家や土地を購入する際に、なんとなく夫の「単独名義」に決めてしまってはいませんか?
メインで働いているのが夫で、住宅ローンも夫名義で借りたのなら分かりますが、昨今、働き方や夫婦のあり方が変化している中で、なんとなく夫の「単独名義」と流れ作業で済ませると損する可能性も出てきます。
今回は「単独名義」ではなく、夫婦や親子で「共有名義」にする場合のメリットとデメリットについて紹介していきます。
共有名義とは?
家や土地を購入した際に「購入した家の登記簿上の持ち主が誰か」名義を決めます。
この名義を夫など誰か1人の名前で登記する場合は「単独名義」というのに対し、夫婦や親子など複数で登記することを「共有名義」と言います。
一般的にはお金を出した割合に基づいて「持ち分」の割合を決めて登記します。
夫が住宅ローンを組み、妻は頭金の一部を負担したり、夫婦それぞれの名義でペアローンを組んだり、お互いの収入や資産に応じて決めていきます。
夫婦共有名義のメリット
それではさっそく、共有名義にする場合のメリットについて紹介してまいります。
贈与税がかからない
まず、共有名義にすると、出した資金の割合に応じて所有権をもつことになるので贈与にはならず、贈与税もかかりません。
ただ、注意しなければならないのが例えば妻が2割しかお金を出していないのに、5割の持分で登記してしまうと、その差額が贈与とみなされ、贈与税がかかってしまう可能性があることです。
夫婦両方が住宅ローン控除を受けられる
夫婦それぞれの名義で住宅ローンを組むことになるので、2人とも住宅ローン控除を受けられます。
「年末の住宅ローン残高が3000万円」「夫の単独名義」の場合、住宅ローン控除額は
3000万円×控除率1%=30万円
なのですが、この30万円は所得税からの控除なので、所得税が30万円以下ならば、その分しか恩恵を受けられません。
例えばその年の夫の所得税が20万円だったとすると、控除は20万円だけとなってしまいます。
一方で仮に住宅ローンを、夫:妻=2:1の割合で借り、所得税は夫20万円、妻10万円だったとします。
その年の年末の住宅ローン残高が3000万円だった場合、
住宅ローン残高の比率も、夫:妻=2000万円:1000万円となり、
住宅ローン控除の最大額面もそれぞれ×1%で、
夫:妻=20万円:10万円
となります。
所得税の額面に対して控除が受けられるので、この場合は合計30万円の控除が受けられるため、前者よりも住宅ローン控除の恩恵が大きくなったことがお分かり頂けるとおもいます。
住宅ローン借入額が増やせる
夫婦の収入を合算することで、どちらか一方の収入では届かなかった額の借り入れが可能になります。
理想的な住宅ローンの借り入れ額は、年収負担率25%ほどで考えられます。
夫の年収が500万円の場合、3100万円程度。
これに妻の年収100万円を足すと、
夫婦の合算年収が600万円と計算され、3700万円程度まで借り入れが可能になります。
最近は共働き夫婦が増え、収入の割合の差もあまりない夫婦も増えてきました。それぞれの収入を合わせると、住宅ローンの組める枠も増え、結果的に自分たちの思い描いた住宅の実現に近づくことが可能になります。
売却時の控除を両者が受けられる
将来的に家を売却し、譲渡所得が生じた際に、6000万円まで非課税になります。
夫婦共有名義のデメリット
次に、共有名義にした場合のデメリットについても確認してまいります。
離婚した場合手続きが面倒
住宅ローンがまだ残っている状態で離婚すると、離婚時の財産分配が複雑になります。また、売却には夫婦2人の同意が必要になるので時間がかかることが多いのです。
配偶者のどちらかが亡くなってもローンが残る
単独名義の場合、ローン名義人が亡くなれば、多くの場合で加入している団信により残債はなくなりますが、夫婦別の名義でローンを組んだ場合や、連帯債務の場合は、どちらかが亡くなった場合でも、もう一方のローンは残るのです。
ただし、夫婦で加入する団信で、どちらか一方が亡くなった場合に残りのローン返済の義務が残らない商品もあります。
働けなくなるリスク
共有名義の多くの場合、2人の収入の合算をもとに毎月の返済額をシミュレーションしているため、妻の出産や、育児の為の退職などで毎月の返済がアッパ買うされる可能性があります。
共有名義のメリット・デメリットまとめ
ということでここまで共有名義のメリット・デメリットについてまとめてまいりました。
大きいメリットは、
- 住宅ローン借入額を増やせる
- 住宅ローン控除の恩恵を受けやすい
ということですが、離婚をした場合や片方が亡くなった場合に負担や手間が増えるデメリットもありますので、よく検討して名義決めをすると良いでしょう。
それでは。
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