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不動産の査定額=売却価格ではない?一番高い会社を選ぶ前に知っておきたいことを宅建士が解説

不動産を複数社に査定してもらうと、「A社3,800万円、B社3,500万円、C社3,300万円」のように査定額が大きく違うことがあります。

すると、「一番高いA社に頼めば3,800万円で売れるのでは?」と思うかもしれません。

しかし、不動産会社の査定額=実際に売れる価格ではありません。

特に仲介の査定額は、その不動産会社自身がその金額で買い取ってくれるという意味ではなく、周辺の成約事例や物件条件、市場動向などから売却可能性を判断した価格です。

大切なのは、査定額が高いか低いかだけではなく、「なぜその金額なのか」「いくらで売り出すのか」「どのくらいの期間で売る想定なのか」まで確認することです。

この記事では宅建士の視点から、査定額・売出価格・成約価格・買取価格の違いと、複数社の査定結果から不動産会社を選ぶポイントを解説します。

不動産査定額と売却価格の違い

  1. 不動産の査定額=売却価格ではない【まず結論】
  2. 査定額・売出価格・成約価格・買取価格の違い
    1. 査定額|不動産会社が売却可能性を判断した価格
    2. 売出価格|実際に市場へ出す価格
    3. 成約価格|最終的に買主と合意した価格
    4. 買取価格|不動産会社などが買主になる場合の提示価格
  3. なぜ不動産会社によって査定額が違うの?
    1. 参考にする成約事例が違う
    2. 物件そのものの評価が違う
    3. 現在の市場に対する見方が違う
    4. 販売戦略や得意分野が違う
  4. 査定額が一番高い会社を選んではいけない?
  5. 査定額が高すぎると感じたら6つ質問する
  6. 査定額の根拠はどこまで説明してもらえる?宅建業法も確認
  7. 自分でも不動産の相場を確認する方法
    1. 近所の成約価格=自宅の価格ではない
  8. 売出価格はいくらに設定すればいい?
  9. 査定額より高く売れることも安く売れることもある
    1. 査定額より高く売れるケース
    2. 査定額より安くなるケース
  10. 仲介査定と買取価格は単純に比べない
  11. 複数社の査定額が出たらこう比較する
  12. 査定額だけでなく売却条件を比較したいなら
  13. 不動産の査定額についてよくある質問
    1. 査定額はどのくらい信用できますか?
    2. 査定額より高く売り出してもいいですか?
    3. 査定額より安く売れることはありますか?
    4. 会社によって査定額が100万円・500万円違ってもおかしくないですか?
    5. 査定だけ依頼して売らなくても大丈夫ですか?
    6. 高い査定額を出した会社は怪しいですか?
    7. 机上査定と訪問査定ではどちらを信用すればいいですか?
  14. まとめ|一番高い査定額より「根拠」を確認しよう

不動産の査定額=売却価格ではない【まず結論】

最初に、不動産売却でよく出てくる4つの「価格」を整理しておきましょう。

価格 意味
査定額 不動産会社が物件・取引事例・市場などをもとに算出する売却価格の目安
売出価格 実際に市場へ売り出す価格
成約価格 買主との交渉を経て、実際の売買契約で合意した価格
買取価格 不動産会社などが買主となる場合に、購入を前提として提示する価格・条件

例えば仲介査定で3,500万円と言われても、必ず3,500万円で売れるわけではありません。

3,700万円で売り出して3,500万円で成約する場合もあれば、買主との交渉によって3,300万円になることもあります。反対に、市場状況によっては査定額より高く成約する可能性もあります。

HOMEくん
HOMEくん

じゃあ、一番高い査定額を出した会社が一番高く売ってくれるとは限らないんですね?

先生
先生

その通りです。ただし、高い査定額が悪いわけでもありません。「なぜ他社より高いのか」を具体的に説明できるかを見ることが大切です。

査定額・売出価格・成約価格・買取価格の違い

査定額・売出価格・成約価格・買取価格の違い

不動産売却では、「○○万円」という数字だけを見るのではなく、その数字が何を表しているのか理解することが重要です。

査定額|不動産会社が売却可能性を判断した価格

査定額は、物件の所在地、面積、築年数、状態、周辺の取引事例、市場動向などをもとに不動産会社が算出します。

査定時点では買主との売買契約は成立していないため、査定額は売却価格を保証する金額ではありません。

売出価格|実際に市場へ出す価格

売出価格は、ポータルサイトや不動産会社の広告などで購入希望者へ提示する価格です。

査定額を参考にしながら、売主の希望、売却期限、周辺の競合物件などを考慮して決めるため、査定額と同額になるとは限りません。

成約価格|最終的に買主と合意した価格

成約価格は、売主と買主が最終的に合意した売買価格です。

購入希望者から価格交渉が入ることもあるため、売出価格と成約価格にも差が生じる場合があります。

最終的に見るべきなのは、この成約価格から仲介手数料などの諸費用を差し引いた手取り額です。

買取価格|不動産会社などが買主になる場合の提示価格

買取では、不動産会社などが自ら買主になります。

そのため、仲介査定の「市場でこのくらいで売れそう」という価格と、不動産会社が購入を前提に提示する買取価格では意味が異なります。

ただし、買取査定の段階で提示された金額が、そのまま最終的な売買価格として確定しているとは限りません。現地確認や物件状況、契約条件によって価格が調整される場合もあるため、最終的な買取価格と条件を確認してから判断してください。

なぜ不動産会社によって査定額が違うの?

不動産査定額が違う4つの理由

同じ不動産を同じ時期に査定してもらっても、会社によって査定額が違うのは珍しいことではありません。

主な理由は、各社が査定に利用する情報や評価、販売の見通しが完全には同じではないためです。

参考にする成約事例が違う

不動産査定では、近隣にある似た物件の取引事例が重要な材料になります。

ただし、「同じ駅」「同じ町内」というだけでは条件が同じとは限りません。

マンションなら階数・向き・専有面積・眺望・管理状況、一戸建てや土地なら道路付け・土地形状・面積・築年数などによって評価は変わります。

どの取引事例を重視するかによって、査定結果にも差が出ます。

物件そのものの評価が違う

駅距離、日当たり、間取り、建物状態、リフォーム履歴、前面道路など、物件固有の条件についても会社によって評価が異なることがあります。

地域に詳しい会社であれば、そのエリアで購入希望者から評価されやすい特徴を把握している場合もあります。

現在の市場に対する見方が違う

査定では過去の成約事例だけでなく、現在売り出されている競合物件や購入需要も重要です。

同じ過去事例を見ていても、「この価格なら十分売れる」と考える会社と、「現在の競合状況なら少し下げた方がよい」と考える会社では査定額が変わります。

販売戦略や得意分野が違う

不動産会社によって、得意な地域・物件種別・価格帯は異なります。

すでに近隣で購入希望者を抱えている会社や、同じマンションで多くの取引経験がある会社なら、別の会社とは異なる見通しを持つこともあります。

つまり、査定額が違うこと自体が問題なのではなく、その違いを合理的に説明できるかが重要です。

査定額が一番高い会社を選んではいけない?

「一番高い査定額を出した会社は選ばない方がいい」と言われることがありますが、これも一概にはいえません。

高い査定額そのものが悪いわけではありません。

例えば、

  • 近隣で最近高値の成約事例がある
  • 同じマンションや地域で購入希望者を抱えている
  • 物件の希少性を高く評価している
  • 競合する売出物件が少ない
  • その地域・物件種別の販売を得意としている

など、合理的な理由があれば、他社より高い査定額になることはあり得ます。

注意したいのは、査定額が高いことではなく、「なぜその金額なのか聞いても具体的な説明がない」ケースです。

数字の高さだけでなく、その根拠と販売計画を確認しましょう。

査定額が高すぎると感じたら6つ質問する

査定額が高すぎるときの6つの質問

複数社の中で1社だけ査定額が極端に高い場合は、すぐに除外するのではなく、まず理由を確認しましょう。

質問すること 確認できること
この査定額になった根拠は? 査定額に合理的な理由があるか
どの成約事例を参考にしましたか? 比較対象が自分の物件と似ているか
実際はいくらで売り出しますか? 査定額と販売価格の関係
その価格ならどのくらいで売れる想定ですか? 価格と売却期間のバランス
反響がなければいつ価格を見直しますか? 値下げの考え方・販売計画
どのような販売活動をしますか? 査定後に実際にどう売るのか

特に重要なのは、査定額と売却期間をセットで確認することです。

「3,800万円なら半年以上かかる可能性がある」「3,500万円なら3か月程度を想定している」という説明であれば、売主によって選ぶ価格は変わります。

高値を優先する人と、転勤・住み替えなどで期限を優先する人では、最適な販売戦略は同じではありません。

査定額の根拠はどこまで説明してもらえる?宅建業法も確認

不動産会社へ「なぜこの価格なのですか?」と確認することは重要です。

ここで、宅地建物取引業法上のルールも整理しておきましょう。

宅地建物取引業法34条の2第2項では、媒介契約において宅建業者が売買すべき価額について意見を述べる場合、その根拠を明らかにすることが求められています。

国土交通省の「媒介契約制度の施行等について」では、根拠として価格査定マニュアルのほか、同種の取引事例など合理的な説明がつくものを利用できるとしています。

なお、一括査定サイトなどで媒介契約前に提示される一般的な「査定額」と、宅建業法上の「媒介価額」は同じ用語ではありません。

宅建業法34条の2第2項が定めているのは、媒介契約で宅建業者が売買すべき価額について意見を述べる場合の根拠明示義務です。

とはいえ、これから売却を任せる不動産会社を選ぶ以上、査定段階でも「なぜこの価格なのか」を確認しておくことは重要です。

また国土交通省は、媒介価額について意見を述べるため、その根拠明示のために行った価額査定等の費用については、依頼者へ請求できないとしています。

これは「不動産に関するあらゆる調査が無料」という意味ではないため、範囲を分けて考えましょう。

参考:国土交通省「媒介契約制度の施行等について」

自分でも不動産の相場を確認する方法

査定結果が妥当なのか判断するため、自分でも周辺の取引価格を確認しておくと役立ちます。

無料で確認できる公的サービスとして使いやすいのが、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」です。

不動産情報ライブラリでは、地域や物件種別などを指定して、

  • 不動産取引価格情報
  • 成約価格情報

などを確認できます。

なお、成約価格情報については、現在「土地と建物(戸建て)」と「中古マンション等」が主な検索対象です。

また、これらの情報には公表まで一定の時間差があります。

不動産情報ライブラリは、現在の売出市場をリアルタイムで示すサービスではありません。

そのため、過去の取引・成約価格だけでなく、現在売り出されている周辺の競合物件もあわせて見ると判断しやすくなります。

参考:国土交通省「不動産情報ライブラリ」

近所の成約価格=自宅の価格ではない

近くの家が3,500万円で売れていたからといって、自宅も3,500万円で売れるとは限りません。

不動産価格は、面積・形状・前面道路・建物状態などの個別条件や、取引が行われた事情によって変わります。

そのため、不動産情報ライブラリは、「自分で正確な査定額を算出するため」ではなく、「提示された査定額が周辺相場から大きく離れていないか確認するため」に使うとよいでしょう。

売出価格はいくらに設定すればいい?

査定額が分かったら、次に決めるのが実際の売出価格です。

売出価格は査定額と同額にしなければならないわけではありません。

売却を急いでいないなら少し高めから市場の反応を見る方法もあります。一方、住み替えなどで売却期限が決まっているなら、早めの成約を意識した価格設定が必要になる場合があります。

ただし、市場とかけ離れて高い価格で長期間掲載すると、問い合わせが集まりにくくなる可能性があります。

逆に最初から低すぎる価格を設定すれば、本来得られた可能性のある売却代金を逃すこともあります。

売出価格を決めるときは、

  • 査定額
  • 売主が希望する価格
  • いつまでに売りたいか
  • 近隣の競合物件
  • 価格交渉をどこまで想定するか

などを不動産会社と相談しましょう。

査定額より高く売れることも安く売れることもある

査定額は将来の成約価格を保証するものではないため、実際の売却価格は査定額より上にも下にも動く可能性があります。

査定額より高く売れるケース

売り出した時期に競合物件が少なかったり、物件を強く希望する購入者が現れたりすれば、査定時の想定より高く成約する可能性があります。

査定額より安くなるケース

反対に、売出後の反響が少なかったり、買主から価格交渉が入ったりすれば、査定額を下回ることもあります。

売却を急ぐ事情が生じ、価格を下げて早期成約を優先するケースもあります。

査定額は「当たり・外れ」で評価する数字というより、売却戦略を考えるための出発点として見るのがよいでしょう。

仲介査定と買取価格は単純に比べない

複数の査定を取る際には、仲介の査定額と不動産会社による買取価格を同じ意味の数字として比較しないことも重要です。

売却方法 提示価格
仲介査定 3,500万円
業者買取 3,000万円

仲介の3,500万円は、一般の購入希望者を探して売却する場合の査定です。買主が見つかる時期や最終成約価格は確定していません。

一方、買取は不動産会社などが買主になるため、一般の購入希望者を探す期間が不要です。

そのため、500万円という価格差だけではなく、

  • 売却までの期間
  • 仲介手数料
  • 価格交渉の可能性
  • 引渡条件
  • 売却時期の読みやすさ

まで比較する必要があります。

仲介・買取・リースバックの違いはこちらで詳しく解説しています。

不動産売却は仲介・買取・リースバックのどれがいい?違いと選び方を宅建士が比較

複数社の査定額が出たらこう比較する

複数社の査定額が出たらこう比較する

例えば3社から次の査定結果が出たとします。

A社 B社 C社
査定額 3,800万円 3,500万円 3,300万円
査定根拠 要確認 要確認 要確認
想定売却期間 要確認 要確認 要確認
売出価格 要確認 要確認 要確認
販売戦略 要確認 要確認 要確認

この表で重要なのは、査定額以外が空欄のままでは会社を選べないということです。

A社が3,800万円である合理的な根拠を示し、現実的な販売計画も説明できるなら有力な候補になります。

一方、B社の3,500万円の方が周辺成約事例に基づいており、「3か月程度を目標に、この方法で販売します」と具体的に説明できるなら、B社が合う人もいます。

C社も、売却期限を重視して現実的な価格を提示している可能性があります。

「最高額」「平均額」「中央値に近い金額」だけで会社を自動的に選ばないことが重要です。

査定額だけでなく売却条件を比較したいなら

複数社の査定を比較するときは、価格だけでなく「その価格の根拠」「売却までの期間」まで確認する必要があります。

まだ仲介で売るか、買取にするか、売却後も住み続けるリースバックを利用するか決めていない場合は、売却方法を先に1つへ絞らない方法もあります。

いえカツLIFEでは、仲介・業者買取・リースバックという3つの売却方法について、公式サイト上で査定価格と売却までの目安期間を比較できると案内しています。

「一番高い査定額を探す」というより、自分の場合はいくらで、どのくらいの期間で、どの方法なら売却できそうなのかを比べたい人には検討しやすいサービスです。

いえカツLIFE自体の口コミ・電話連絡・デメリットなどを確認してから利用したい人はこちらも参考にしてください。

いえカツLIFEの評判・口コミは?メリット・デメリットと向いている人を解説

不動産の査定額についてよくある質問

査定額はどのくらい信用できますか?

査定額は売却価格を保証する数字ではありませんが、合理的な取引事例や物件条件に基づいていれば、売却戦略を考える参考になります。

金額そのものより、根拠を確認しましょう。

査定額より高く売り出してもいいですか?

査定額と売出価格は同じである必要はありません。

ただし、市場相場から大きく離れると反響が少なくなる可能性があります。売却期限や競合物件も含めて判断しましょう。

査定額より安く売れることはありますか?

あります。買主からの価格交渉、市場状況、売却期限などによって査定額を下回ることがあります。

会社によって査定額が100万円・500万円違ってもおかしくないですか?

数千万円の不動産では、会社によって数百万円の差が生じることはあり得ます。

差が大きいほど、その理由を確認してください。

査定だけ依頼して売らなくても大丈夫ですか?

査定を依頼しただけで売買契約や媒介契約が自動的に成立するわけではありません。

売却時期が未定なら、その旨を最初に伝えておくとスムーズです。

高い査定額を出した会社は怪しいですか?

高いという理由だけで怪しいとは判断できません。

重要なのは、その査定額に合理的な根拠があり、想定売却期間や販売戦略まで説明できるかどうかです。

机上査定と訪問査定ではどちらを信用すればいいですか?

机上査定は所在地・面積・築年数・取引事例などのデータをもとに算出する方法で、手軽に相場を知りたい段階に向いています。

訪問査定では、不動産会社が実際の建物状態、日当たり、眺望、道路状況なども確認できます。

売却を具体的に進める段階では、必要に応じて訪問査定で物件固有の条件も確認してもらうとよいでしょう。

まとめ|一番高い査定額より「根拠」を確認しよう

不動産会社から提示された査定額は、実際の売却価格を保証する数字ではありません。

また、会社によって査定額が違うこと自体も不自然ではありません。

複数社の査定結果が出たら、一番高い数字だけを見るのではなく、査定根拠・想定売却期間・売出価格・販売戦略まで比較してください。

高い査定額でも合理的な根拠があれば候補になります。反対に、魅力的な数字でも「なぜその価格なのか」の説明に納得できなければ慎重に判断しましょう。

不動産売却で大切なのは「最も高い査定額を出した会社」を探すことではなく、自分の希望する価格と売却期限に合った販売計画を具体的に説明してくれる会社を選ぶことです。

当サイトが、人気ブログランキングの「戸建て部門」でランキング1位になりました!これからも丁寧に分かりやすく情報をお伝えしていきます。

この記事を書いた人

名前:早坂

プロフィール:不動産のプロである現役の宅地建物取引士(令和6年11月26日合格・令和7年5月7日宅地建物取引士資格登録あり)。また

  • マンション管理業協会 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 国家資格ファイナンシャル・プランニング技能士2級
  • ファイナンシャル・プランニング(資産設計提案業務・生保顧客資産相談業務)
  • 日本商工会議所主催 簿記検定2級

など、その他の不動産に関連する国家資格も多数保有するだけでなく、FPや簿記などお金や企業経営、財務分析の知識も活用しながら、わかりやすく、公平かつ正確な情報の提供に努めています。

空き家

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