安い土地を買って後悔するのは、購入後の工事費が膨らむとき

土地探しをしていると、周辺相場より明らかに安い土地を見つけることがあります。
「駅から少し遠いから?」「旗竿地だから?」「もしかして事故物件?」
理由を考えてみて、特に問題がなさそうなら「この土地、買いかも!」と思いますよね。
でも、土地が安い理由は、立地や形だけではありません。
地盤改良、擁壁工事、上下水道の引き込み、境界測量……。土地を購入してから、家を建てられる状態にするまでにお金がかかるケースもあります。
せっかく安い土地を手に入れたのに、追加工事で数百万円の予算オーバー。これでは何のために安い土地を探したのか分かりません。
もちろん、安い土地がすべて悪いわけではありません。
駅から遠い、形が少し悪い、売主が早く売却したいなど、価格が安い理由はさまざまです。自分たちが納得できる条件で安くなっているなら、購入する価値は十分にあります。
問題は、購入価格だけで判断して、家を建てるための追加費用を見落としてしまうこと。
この記事では、安い土地を購入するときに知っておきたい8つの注意点を、実際に土地を購入した経験も交えて紹介していきます。
地目が宅地でない|農地転用や登記に費用がかかることも

土地を探すとき、意外と見落としやすいのが「地目」です。
地目とは、不動産登記で土地の主な用途を表す区分のことで、「宅地」「田」「畑」「山林」「雑種地」などがあります。
住宅用地として販売されていても、登記上の地目が「宅地」になっているとは限りません。
山林や雑種地でも住宅を建てられる場合がありますが、土地の利用状況に応じた地目変更登記が必要になったり、別の法律による制限を受けたりすることがあります。
私が購入した土地は「宅地」と「山林」でした
実は、私が購入した土地も「宅地」と「山林」にまたがっていました。
当時はそこまで地目を意識していませんでしたが、結局、山林部分の地目変更登記を求められ、登記費用を支払うことに。
土地の代金だけでは終わらないんですよね。
こうした手続きの費用も、できれば購入前に知っておきたかったところです。
地目変更登記が必要になる時期や費用は土地の状況によって異なりますが、住宅用地として利用する部分の地目が何になっているかは、早めに見ておいて損はありません。
農地を住宅用地にする場合は、さらに注意
特に注意したいのが、田や畑などの農地です。
農地を住宅用地にするには、農地法に基づく手続きが必要になります。
市街化区域内では原則として農業委員会への届出、市街化区域外では原則として許可が必要です。
また、農用地区域内の農地は転用が厳しく制限されており、住宅を建てる目的で簡単に購入できるとは限りません。
土地の状況によっては、農地転用の申請費用に加え、造成や土の処分、地目変更登記などの費用が発生します。
ここで怖いのは、追加費用だけではありません。
そもそも希望する住宅を建てられなければ、土地がどれだけ安くても意味がありません。
農地を購入候補にするなら、不動産会社に農地転用の見込みを調べてもらい、住宅を建てられる条件と必要な費用が分かってから判断しましょう。
インフラが整っていない|上下水道やガスの引き込み費用

土地価格が安くても、生活に必要なインフラが整っていなければ、家を建てる前に工事が必要です。
代表的なのは、次の設備です。
- 上水道
- 下水道
- 電気・電柱
- 都市ガス
- 浄化槽
例えば、土地の前の道路に水道本管が通っていても、敷地内まで水道が引き込まれているとは限りません。
引き込み工事が必要だったり、既存の水道管の口径が新築住宅に合わず、交換が必要になったりすることもあります。
下水道が整備されていない地域なら、浄化槽を設置するための費用も考えなければなりません。
電柱が駐車場の出入り口に重なる土地では、移設できるかどうかも問題になります。移設が認められるとは限らず、費用の負担も条件によって異なります。
こうした工事は、一つひとつの金額だけでなく、いくつも重なったときが厄介です。
設備があるかより、誰が工事費を負担するか
ここで聞いておきたいのは、売主がどこまで整備して引き渡してくれるのかということです。
例えば、同じ1,500万円の土地でも、
- 売主が水道を引き込んでから引き渡す土地
- 買主が水道の引き込み工事を手配する土地
では、購入後の負担が違います。
「水道あり」と書かれているだけで安心せず、宅地内への引き込み状況や必要な工事を調べてもらいましょう。
工事が必要なら、土地代とは別にいくら用意するのか。そこまで分かれば、ほかの候補地とも比較しやすくなります。
隣地・道路との高低差|擁壁や造成工事が必要になる

高台にある土地は、見晴らしや日当たりに恵まれることがあります。
しかし、隣地や道路との高低差が大きい土地では、造成工事や擁壁工事が必要になる場合があります。
擁壁とは、崖地や傾斜地などの土が崩れないように支える構造物です。
道路より高い土地なら、駐車場を道路と同じ高さにするために土を削ったり、段差を支える擁壁を造ったりすることもあります。
土地の販売価格だけを見ていると、こうした工事費はなかなか想像できません。
古い擁壁がある土地も要注意
すでに擁壁が設置されている土地なら、新しく造る必要はないと思うかもしれません。
ところが、古い擁壁では、安全性を確認できなかったり、建築計画に合わせて補修や再築造が必要になったりすることがあります。
見た目は立派な擁壁でも、新築住宅の計画にそのまま使えるかどうかは別の話です。
購入前には、既存擁壁の図面や工事記録などが残っているかを調べ、建築会社にも現地を見てもらいたいところです。
また、擁壁が隣地との境界付近にある場合は、所有関係や維持管理の負担も確認しておきましょう。
「擁壁があるから工事費はかからない」と考えて予算を組むのは危険です。
高低差のある土地を検討するなら、建物だけでなく、駐車場や外構、必要な造成工事まで含めて見積もってもらうことをおすすめします。
隣家のブロック塀|改修が必要になったら誰が負担する?

土地の周囲にあるブロック塀も、購入前に見ておきたい部分です。
特に昔からあるブロック塀では、安全性や所有関係が問題になることがあります。
ただし、隣家の古いブロック塀が現在の基準を満たしていないからといって、それだけで自分の家を建築できなくなるわけではありません。
塀の状態や所有関係、建築計画への影響によって、必要な対応は異なります。
ここで厄介なのが、改修が必要になった塀が隣家の所有物だった場合です。
「この土地を買って家を建てたいので、ブロック塀を直してもらえませんか?」
とお願いしたところで、簡単に応じてもらえるとは限りません。
「なら費用はそちらで出してください」と言われるかもしれませんし、改修そのものに同意してもらえないことも考えられます。
かといって、隣の家のブロック塀の改修費用を自分たちが出すのも腑に落ちません。
購入後にこんな問題が発覚すると、お金の話だけでなく、その後のご近所関係まで気になってしまいます。
塀の所有者が誰なのか、建築会社から見て新築工事に支障がないのか。改修が必要と分かった場合は、工事の可否と費用負担が解決できるかによって、土地を購入する判断も変わってきます。
土地価格が安くても、隣地との調整に費用や時間がかかるようでは、思い描いていた家づくりが難しくなることもあります。
地盤が弱い|地盤改良費が予算を圧迫することも

土地購入で非常に厄介なのが「地盤」の強度です。
いくらマイホームの耐震等級が最高の「3」であっても、建物を支える地盤の状態によっては対策が必要になります。
軟弱地盤による不同沈下や、地震時の液状化なども気になるところです。
住宅を建築する際には、建築計画に応じて地盤を調査し、必要な基礎や地盤改良の方法を検討することになります。
ここで困るのが、土地を購入する前に、改良費用を確定できない場合があることです。
土地を買ってから地盤改良が必要と分かるケース
地盤調査は、売主の承諾や建築会社との調整ができれば、購入前に実施できる場合もあります。
しかし、売主の了承が得られなかったり、建築計画が固まっていなかったりすると、購入前に十分な調査を行えないこともあります。
その結果、土地を購入してから地盤改良が必要と分かれば、予定していなかった工事費が発生します。
しかも、改良費用は地盤の状態や支持地盤の深さ、建物の規模、工法などによって変わります。
土地が40坪だから地盤改良費はいくら、という単純な話ではありません。
「地盤調査費込み」と「地盤改良費込み」は別
ハウスメーカーや工務店の見積書でも注意したいのが、この違いです。
「地盤調査費用込み」と説明されていても、調査の結果、地盤改良が必要になった場合の工事費まで含まれているとは限りません。
地盤調査費は建築費に含まれているのに、地盤改良費は別途請求というケースもあります。
土地購入前の段階で改良費が分からないなら、周辺の地盤情報や過去の土地利用を調べ、建築会社に想定される工事や費用の考え方を聞いておきましょう。
土地代と建物代で予算を使い切ってしまうと、地盤改良が必要になったときに資金繰りが苦しくなります。
工事が不要なら、その分をほかの費用に回せます。しかし、必要になった場合に支払えない資金計画では困ります。
建築・造成に関する規制|希望する家を建てられない土地もある

土地には、地域や場所によってさまざまな建築上の制限があります。
例えば、市街化調整区域にある土地では、住宅を建てるための条件が市街化区域とは異なり、許可などが必要になる場合があります。
また、崖地や傾斜地では、自治体の条例によって建築方法などが制限されることもあります。
ここで注意したいのが、造成を予定している土地です。
盛土規制法に基づく規制区域内で、対象となる規模の盛土や切土などを行う場合には、原則として許可が必要になります。
区域内にあるだけで必ず申請が必要になるわけではありませんが、造成工事の内容や規模によっては、工事計画や費用に影響します。
こうした制限を調べずに土地を購入すると、希望する家を建てるために想定外の工事が必要になったり、そもそも計画を変更しなければならなくなったりします。
「住宅用地として売っているのだから、家を建てられるはず」
そう思いたくなりますが、購入前に希望する建物を建築できる条件まで調べてもらいましょう。
特に、周辺相場より大幅に安い土地では、建築や造成に関する制限が価格に影響していないか気になるところです。
境界が不明確|測量や境界確認に費用がかかる

土地を購入するときには、隣地との境界も確認しておきましょう。
現地に境界杭や境界標が見当たらない場合、購入後に測量や境界確認が必要になることがあります。
ただし、境界杭がないからといって、必ず境界が未確定というわけではありません。
確定測量図や境界確認書など、過去の資料が残っている場合もあります。
ここで知っておきたいのは、境界確認にかかる費用を誰が負担するのかということです。
売主が測量や境界確認を済ませて引き渡してくれるのか。それとも、買主が現状のまま引き受ける契約なのか。
この違いは、購入後の負担に影響します。
また、境界を明確にしないまま家を建てようとすると、塀やフェンスの設置、隣地との距離などで問題になることもあります。
土地を買ってから「どこまでが自分の土地なのか分からない」という事態は避けたいところです。
測量が必要な場合は、売主が対応するのか、費用はどちらが負担するのか、引渡しまでにどのような状態にするのかを売買契約で明確にしておきましょう。
接道・私道の問題|土地価格以外に負担が発生することも

土地の前に道路があれば、当然家を建てられると思っていませんか?
実は、道路に接しているように見えても、建築基準法上の条件を満たしていない土地があります。
都市計画区域などでは、建築物の敷地は原則として建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります。
接道条件を満たさない土地では、原則として住宅の建築ができず、例外的な認定や許可などの対象になるか調べなければなりません。
また、道路の幅員が4m未満の場合、道路の種類や状況によってはセットバックが必要です。
セットバックとは、道路の幅を確保するために敷地を後退させることです。
例えば、建築基準法第42条第2項の道路に接する土地では、原則として道路の中心線から2mの位置まで後退する必要があります。
後退部分がすでに舗装されていても、登記上の土地面積に含まれていることがあります。
しかし、セットバック部分は建築基準法上の敷地面積には算入できず、建ぺい率・容積率の計算にも含められません。
建物や塀なども設置できないため、購入した面積と実際に住宅の計画に使える面積が異なることになります。
さらに、既存の塀などを撤去する必要があれば、その工事費も問題になります。
「周辺より坪単価が安い」と思っても、セットバック後の面積や工事費まで考えると、印象が変わるかもしれません。
私道に接する土地は、将来の負担にも注意
もう一つ、私自身の経験から伝えておきたいのが私道の問題です。
私は私道を通って自宅へ出入りする土地を購入し、約10年暮らしてきました。
購入当時は「私道」ということは理解していたものの、所有関係や将来の維持管理まで十分に考えていたわけではありません。
実際に生活してみると、道路の補修や通行、近隣との調整など、購入前には想像していなかった問題も経験しました。
私道だから悪いというわけではありません。
ただし、私道に接する土地では、道路の所有関係や通行に関する権利、上下水道の工事、補修費用の負担などを調べておく必要があります。
例えば、道路が傷んだときに誰がお金を出すのか。
土地が周辺相場より安くても、将来の道路補修で思わぬ負担が発生するなら、その点も含めて判断したいところです。
私道に水道管を引き込む場合も費用を確認
私道に水道管などを引き込む場合は、工事に必要な権利関係や費用負担も調べておきたいところです。
民法には、一定の条件で他人の土地にライフライン設備を設置できる規定もあります。
ただし、設置場所や方法、事前通知、費用負担などの問題があるため、自由に工事できるという意味ではありません。
購入前に不動産会社と建築会社へ相談し、必要な工事を進められるか見通しを立てておきましょう。
また、私道に関する負担は重要事項説明の対象です。
重要事項説明書に書かれている内容と、実際の通行・工事・維持管理に必要な条件を照らし合わせ、疑問点があれば契約前に解消しておきたいところです。
私道の家に暮らして経験した問題については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

安い土地が本当に得かどうかは「家を建てるまでの総額」で比較する

ここまで8つの注意点を紹介してきました。
いろいろと書きましたが、安い土地を見つけたからといって、過度に警戒する必要はありません。
大切なのは、なぜ安いのかを知ること。そして、土地代とは別にいくら必要になるのかを把握することです。
例えば、次のような2つの土地があったとします。
| 比較項目 | 土地A | 土地B |
|---|---|---|
| 土地価格 | 1,400万円 | 1,650万円 |
| 追加工事・手続き費用 | 350万円 | 50万円 |
| 合計 | 1,750万円 | 1,700万円 |
※比較方法を説明するための仮の金額です。建物本体価格など、その他の条件は同じものとして省略しています。
土地価格だけならAの方が250万円安いのですが、追加工事や手続きの費用を含めると、Bの方が50万円安くなります。
もちろん、実際の土地選びでは立地や広さ、日当たり、周辺環境なども比較しなければなりません。
それでも、土地代だけで判断するのと、家を建てられる状態にするまでの総額で判断するのとでは、候補地の評価が変わることがあります。
土地を契約する前に、何の資料を見ればいい?
ここで、今回紹介した注意点について、費用を判断するために見ておきたい資料をまとめておきます。
| 確認する項目 | 見ておきたい資料・情報 |
|---|---|
| 地目・農地転用 | 登記事項証明書、農地転用の見込み |
| 上下水道・ガス | 配管図、引き込み状況、必要な工事の見積書 |
| 高低差・擁壁 | 既存擁壁の図面や工事記録、造成工事の見積書 |
| ブロック塀 | 所有関係、安全性、改修が必要な場合の費用 |
| 地盤 | 既存の地盤調査資料、建築会社による概算 |
| 建築・造成の規制 | 都市計画情報、規制区域の指定状況、必要な許可・届出 |
| 境界 | 確定測量図、境界確認書など |
| 接道・私道 | 道路種別・幅員、私道の権利関係、維持管理の取り決め |
すべての土地で、これらの資料がそろっているわけではありません。
資料がない場合も、そのまま購入してよいのか、追加の調査が必要なのかを不動産会社や建築会社と相談することになります。
そして、もう一つ。
工事が必要と分かっても、その費用を売主と買主のどちらが負担するのかによって、実際に用意する金額は変わります。
例えば、売主が測量や水道の引き込みを済ませてから引き渡してくれるのであれば、買主の負担は抑えられます。
反対に、現状のまま引き渡される土地なら、必要な工事を自分たちで手配することになるかもしれません。
こうした条件は、売買契約の内容にも関わります。
「あとで不動産会社に聞けばいいや」と後回しにせず、契約前に費用の負担と引渡し条件を明確にしておきましょう。
購入前に金額が確定しない費用はどうする?
地盤改良など、土地購入前には正確な金額を出せない費用もあります。
そんなときは、分からないまま予算に入れないのではなく、建築会社へ考えられる工事と費用の目安を相談しておきたいところです。
地盤改良が必要になったら、いくらまでなら対応できるのか。
擁壁工事が追加になっても、住宅ローンの借入額や自己資金に無理はないのか。
土地購入後に資金が足りなくなり、希望していた設備や間取りを諦めるのは避けたいですよね。
不確定な費用をすべて正確に予測することはできませんが、少なくとも何にお金がかかる可能性があるのかは把握しておきましょう。
まとめ|安い土地は「安い理由」が分かってから判断しよう
安い土地には、安いなりの理由があることがあります。
交通やアクセスが不便、土地の形が悪いといった理由なら、自分たちが納得できれば問題ないかもしれません。
しかし、地目、インフラ、擁壁、地盤、境界、接道などの問題は、購入後の工事や手続きで追加費用が発生することがあります。
今回紹介したのは、安い土地を避けるための話ではありません。
土地価格に、家を建てるまでの費用を加えても、ほかの候補地より魅力があるか。
そこまで比較して初めて、本当に自分たちに合った土地なのか判断できると思います。
私自身、宅地と山林にまたがる土地を購入し、地目変更登記の費用を負担しました。
購入した土地を気に入っていることと、購入前に費用を把握できていたかどうかは別の話です。
これから土地を探す方には、こうした見落としを少しでも減らしてもらえたらと思います。
なお、今回の記事では、主に安い土地の追加費用や建築条件について紹介しました。
実際の土地選びでは、日当たりや隣家との距離、駐車場の使いやすさ、周辺環境なども大切です。
購入前に現地で見ておきたい項目は、こちらの記事で詳しくまとめています。


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