆算するほうが失敗しにくくなります。

玄関の広さは「何畳」より家族の使い方で決める

玄関は広ければ広いほど快適、というわけではありません。
広い玄関のメリット
- 家族が同時に出入りしやすい
- ベビーカーなどを扱いやすい
- 来客時にも窮屈に感じにくい
- 収納やベンチを設けやすい
- 開放感を出しやすい
- 将来的なバリアフリーにも対応しやすい
一方で、玄関を広げれば、その分だけLDKや収納などに使える面積は減ります。
コンパクトな玄関のメリット
- 居室や収納へ面積を回しやすい
- 建築費を抑えやすい
- 掃除する面積が少ない
- 少ない照明でも明るくしやすい
重要なのは「何畳か」ではなく、必要な使い方ができるかどうかです。
例えば朝に家族3人が同時に靴を履くなら、その場面を想定して幅を確認します。ベビーカーを玄関内で方向転換したいなら、そのスペースも必要です。
間取り図を見るだけでなく、「帰宅→靴を脱ぐ→荷物を置く→手を洗う→LDKへ移動する」と実際の動きを順番に追ってみると、必要な広さが見えやすくなります。
玄関収納・SICは「広さ」より使い方が大切

玄関収納でよく採用されるのが、SIC(シューズインクローク・シューズインクローゼット)です。
靴だけでなく、ベビーカー、アウトドア用品、雨具などをまとめて収納できるため、玄関をすっきり見せやすくなります。
ただし、「SICをつくれば収納問題は解決」と考えると失敗することがあります。
SICは通路部分も必要になる
ウォークイン型・ウォークスルー型のSICでは、人が歩くための通路が必要です。
そのため、同じ床面積でも壁面収納と比べて、実際に物を置ける面積が少なくなる場合があります。
特にウォークスルー型は、玄関からSICを通って室内へ抜けられる便利さがある一方、通路を確保するため収納量とのバランスが重要です。
棚の奥行きも物に合わせる

靴を置く棚と、ベビーカーやキャンプ用品を置く場所では必要な奥行きが違います。
すべて同じ棚にしてしまうより、
- 靴
- 長靴・ブーツ
- 傘
- ベビーカー
- アウトドア用品
など、収納する物ごとに必要な高さ・奥行きを考えたほうが使いやすくなります。
臭い・湿気・換気も忘れない
SICには、履いたあとの靴や濡れた傘、レインコートなどを収納することがあります。
間取りによっては臭いや湿気がこもりやすいため、換気方法まで考えておきたいところです。
窓を設ける、換気設備を検討する、扉をルーバータイプにするなど、間取りや使い方に合わせて住宅会社と相談しましょう。
SICのコンセントは意外と便利
玄関やSICで忘れやすいのがコンセントです。
例えば、
- 電動自転車のバッテリー充電
- 掃除機
- 靴乾燥機
- 除湿機
- 季節のイルミネーション
- 防犯機器
などに使えます。
「今は使わないから」と省いてしまうと、後から延長コードを使うことになりかねません。玄関で電気を使う場面がないか、一度考えておくと安心です。
玄関を明るくする5つの方法

玄関は外から室内へ入ったときに最初に目に入る場所なので、明るさによって印象が大きく変わります。
特に日中は明るい屋外から入るため、実際の照度以上に玄関を暗く感じることがあります。
1.照明計画を考える
自然光を取りにくい玄関なら、照明で補います。
玄関だけでなく、ホールや廊下まで含めて照明計画を考えると、帰宅したときの暗さを感じにくくなります。
人感センサーを組み合わせれば、買い物袋や子どもを抱えて両手がふさがっているときにも便利です。
2.採光できる玄関ドアを選ぶ

玄関ドアには、ガラス部分から自然光を取り込める採光タイプがあります。
ただし、「採光窓付き=防犯面も安心」とは限りません。採光部分の大きさやガラス、錠などを含め、ドア全体の防犯性能も確認しておきましょう。
3.高い位置の窓やトップライトを利用する

間取りによっては、玄関の高い位置に窓を設けたり、吹き抜けやトップライトを使って光を入れたりする方法もあります。
トップライトを採用するなら、採光だけでなく暑さや雨仕舞い、将来のメンテナンスも含めて検討しておきたいところです。
4.内装を明るくする

壁や天井、床の色によっても玄関の印象は変わります。
落ち着いた濃色を多く使えば重厚感を出しやすい反面、空間が暗く感じることがあります。
明るさを優先したいなら、光を反射しやすい明るめの内装をベースにする方法があります。
5.鏡を使う

姿見は外出前の身だしなみ確認に使えるだけでなく、光や空間を映すことで玄関を広く感じさせやすくなります。
玄関収納の扉に組み込めば、場所を取りにくいのもメリットです。
玄関にあると便利な設備

玄関設備はたくさんありますが、「人気だから」ではなく自分たちが実際に使うかで判断しましょう。
人感センサー付き照明
玄関では、人感センサー付き照明との相性が良好です。
一般的な壁スイッチの場合、配置によっては「靴を履いたあとでは遠い」「消してから暗い中をドアまで歩く」といった使いにくさが出ることがあります。
人感センサーなら、帰宅時・外出時とも自動で点灯・消灯でき、両手がふさがっているときにも便利です。
玄関ベンチ

玄関ベンチは、高齢になってからだけでなく、ブーツを履くとき、子どもに靴を履かせるとき、荷物を一時的に置くときにも便利です。
将来まで考えるなら、最初からベンチを設置しなくても、後から置けるスペースを確保しておく方法があります。
式台

式台は、上がり框の大きな段差を分割して上り下りしやすくするための方法です。
小さな子どもがいる家庭や、将来の暮らしやすさまで考える場合は、玄関の段差とあわせて検討できます。
土間スペース

土間を広げれば、靴を履いたまま使える場所が増えます。
ベビーカー、自転車、アウトドア用品などを室内側へ持ち込みやすいのがメリットです。
ただし土間を広げた分、居室に使える面積は減ります。「何を置くために必要なのか」を明確にして広さを決めましょう。
玄関ポーチまで含めて計画する

玄関計画というと室内ばかり見てしまいますが、玄関ドアの外側も毎日の使い勝手を左右します。
特に見ておきたいのが、玄関ポーチと庇です。
雨の日に玄関前で鍵を探す、傘を開閉する、宅配便を受け取るといった場面を考えると、屋根のかかる範囲が小さすぎると意外に不便です。

玄関ポーチでは、次の点をチェックしてみてください。
- 玄関ドアを開けても人が立てるか
- 雨を避けられる庇の深さがあるか
- ベビーカーを一時的に置けるか
- 宅配ボックスを設置する場所があるか
- 段差につまずきにくいか
- 床材が雨で滑りやすくないか
- 夜間に足元を照らせるか
玄関ドアだけ豪華にしても、ポーチが使いにくければ毎日の小さなストレスにつながります。
玄関ドアはデザインだけで選ばない

玄関ドアは外観の印象を大きく左右しますが、デザインだけで決めると後悔することがあります。
主に見ておきたいのは、次のポイントです。
- 開き方
- 断熱性能
- 採光・通風
- 防犯性能
- スマートキーなどの操作性
- 防火性能が必要か
開き戸と引き戸を比較する
| タイプ | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 片開きドア | 一般的で商品・デザインの選択肢が豊富 | 標準的な玄関 |
| 親子ドア | 必要なときに子扉も開けて開口を広げられる | 家具搬入などで広い開口が欲しい |
| 両開きドア | 存在感があるが広い間口が必要 | 玄関を大きく見せたい住宅 |
| 引き戸 | 扉を手前・奥へ振らずに開閉できる | ベビーカー・車椅子・省スペースを重視 |
例えば引き戸なら、扉を手前へ開くためのスペースが不要です。

ベビーカーを押したまま出入りしたい家庭や、将来的な車椅子利用も考えている場合には有力な選択肢になります。
一方で、商品によって必要な間口や断熱性能、価格は異なります。開き戸・引き戸を最初から決めつけず、生活動線から比較してみてください。
玄関ドアの断熱性能は意外と重要

玄関ドアは外気に直接接する大きな開口部の一つです。
断熱性能の低い玄関ドアでは、冬に玄関周辺が冷えたり、夏に熱気を感じたりすることがあります。
そのため、玄関ドアを選ぶときは、見た目だけでなく断熱性能にも目を向けておきたいところです。
特に、
- 玄関とLDKの距離が近い
- 廊下を少なくした間取り
- 吹き抜け玄関
- 寒さ・暑さが厳しい地域
では、玄関周辺の温熱環境も含めて選びましょう。
断熱性能のグレードを上げれば費用も上がるため、住宅全体の断熱性能とのバランスも見ながら決めます。
玄関ドアで確認したい便利機能

玄関ドアにはさまざまな便利機能があります。
製品によって、
- スマートフォンでの施解錠
- リモコンキー
- カード・タグキー
- 顔認証
- オートロック
- 施解錠履歴の確認
- 採光
- 通風
などに対応しています。
ただし、「機能が多いほど良い」とは限りません。
例えばスマートフォンを鍵にする機能があっても、家族全員がスマートフォンを使うとは限りません。子どもにはタグキー、高齢の家族には手動キーのほうが使いやすい場合もあります。
スマートキーを選ぶなら、停電・電池切れ・スマートフォンの紛失などが起きたときに、どう解錠するのかも事前に確認しておくと安心です。

土地条件によって玄関ドアの選択肢が変わることもある

玄関ドアは好きなデザインから自由に選べると思われがちですが、土地や建物の条件によっては防火性能が求められる場合があります。
例えば、防火地域・準防火地域などでは、建物の位置や開口部の条件によって防火設備が必要になるケースがあります。玄関ドアも外壁の開口部の一つです。
そのため、気に入った玄関ドアを見つけても、必要な防火仕様が用意されていなければ採用できない場合があります。
宅建士として土地・建物を見るときも、こうした法規制はデザインより先に確認しておきたい部分です。
土地を購入して注文住宅を建てる場合は、玄関ドアを決める前に敷地の防火規制などを住宅会社へ確認しておきましょう。
玄関にお金をかけすぎない・削りすぎない

玄関は設備を追加しようと思えば、いくらでも豪華にできます。
SICを広くする、玄関ドアをグレードアップする、スマートキーを付ける、タイルや照明にこだわる……と積み上げれば、その分だけ建築費も増えていきます。
一方で、「玄関は寝る場所ではないから」と削りすぎると、毎日の出入りでストレスを感じることになりかねません。
予算を考えるときは、
- 毎日使うか
- 家族全員が使うか
- 後から簡単に変更できるか
- 面積を増やす価値があるか
で優先順位を決めると整理しやすくなります。
例えば鏡やベンチは後から設置できますが、玄関そのものの幅やSICの大きさ、玄関ドアの種類は完成後に簡単には変えられません。
後から変更しにくいものから予算を優先すると、家づくり全体の予算も調整しやすくなります。
玄関計画の最終チェックリスト

間取りを決める前に、次の項目を確認してみてください。
- □ 玄関に置く物を書き出した
- □ 家族が同時に出入りする場面を想定した
- □ 靴の数だけでなくベビーカー・雨具なども考えた
- □ SICの通路を除いた実際の収納量を確認した
- □ SICの換気・湿気対策を確認した
- □ 玄関・SICにコンセントが必要か考えた
- □ 昼間の玄関の明るさを確認した
- □ 人感センサー照明を検討した
- □ 上がり框の高さを確認した
- □ 将来ベンチや式台を置けるか確認した
- □ 玄関ポーチの広さと庇を確認した
- □ 雨の日の動きを想定した
- □ 玄関ドアの断熱性能を確認した
- □ 開き戸と引き戸を比較した
- □ スマートキーが家族全員に使いやすいか確認した
- □ 防火仕様が必要な玄関ドアではないか確認した
このチェックをしながら間取りを見ると、「玄関が広い・狭い」だけでは見えなかった問題がかなり見つけやすくなります。
玄関は毎日使うからこそ「暮らし方」から決めよう

玄関づくりで最も大切なのは、豪華にすることでも、人気の設備をたくさん採用することでもありません。
まずは、玄関に何を置くのかを書き出す。
次に、家族がどのように出入りするのかを考える。
そのうえで、必要な広さ、収納、明るさ、玄関ポーチ、玄関ドアを決めていけば、余分な面積や設備を減らしながら使いやすい玄関をつくりやすくなります。
新築なら、完成してから「もう少し広くすればよかった」と思っても簡単には直せません。逆に、広くしすぎてしまった面積をLDKへ戻すこともできません。
玄関は「何畳にするか」ではなく、「ここで何をするか」から考える。
これが、後悔しにくい玄関づくりの基本です。
新築で玄関を含めた間取りを比較したい場合
玄関の広さやSICは、玄関だけを切り離して考えることはできません。LDKや洗面所、ファミリークローゼットなど家全体の間取りとのバランスが重要です。
これから注文住宅を検討する方は、複数の住宅会社から間取り提案を比較して、自分たちの生活に合う玄関を考える方法もあります。
今の玄関をリフォームしたい場合
玄関ドア交換や収納、土間、玄関ポーチなどをリフォームする場合は、工事内容によって費用や提案が変わります。
1社だけで決めず、工事内容と見積もりを比較したうえで依頼先を決めると安心です。


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