「借地に建てた家が古くなったけれど、地主に断られたら建て替えられない?」
「古い家を壊した後で、新しい家を建てられないと分かったら困る……」
借地権付き住宅を建て替えたいときは、建築会社に間取りを相談する前に、土地を借りている条件から確かめておきたいところです。
借地権付き住宅も建て替えを検討できます。ただし、①借地契約と地主との条件、②建築基準法上の再建築可否、③借地期間、④資金と登記は、それぞれ確認が必要です。
地主が了承していても、今の家が建っていても、それだけで取り壊してよいとは限りません。解体前に何を確かめるのか、順番に見ていきましょう。
借地権の家は建て替えできる?最初に確認する4つの条件

| 確認する相手・資料 | 建て替え前に決めること |
|---|---|
| 地主・借地契約書 | 増改築制限、構造・用途、承諾の範囲、承諾料 |
| 建築士・自治体 | 接道、道路種別、用途地域、建ぺい率・容積率、建築確認の見通し |
| 当初契約・更新書類 | 旧法・普通・定期の区別、残存期間、再築後の期間 |
| 金融機関・登記 | 残債、抵当権、借入期間、自己資金、解体による対抗力への影響 |

建物は自分のものなのに、土地を借りていると自由に建て替えられないことがあるんですね。

そうなんです。ただ、どの借地でも必ず同じ承諾が必要というわけではありません。親御さんの代からの契約かどうかでも扱いが変わるので、まず契約書と借り始めた時期を見てみましょう。
地主の承諾が必要?増改築禁止特約と借地期間を確認

最初に探したいのは、借り始めたときの契約書と更新時の覚書です。「増改築禁止」「事前承諾が必要」と書かれているなら、工事に進む前に地主と話し合います。そうした条項が見当たらない場合も、借地期間や新しく建てる家の条件まで確認しておきましょう。
「建て替え可」の合意は、建物の条件まで書面に残す
地主に相談するときは、木造・鉄骨造などの構造、住宅・店舗併用などの用途、階数、高さ、延床面積、工事時期が分かる計画を用意しましょう。例えば木造住宅を鉄骨造の店舗併用住宅に建て替えるなら、工事の承諾だけでなく、借地契約に書かれた建物の条件を変える話も必要になる場合があります。
口頭で「建て替えていいよ」と言われても、後になって「そこまで大きい家とは聞いていない」と行き違うかもしれません。どの図面に了承を得たのか、承諾料はいくらでいつ払うのか、借地期間はどうなるのかを、承諾書や覚書に残しておきましょう。
旧法・普通・定期で「建て替え後に何年使えるか」が違う
| 借地権の種類 | 建て替え前の確認点 |
|---|---|
| 旧借地法に関係する借地権 | 最初の設定時期、更新歴、構造、旧法の適用関係 |
| 現行法の普通借地権 | 当初期間中か更新後か、再築による期間延長と契約条件 |
| 定期借地権 | 残存期間と返還条件。建て替えても満了日が当然に延びるわけではない |
親の代から借りている土地を相続しても、その日から借地期間が新しく始まるわけではありません。特に期間が決まっている借地では、建て替えた家にどれくらい住めるのかが気になるところです。新築後にあと何年使えるのかを、工事費と一緒に考えましょう。
「2か月返事がなければ建て替え自由」とは限らない
「地主に知らせて2か月返事がなければ、自由に建て替えられる」と聞いたことがあるかもしれません。借地借家法7条2項には、当初期間の満了前などに、残りの借地期間を超えて存続する建物を再築する旨を地主へ通知し、受領後2か月以内に異議がなければ、同条の期間延長に関する再築の承諾があったとみなす規定があります。
ただし、更新後の再築にそのまま当てはまる規定ではなく、古い借地では旧法との関係もあります。地主から返事がないからといって、増改築禁止特約や道路の問題まで解決するわけでもありません。取り壊す前に、借り始めた日や更新歴、通知した内容を弁護士などに見てもらいましょう。
参考:借地借家法7条・17条・18条・附則(e-Gov法令検索)
地主が反対しているなら「何への承諾か」を特定する
地主が反対しているのは、建物の構造や用途を変えることなのか、承諾料の金額なのか、それとも更新後に建て直すこと自体なのか。理由によって話し合う内容も変わります。折り合いがつかない場合には、借地借家法17条の借地条件変更・増改築許可や、要件に応じて18条の更新後再築許可を検討することがあります。18条の申立ては旧法借地権には適用されません。また、申し立てれば必ず認められるわけではなく、金銭の支払いなどが条件になる場合もあります。
なお、家を売る際に「土地賃借権の譲渡を認めない」と言われた場合は、建て替えの承諾とは別の話です。売却時に承諾が得られない場合の対応は、こちらで確認できます。建て替えの借地非訟については、下の裁判所資料も参考にしてください。


地主さんに断られたら、すぐ借地非訟を申し立てればいいんですか?

すぐに申し立てる前に、地主さんが何に反対しているか聞いてみましょう。承諾料の金額なのか、新しい家の構造なのかで、話し合う内容が違います。それでも折り合わなければ、弁護士に借地非訟を相談する方法がありますよ。
建て替え承諾料はいくら?建築費と別に現金の時期まで確認

建て替え承諾料は、どの借地でも同じ金額というわけではありません。借地契約やこれまでの合意、新しく建てる家の内容、地主の提示条件によって変わります。また、建て替えの承諾料と、借地条件を変えるための金銭、更新料は別々に確認しておきましょう。
日本不動産鑑定士協会連合会の説明には、借地非訟で裁判所が増改築許可に伴う金銭を定める場面の目安として、更地価格の3~5%程度、条件変更では10%前後という記述があります。ただし、地主との話し合いで必ずこの割合になるわけではありません。
例えば更地価格が4,000万円なら、3%で120万円、5%で200万円になります。金額の大きさをイメージするための計算例で、実際にその額を支払うと決まっているわけではありません。
| 費用 | 予算表に入れる金額・時期 |
|---|---|
| 地主関係 | 承諾料、条件変更に伴う金銭、地代の改定があればその負担 |
| 建築・解体 | 解体・処分、設計、工事、外構、付帯工事 |
| 生活・手続き | 仮住まい、2回の引っ越し、建物登記、保険 |
| 融資 | 手数料、つなぎ資金、既存ローンの残債処理、自己資金 |
契約時・解体時・着工時・引渡し時に、現金がいくら必要かも確認しましょう。建築費の融資が決まっていても、承諾料の支払いが先だったり、仮住まいにまとまった費用がかかったりすると、手元資金が足りなくなることがあります。
地主が承諾しても再建築できない土地がある

地主から建て替えの了承を得られても、その土地に新しい家を建てられるかは別問題です。今の家が建っているからといって、取り壊した後も同じ大きさの家を建てられるとは限りません。
建物の敷地は、原則として建築基準法上の道路に2m以上接する必要があります。ただし、道路の種類や敷地との位置関係、同法43条2項の認定・許可などによって扱いは異なります。道路の幅やセットバック、用途地域、建ぺい率・容積率も含め、解体前に建築士と自治体の建築担当部署へ確認しましょう。
借地権だから建て替えられない、というわけではありません。ただ、調べた結果、再建築が難しいと分かった場合は、今の家をリフォームして使えるか、現状のまま売るとどうなるかも比べてみましょう。
解体・工事契約の前に、対抗力と住宅ローンを確認する順番

借地上の家を取り壊すと、建物の登記を通じて土地の新しい所有者などに借地権を主張できていた状態にも影響する場合があります。家を壊しただけで借地権そのものが当然に消えるとは限りませんが、地主以外の第三者に権利を主張できるかは別に確認が必要です。
借地借家法10条2項には、建物がなくなった後の掲示や、新しい建物の登記に関する規定があります。ただし、壊してから何もしなくても自動的に2年間守られる、という意味ではありません。解体後の掲示や登記で気をつけたいことは、こちらで確認できます。

ローン残債がある家は、金融機関へ解体前に相談
今の家に住宅ローンが残り、抵当権が付いているなら、借入先に知らせず取り壊さないようにしましょう。工事内容によっては追加の担保や繰上返済などが必要になる場合もあります。
新しく家を建てるための融資では、借地権の種類や残存期間、担保設定、地主の協力も関わります。フラット35では普通借地権の借入期間は通常と同じ扱いですが、定期借地権等は通常の借入期間と借地権の残存期間の短い方が上限です。また、借地権取得費の名義書換料・承諾料は同商品で借入対象になりません。今回の建て替え承諾料を借りたお金で支払えるかは、利用する商品と金融機関に確認しておきましょう。
参考:【フラット35】「敷地が借地の場合」/「住宅の一部を増改築したいとき」
進め方は「資料・概略設計・三者確認・書面化・解体」の順
- 当初の借地契約、更新書類、地代の履歴、土地・建物の登記を集める。
- 建築士・自治体に再建築可否を確認し、建築会社から概略図面と解体・仮住まいを含む見積りを取る。
- 地主に新しい建物の条件を示し、承諾と金銭・借地期間を協議する。同時に金融機関へ融資期間・担保・既存残債を相談する。
- 承諾内容と支払時期を書面化し、必要な借地非訟・建築・融資手続きの見通しをそろえる。
- 司法書士等に解体後の対抗力と登記を確認し、解除条件・資金のめどが立ってから請負契約と解体へ進む。
建築会社に間取りや見積りを相談することと、工事の請負契約を結ぶことは別です。承諾・建築・資金の見通しが立つまでは、解約しにくい契約も避けたいところです。今の家を取り壊す判断は最後にしましょう。
建て替え・リフォーム・売却のどれを選ぶ?

建て替えができると分かっても、かかる費用や今後住む年数によっては、リフォームや売却の方が家族の希望に合うかもしれません。新築した場合の自己負担と、今の家をそのまま売った場合の手取りを比べてから決めましょう。
| 選択肢 | 判断に必要な材料 |
|---|---|
| 建て替え | 利用可能な期間、承諾・再建築・融資、現金支出、住む予定 |
| リフォーム | 建物の傷み、補修後の耐用年数、契約の増改築制限、建築法規 |
| 現況で売却 | 地主の譲渡承諾条件、建物と借地権の査定、売却費用・解体条件 |
まだ売ると決めていなくても、今の家がいくらで売れそうか分かれば、建て替えにかける予算を考えやすくなります。仲介や地主への売却など、売り方を知りたい方はこちらです。

一般の買主を探すのではなく、専門会社への直接買取も考えたい方は、買取条件の違いをこちらで確認できます。

相続したばかりで建物名義や地代の支払い状況が分からない方は、先にこちらから確認してみましょう。

建て替えの費用が大きく、今の状態で手放すことも考えているなら、借地・底地や再建築が難しい物件などを扱う専門買取会社に相談する方法もあります。まずは物件が取扱対象になるか、地主との調整や解体の費用を誰が負担するかも聞いてみましょう。
首都圏の借地で、建て替えと売却のどちらがよいか迷っている方は、借地権の相談先として【借地権 無料相談ドットコム】も確認できます。 ![]()
まとめ|借地の建て替えは、解体を最後にする

借地の家を建て替えたいときは、まず借り始めた時期や更新歴、増改築の条件が分かる書類を探しましょう。そのうえで、建築士には建て替えられる土地か、金融機関には借入れや担保の条件を相談します。地主と話がまとまったら、新しい家の計画、承諾料、借地期間、支払時期も書面に残しておきたいところです。
借地契約・建築上の条件・借地期間・費用と登記を確かめてから、工事の契約と解体を決めましょう。古い家を早く何とかしたくても、取り壊してから分かる問題を残さないことが大切です。
建て替えが難しいと分かった場合や、費用が予算に合わない場合は、今の家をそのまま売る選択肢もあります。専門買取を検討するなら、査定額だけでなく、承諾料などの費用や引渡しまでの期間を比べてみましょう。
※本記事は不動産・住宅ローンに関する一般的な情報提供です。借地契約の解釈・借地非訟は弁護士、再建築可否は建築士や自治体、住宅ローンは金融機関へ個別に確認してください。


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