マイホーム購入は、「住宅ローンの返済」や「固定資産税などの税金」が心配でなかなか踏み切れないという方も多いかと思います。
しかし、このサイトで紹介した方法で計算してみると、知らなかった時よりもかなり不安は解消されたかと思います。
加えて、住宅購入をすると国からさまざまな支援やサポートを受けられるのです。
「すまい給付金」や「住宅ローン減税」「一定額までの贈与税の免除」などがその例です。
今回はその中で、金額的にもかなりありがたい「住宅ローン減税」に関して紹介してまいります。
計算方法が難しく最初はつまずいたのですが、そのおかげでみさなまにはわかりやすく紹介できると思います。
最後までお付き合いください。
住宅ローン減税・住宅ローン控除とは?
まずは、そもそも住宅ローン減税・住宅ローン控除とはどのようなサポートなのでしょうか?
一言で言えば、
「年末の住宅ローンの残高に応じた額が、最長10年間にわたって所得税から控除される」
という税制優遇制度です。
住宅ローン控除額はいくら?
住宅ローン減税の計算式は、あえてシンプルに表せば、
年末時点の住宅ローン残高×1%
です。
例えば年末の住宅ローン残高が3000万円だとすれば、確定申告すると住宅ローンの1%(3000万円×1%)つまり30万円が所得税から差し引かれて還付(戻って来る)されるということです。
ただ、あくまで最大30万円という話で、そもそも所得税が20万円だった場合は20万円が還付され、残りの10万円は翌年の住民税から差し引かれます。
住民税が10万円いかない場合は、残念ながらそれ以上の恩恵は受けられません。
実はもっと細かい条件があるのですが、そのあたりは後ほど。まずは簡単に理解していただければここまではOKです。
住宅ローン減税のしくみ
住宅ローン減税を難しい言葉でポイントをまとめると以下のようになります。難しい言葉が嫌いな方は飛ばしていただいてもかまいません。
- 現行制度では、2021年12月末までに一般の住宅に入居すると10年間の最大で400万円(認定長期優良住宅は500万円)の控除が受けられる
- 住宅ローン減税による控除額のうち、所得税から控除しきれない額を翌年度分の住民税から控除する。住民税の控除額の上限は前年の所得税の課税総所得金額等の7%、最高13万6500円
- 4月1日以降の減税額は所得税+13万6500円と課税所得の7%のうち少ない方(住民税の減額分も上限)となる
住宅ローン控除の概要
住宅ローン控除の概要 | |||||
借入金年末残高限度額 | 控除率 | 控除期間 | 年間最大控除額 | 10年最大控除額 | |
一般住宅 | 4000万円 | 1% | 10年間 | 40万円 | 400万円 |
認定住宅 | 5000万円 | 1% | 10年間 | 50万円 | 500万円 |
※認定住宅とは、「長期優良認定住宅」「認定低炭素住宅」を示す
※長期優良住宅とは、耐震等級2以上、省エネルギー対策等級4、維持管理対策等級3などの条件をクリアした住宅
※2019年税制改正で11年目から13年目は年末ローン残高の1%か。4000万円を限度とする建物取得対価等(税抜き)の3%の1/3の金額のどちらか小さい方(=特別控除額)が控除額となる見通し
住宅ローン控除の条件
さて、この住宅ローン控除を受けるためには、一定の条件を満たしている必要があります。
- 自ら居住する住宅である
- 住宅取得後半年以内に入居している
- 床面積が50㎡以上であること
- 借入金の返済が10年以上
- 年収3000万円以下である
上記条件を満たし、翌年の確定申告で申請をする必要がありますが、おそらく一般的な方はほぼ満たしている条件かと思います。
注意していただきたいのは、住宅ローン控除を受けられる10年以内に、余裕があるからと「繰上げ返済」をし、返済期間が10年を割ると条件適用から外れてしまうことです。
増税後の住宅ローン減税はどうなる?
増税後の住宅ローン減税の制度拡充も気になるポイントですので確認しておきます。
消費税増税後は「建物」や「工事費」「仲介手数料」にかかる消費税が高くなる分、住宅ローン減税の恩恵も手厚くなっています。
10年目までの恩恵は同じですが、追加で3年間延長となります。
延長となった3年間は「建物価格の2%と借入残高の1%の還付を3年間続けた場合に、少ない方の金額が実際の減税額」になります。
恩恵を受けられる方は、
2019年10月から2020年末の間に新たに契約し引き渡された住宅やマンションが対象
- 契約から入居まで時間のかかる注文住宅は、2019年4月契約分からが減税対象です。
- 住民票を移して入居する人に限ります。
住宅ローン控除額の計算方法・計算例
さて、それでは実際に自分たちがどのくらい住宅ローン控除の恩恵を受けられるのかを計算していきましょう。
所得税を計算してみる
自分の所得税から住宅ローン控除を受けられるわけですから、まずは実際に自分の所得税を計算する必要があります?
もちろん確定申告をすればわかる事なのですが、これからマイホーム購入を検討している方は、おおよその額を知っておきたいものです。
それでは、自分の所得税を計算してみましょう。所得税の計算は以下の表で計算できます。
所得税率早見表 | ||
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円〜330万円以下 | 10% | 9万7500円 |
330万円〜695万円以下 | 20% | 42万7500円 |
695万円〜900万円以下 | 23% | 63万6000円 |
900万円〜1800万円以下 | 33% | 153万6000円 |
1800万円超え | 40% | 279万6000円 |
例えば年収500万円のサラリーマンで計算してみます。
間違えやすいのですが「上の表で、年収500万円だったら、税率20%だから、所得税は100万円か」とはなりません。
表の「課税される所得金額」は、
給与の500万円から社会保険料や生命保険や基礎控除38万円、扶養控除、医療費控除、ふるさと納税などをすべて引いた後の金額です。確定申告所でいうと右上の金額です。
その「課税される所得金額」が仮にこの方は250万円だとすると、黄色マーカーの欄が適用されますので、
250万円×税率10%=25万円
この方の所得税は25万円という事になります。
さらに、所得税の控除額が適用されるので、9万7500円を引きます。
25万円-9万7500円=15万2500円
15万2500円という事になります。
住宅ローン控除額を計算する
この15万2500円という金額に対して住宅ローン控除が適用になるのですが、控除額は年末の住宅ローン残高により計算します。
例えば、年末ローン残高が3000万円だとすれば、
3000万円×1%=30万円
控除できる最大金額は30万円ですから、これを先ほどの15万2500円から引きます。
15万2500円-30万円=0円(マイナスになるので)
15万2500円は全額還付(返ってくる)されることになります。ありがたいですね。
では、残った住宅ローン控除額はどうなるのでしょうか?
30万円-15万2500円=14万7500円
この14万7500円は無駄になってしまうのかというとそうではなく、さらに翌年の住民税から差し引かれます。
払っている住民税額にもよりますが、これだけの金額の支払いが免除されるのですから、非常にありがたいです。
しかし、住民税からの控除の限度額は13万6500円でしたから、
年間の住民税が13万6500円未満であれば翌年の住民税は実質0円ということになります。
それでも余った分は、残念ですが戻ってきません。
還付総額|住宅ローン減税シュミレーション
ここまでで、毎年の還付額の計算方法はご理解いただけたかと思います。
では、最大10年間でどのくらい還付されるのか、その総額をシュミレーションをしてみたいと思います。
シュミレーション条件
- 年収500万円
- 妻は専業主婦
- 16歳未満の子が1人
- 住宅ローン借入額2600万円
- 控除額は最大で所得税額9.6万円
- 住民税額13.4万円
シュミレーション結果
シュミレーションしてみた結果、10年で実に224.7万円も還付されることになりました。
住宅ローン減税 | |||
ローン残高 | 最大控除額 | 還付される税額 | |
1年目 | 2575.2万円 | 25.8万円 | 23万円 |
2〜10年目 | 2524.8万円 〜 2078.7万円 | 25.5万円 〜 20.8万円 | 23万円 〜 20.8万円 |
合計 | 224.7万円 |
※住宅ローン金利2.2%、返済期間35年、住宅ローン借入れから6回返済を行って年末になった場合
住宅ローン減税 控除額早見表
前項のシュミレーションで、「あれ?最大400万円のはずなのに、224万円だけ?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そうなんです。
実は住宅ローン控除は、年収が高いほど(3000万円未満)、住宅ローン借入額が多いほど恩恵を受けられる仕組みなので、一般的な家庭では160万円〜300万円程度の恩恵を受けるのが限界です。
以下に住宅ローン減税控除額早見表を設けます。
試算条件は
- 配偶者は専業主婦・主夫
- 子供は中学生以下
- 返済期間30年
- 金利2.5%
です。
住宅ローン減税 控除額早見表 | ||||
年収 | 住宅ローン借入額 | |||
2000万円 | 3000万円 | 4000万円 | 5000万円 | |
400万円 | 160万円 | 162万円 | 162万円 | 162万円 |
500万円 | 173万円 | 240万円 | 243万円 | 243万円 |
600万円 | 173万円 | 260万円 | 308万円 | 309万円 |
700万円 | 173万円 | 260万円 | 346万円 | 385万円 |
800万円 | 173万円 | 260万円 | 346万円 | 396万円 |
900万円 | 173万円 | 260万円 | 346万円 | 396万円 |
1000万円 | 173万円 | 260万円 | 346万円 | 396万円 |
あくまで目安ですが、ご自分のご家庭の収支に当てはめてチェックしてみてください。
住宅ローン減税・控除手続きに必要な書類
住宅ローン控除は、当然ですが申告をしなければ受けることはできません。
「入居した翌年に税務署に確定申告をすると会社員の場合は所得税から控除額分が戻り、(還付)自営業などは支払う所得税から控除額を差し引ける。」
ということですので、注意しましょう。
参考までに手続きに必要な書類も記載しておきます。
- 住民票のコピー
- 借入金の年末残高証明書
- 登記事項証明書
- 売買契約所のコピー
- 源泉徴収票
- 確定申告所A計算明細書
以上、6点のほか、本人確認書類や印鑑など、役所で一般的に必要なものを持参すればOKです。
連帯債務型の場合の住宅ローン控除
最後におまけです。
最近は共働きの夫婦も多く、一本の住宅ローンを夫婦で連帯債務型で組む方も多くなったのではないでしょうか?フラット35などでも人気の組み方です。
ということで、連帯債務型の場合の住宅ローン控除についても調べてみました。
連帯債務型の住宅ローンの場合、組む時に夫婦の割合を決めていると思います。
仮に3000万円の住宅ローンを、
夫:妻=2:1=2000万円:1000万円
で借りたとします。
その年の年末の住宅ローン残高が2400万円だった場合、
住宅ローン残高の比率も、
夫:妻=1600万円:800万円
となり、
住宅ローン控除の最大額面もそれぞれ×1%で、
夫:妻=16万円:8万円
となります。
まとめ|住宅ローン減税・控除の計算方法としくみ
ということで、ここまで住宅ローン減税のしくみや計算方法について紹介してまいりましたが、いかがだったでしょうか?
最初は難しそうにみえますが、実際にやってみるとわりとシンプルな仕組みです。
いずれにせよ10年間は恩恵を受けられるのですから、しっかり申請してお金を取り戻しましょう。
それでは。
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