借地権付き住宅を見つけたとき、価格の安さが魅力でも「土地を借りたまま家を買って大丈夫?」と迷う方は多いでしょう。
借地権付き住宅は購入・売却・相続できます。ただし、土地も所有する住宅とは、住み続けられる期間、毎月の負担、建て替えや売却の条件が違います。
借地権付き住宅を購入するなら、まず土地を借りる契約の内容と、住み始めてからどのような負担が発生するのかを知っておきたいところです。すでに借地権を持っている方も、売却や相続の際には、土地も所有する住宅とは異なる手続きや確認事項があります。
3分でわかる宅建士講座|借地権で最初に知っておきたい5つのこと

- 土地は地主、建物は借地人が所有する
- 普通借地権と定期借地権では、更新と終了時の扱いが違う
- 土地賃借権を売る場合と、相続する場合では地主の承諾の扱いが違う
- 購入価格のほかに地代・一時金・返還費用も見込む
- 古い借地は、契約開始日と旧借地法の適用関係を確かめる


そうですね。借地権付き住宅でも、契約によって住み続けられる期間や売却時の条件は違います。購入価格だけを見ると魅力的でも、地代や将来の建て替えまで考えると、土地も所有する住宅とは負担が変わってくるんですよ。
借地権とは?土地と建物の所有者が違う住宅

借地借家法上の借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権です。土地は地主のものでも、その上の住宅は借地人が自分名義で所有できます。駐車場用地を借りる契約などとは区別されます。
参考:借地借家法第2条
| 比較項目 | 借地権付き住宅 | 土地も所有する住宅 |
|---|---|---|
| 土地・建物 | 土地は地主/建物は借地人 | 土地・建物とも購入者 |
| 継続費用 | 地代、建物の税金・維持費など | 土地・建物の税金・維持費など |
| 利用できる期間 | 借地権の種類・契約による | 借地契約による期限なし |
| 建て替え・売却 | 契約内容や権利の種類によって地主との調整が必要 | 法令・権利関係の範囲で判断 |


そうなんです。家を買うときは建物の状態や価格に目が向きますが、借地権付き住宅では土地を借りる契約も一緒に確認したいですね。
将来建て替えたいときや家を売りたいときに困らないよう、購入前に借地契約書まで見せてもらいましょう。
なお、借地人が持つのが「借地権」、借地権が設定された土地について地主が持つ所有権を「底地」と呼びます。土地を貸す地主の立場や底地について詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。

借地権にはどんな種類がある?契約開始日と終了条件を確認

住宅の借地権でまず区別したいのは、更新を前提とする普通借地権と、期間満了で終了する仕組みの定期借地権です。さらに、古い契約では旧借地法の経過措置、権利の性質としては地上権・土地賃借権の違いも確認します。
| 種類 | 購入時に見ること |
|---|---|
| 旧借地法が関係する借地権 | 1992年8月1日より前の設定か、従来の契約・更新履歴はどうか |
| 現行法の普通借地権 | 当初の存続期間は原則30年以上。更新後の期間や更新条件はどうか |
| 一般定期借地権 | 設定期間50年以上。契約満了日、残りの年数、建物の取壊し・返還条件はどうか |
| 建物譲渡特約付借地権 | 設定後30年以上経過した時点の建物譲渡条件・代金はどうか |
事業用定期借地権等は原則として居住用建物を目的に設定する制度ではありません。住宅広告に「定期借地権」と書かれていたら、名称だけで判断せず、重要事項説明書と元の借地契約書で種類を特定してください。
普通借地権と旧法借地権は更新のルールを一律に考えない
現行法の普通借地権は、原則として当初30年、最初の更新後20年、その後の更新後10年という期間の規定があります。契約でそれより長く定めることもでき、更新拒絶には法律上の要件が問題になります。
一方、1992年8月1日より前に設定された借地権は、借地借家法施行後も旧借地法に関する経過措置が問題になる場面があります。祖父母の代から続く借地を「今の普通借地権は30年だから」と当てはめず、最初の契約と更新の記録を調べましょう。
中古の一般定期借地権は「購入日から50年」ではない
一般定期借地権は、更新しないことなどを所定の方式で定める仕組みです。残存期間が18年の中古住宅を買っても、購入時に新たな50年が始まるわけではありません。何年住みたいのか、住宅ローンをいつまでに返すのか、満了時に建物をどうするのかを、購入前に一緒に考える必要があります。


そうですね。一般定期借地権では、期間満了で借地関係を終了させることが前提です。
中古住宅を買っても、そこから新しく50年借りられるわけではありません。今の契約がいつ終わるかを見て、住みたい期間に足りるか確かめましょう。
また、地上権と土地賃借権は、更新期間ではなく権利の性質の違いです。地上権は物権、土地賃借権は契約に基づく権利で、第三者への譲渡や登記の確認方法にも違いがあります。契約書と登記事項証明書を見て区別してください。
借地権の種類や権利関係をもう少し詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。

借地権付き住宅を購入するメリット

借地権付き住宅の魅力は、土地の所有権まで買う住宅に比べ、希望エリアの住宅を予算内で探しやすくなる場合があることです。都市部などで購入価格の差が大きいと、立地や建物に予算を振り向けられます。
- 土地所有権まで取得しないため、物件の取得価格を抑えられる場合がある
- 所有権付きでは予算を超える駅近・希望学区も比較対象になり得る
- 土地を借りながら、自分名義の建物を所有できる
- 土地の固定資産税は原則として地主が納税する。ただし借地人には地代がある
土地を所有することにこだわらず、希望の場所に住みたい方にとっては魅力的な選択肢です。ただし「安く買える」という理由だけで決める前に、地代や将来の売却条件も含めて比べてみましょう。


予算内で希望エリアの家を探せるのは、うれしいですよね。
例えば地代が月2万円なら、ローン返済とは別に年24万円が必要です。その負担と、将来手放すときの条件まで納得できるかで判断しましょう。
借地権付き住宅のデメリットと購入後に困りやすいこと

借地権付き住宅で気をつけたいのは、毎月の地代だけではありません。更新・建て替え・売却・借地期間の終了など、購入時には見落としやすい費用や制約もあります。
| 起こり得ること | 契約・資金面で確認すること |
|---|---|
| 地代の継続・改定 | 月額・年額、改定の経緯、入金方法、値上げを求められた場合の対応 |
| 更新時の一時金 | 更新の有無と更新料の特約、過去の更新時の合意。法定の一律料金はない |
| 建て替え・増改築 | 増改築禁止特約、借地条件、承諾の要否、建て替え承諾料等 |
| 借地権付き建物の売却 | 土地賃借権の譲渡承諾、承諾料、買主の融資条件。地上権の場合は扱いが異なる |
| 住宅ローン | 取扱金融機関の条件、担保、地主の承諾、借入期間。借地権の残存期間にも注意 |
| 期間満了時 | 更新の有無、建物を壊して返すか、譲渡するか、費用を誰が負担するか |
地代の増減については、借地借家法11条に規定があります。地主から値上げを求められても、提示された金額がそのまま当然に確定するわけではありません。

地代を上げると言われたら、地主さんが提示した金額をそのまますぐ払わないといけないんですか?

増額を求められることはありますが、「地主が2倍と言ったから翌月から2倍で確定」というわけではありません。
金額について合意できない場合は協議し、それでもまとまらなければ調停や訴訟などによって判断されることがあります。
地代の値上げを求められたときの対応は、こちらで詳しく確認できます。

更新料は、すべての借地で法律上必ず発生する一律の料金ではありません。契約書の定めや過去の支払いも確かめておきましょう。

将来建て替えたい場合は、借地契約だけでなく、その土地の接道や建築条件、建て替え後の融資まで調べておきたいところです。

土地賃借権を第三者へ譲渡するときは、原則として地主の承諾が必要です。承諾が得られない場合には、要件により裁判所へ申し立てる制度もあります。


土地賃借権ではそうですね。
売却を考え始めたら、査定額だけでなく、地主の承諾や譲渡条件、買主が住宅ローンを利用できるかも早めに確認しておきましょう。
借地権付き住宅は購入しても大丈夫?確認書類と総住居費

借地権付き住宅だからといって、最初から購入候補から外す必要はありません。ただし、価格の安さだけで決めてしまうと、地代や将来手放すときの条件で後悔する可能性があります。住む期間・支払う費用・手放す条件の3つが、希望する生活と合うかを考えてみましょう。
重要事項説明書と借地契約書で確認する項目
| 確認項目 | 資料で確認すること |
|---|---|
| 借地権の種類 | 旧法の適用関係、普通・定期、地上権・土地賃借権 |
| 契約期間 | 設定日、満了日、残存期間、更新条件 |
| 地代・一時金 | 支払額、改定履歴、更新料、保証金・前払賃料、承諾料 |
| 建て替え・売却 | 増改築・譲渡の特約と必要な承諾 |
| 土地と建物の登記 | 地主・借地人・建物名義、抵当権、借地権の第三者への対抗力 |
| 建築上の条件 | 道路への接し方、用途地域、再建築の可否 |
| 契約終了時 | 建物の取壊し、返還、保証金の返還条件 |
| 住宅ローン | 融資可否、借入期間、担保・地主承諾書の要否 |
| 売買契約の解除条件 | 必要な譲渡承諾や融資が得られなかった場合、手付金をどう扱うか |
仲介会社に重要事項説明書と借地契約書、更新時の覚書を見せてもらい、記載が食い違うところは契約前に確かめましょう。口頭の「建て替えはたぶん大丈夫」「更新できると思う」だけで購入を決めないことが大切です。
住宅ローンは「借地でも使えるか」と「何年借りられるか」を分ける
【フラット35】でも、敷地が借地の住宅が対象になる場合があります。ただし、普通借地権と定期借地権では借入期間の取扱いが異なり、定期借地権等は通常の借入期間と残存期間の短い方が上限です。また、名義書換料や承諾料は借地権取得費として借入対象になりません。
「融資できます」と言われても、希望する年数で借りられるとは限りません。借地契約書を金融機関に見せ、借入期間と、どの費用まで融資の対象になるかを確認しておきましょう。
FP視点|地代込みで、買うときから手放すときまで比べる
例えば、土地も所有する住宅より1,000万円安く買えても、地代が月2万円で変わらないと仮定すると30年で720万円です。これだけで損得は決まりませんが、購入時の価格差だけを見て「1,000万円得する」とは考えられません。
| 比べる時点 | 借地権付き住宅 | 土地も所有する住宅 |
|---|---|---|
| 取得時 | 頭金・諸費用・権利金・保証金等 | 頭金・土地建物の諸費用等 |
| 保有中 | ローン・地代・建物の税金・保険・修繕・契約上の一時金 | ローン・土地建物の税金・保険・修繕 |
| 売却・返還時 | 売却費用・承諾料・契約による解体費用等 | 売却費用・必要に応じた解体費用等 |
家計の比較では、現金で出す取得費用、比較期間中のローン返済、地代、税金・維持費、手放す費用を合計し、売却収入や返還される保証金があれば差し引きます。購入代金とローン返済の元本を二重に足さないようにしてください。売却時にローン残債があれば、返済額も見込みます。
子どもの教育費が増える時期や退職後にも地代を払い続けられるか、家計に当てはめて考えてみましょう。地代が上がる場合、希望価格で売れない場合、定期借地権の満了で更地返還する場合も分けて試算しておくと安心です。
税務上の借地権割合と、将来の売却価格も別です。借地権割合70%の地域でも、必ず更地価格の70%で売れるわけではありません。売却相場や査定額の見方を詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。

参考:国税庁「借地権の評価」
借地権を売りたいときは?売却方法の概要

借地権付き住宅は、仲介で買主を探す、専門会社へ直接買い取ってもらう、地主に相談するなどの方法で売却を検討できます。土地賃借権を第三者へ譲渡する場合、地主の承諾が原則として必要です。売り出す前に契約・地代・建物登記・承諾条件を確認します。
借地権の売却方法を詳しく知りたい方は、仲介・買取・地主への売却など、それぞれの違いをこちらで確認できます。

売りに出しても買主が見つからない場合は、売れにくい原因と対策も知っておきましょう。

不動産会社に直接買い取ってもらうことを考えている方は、買取先の選び方も参考にしてください。

地主から譲渡の承諾を得られず困っている場合は、次の記事で対応方法を確認できます。

売却・買取の条件を相談したい場合
借地権を売りたいと思っても、地主との調整や売却価格の見通しが立たず、どこから手をつければいいのか迷う方もいるでしょう。そのような場合は、借地権を扱う不動産会社に契約内容を伝え、どのような売却方法が考えられるか相談するのも一つの方法です。
首都圏1都3県の借地権なら、次の無料相談・査定も選択肢になります。相談前には取扱範囲と費用が発生する条件を確認しておきましょう。なお、紛争の代理は弁護士、税務申告は税理士など、相談したい内容によって窓口は異なります。
一般の仲介では買主が見つかりにくい借地・底地なら、不動産会社に直接買い取ってもらう方法も検討できます。査定額だけでなく、地主への連絡を誰が行うか、費用や引渡し時期まで比べてみましょう。専門買取の相談先として、次のサービスも確認できます。
借地権を相続したら?最初に確認すること

借地権も相続できます。相続による借地人の地位の承継について、地主の譲渡承諾は原則不要です。ただし、建物の相続登記、地代の支払先、契約や更新の履歴は別に確認します。
親が借りていた土地に子が住む場合と、誰も住まず売却したい場合では、考えることが違います。相続人が複数いるなら、建物と借地権を誰が引き継ぐかも話し合っておきましょう。不要な借地権だけを選んで相続放棄することはできません。
相続が発生したばかりで、何から始めればよいのか分からない方は、まずはこちらをご覧ください。

相続に伴う名義変更の手続きについては、次の記事で詳しく説明しています。

相続税が気になる方は、借地権の評価や特例も確認しておきましょう。

相続放棄を考えている場合は、判断する前に期限や手続きも確認してください。

相続後の建物登記や、地主以外の第三者に借地権を主張するための対抗力についてはこちらです。

相続した借地権を手放したい場合の相談先
相続した借地権付き住宅に住む予定がない場合でも、保有している間は地代や建物の税金・修繕費がかかります。今後も管理を続けるのか、それとも売却するのか迷っている方は、まず売却した場合の手取りを確かめてみましょう。
首都圏1都3県の借地権なら、次の無料相談・査定を利用して、売却の可能性を確かめる方法もあります。
まとめ|借地権付き住宅は「価格」だけでなく契約と出口を見る

借地権付き住宅を買う前に、借地権の種類と残存期間、地代を含む負担、建て替え・売却・返還条件を確かめておきましょう。物件価格だけでなく、住み続ける間と手放すときのことまで考えると、自分に合う住宅か判断しやすくなります。
すでに借地権を持っている方は、今の契約をもとに、住み続ける・売る・相続人へ引き継ぐ場合の費用や手続きを比べてみてください。
借地権を手放したいものの、地主との調整や売却価格に不安がある方は、専門会社に相談し、今の契約でどのような売却方法が考えられるか確認する方法もあります。首都圏1都3県の借地権なら、次の無料相談・査定も選択肢になります。
1都3県の借地権なら「借地権 無料相談ドットコム」で無料相談・査定を確認する
仲介で買主を探すだけでなく、専門会社による直接買取を考えている方は、査定額や費用、引渡しまでの流れも比べておきましょう。借地・底地などの買取相談先として、こちらも確認できます。
※本記事は不動産・税金・法律に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の契約や相続、税務上の判断については、必要に応じて弁護士、司法書士、税理士、不動産会社などの専門家へご相談ください。


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