「相続した実家を売り出したのに、何か月たっても問い合わせが来ない」
「内覧はあるのに申込みが入らず、不動産会社から値下げを勧められている」
空き家が売れないと、築年数や地方の立地が原因だと思いがちです。しかし、問い合わせがない家と、内覧後に見送られる家では、必要な対策が違います。
値下げをする前に知りたいのは、購入希望者がどの段階で離れているのかということです。広告が見られていないのか、物件には興味を持ってもらえているのか、それとも内覧後に何かを理由に見送られているのかで、次に取るべき行動は変わります。
すでに売り出している空き家が売れない7つの理由と、それぞれの対処方法を見ていきましょう。不動産会社との媒介契約を更新する際の確認項目や、仲介以外の売却方法も取り上げます。
まだ売り出す前であれば、査定額の比較やリフォーム・解体を決める前の準備から確認しておきましょう。

最初に確認|空き家は売却のどの段階で止まっている?

不動産会社から「そろそろ値下げしましょう」と提案されたら、まず広告の閲覧数、問い合わせ数、内覧数、見送り理由を聞いてみてください。
購入希望者がどの段階で離れているかによって、見直す場所が変わります。
| 売却活動の状況 | 先に確認すること | 次の対策 |
|---|---|---|
| 広告の閲覧が少ない | 掲載媒体、価格の検索帯、写真・物件名 | 広告の見せ方と販売先を見直す |
| 閲覧はあるが問い合わせが少ない | 競合物件との価格・条件の差 | 価格と物件情報の伝え方を比較する |
| 問い合わせはあるが内覧に進まない | 詳細資料、日程、現地での懸念点 | 不明点の解消と内覧体制を見直す |
| 内覧はあるが申込みがない | 見送り理由、購入後の修繕費、臭い・荷物 | 不安材料を整理し、必要なら価格を再検討する |
| 申込み後、契約にならない | 住宅ローン、境界・接道、登記、引渡条件 | 取引の障害を特定し、解決できるか確認する |
例えば、十分に内覧されているのに申込みが入らない家なら、広告を増やすよりも「内覧した人が何を理由に見送ったか」を確認する方が先です。
反対に、広告自体がほとんど見られていないなら、室内のリフォームにお金をかける前に、掲載写真や物件の紹介方法を見直す余地があります。


空き家が売れない7つの理由と、それぞれの対処方法

理由① 売出価格が現在の市場と合っていない
査定時の想定価格と、売り出して数か月たった時点の競合状況は同じとは限りません。
例えば、近隣で似た条件の中古住宅が値下げされたり、新しい売出物件が増えたりすれば、自分の空き家が比較されたときの印象も変わります。
また、購入希望者が予算上限を決めて検索する場合、価格帯によっては広告自体を見てもらいにくくなります。
担当者には、最近の成約事例と現在の競合物件を並べてもらい、今の売出価格で、どのような買主が見込めるのかを聞いてみましょう。
「最初に高い査定額を出してくれたから、その価格で待つ」という判断ではなく、売り出してからの反響も踏まえて考えることが必要です。
理由② 地域の購入需要が少ない
人口が減っている地域や駅から遠い立地では、価格を調整しても一般的な中古戸建の購入者が少ないことがあります。
ただし、近隣に住む人だけが買主とは限りません。
建物や土地の条件によっては、古民家として使いたい人、セカンドハウスを探している人、家庭菜園を楽しみたい人などが検討する可能性もあります。
担当者には、現在どのような購入希望者へ紹介しているのかを確認しましょう。
地元の不動産会社だけでなく、移住希望者に届く自治体の空き家バンクも比較対象です。登録条件や仲介との併用方法は自治体ごとに異なるため、利用する場合は物件所在地の自治体で確認してください。

理由③ 建物が古く、購入後の費用が分からない
築40年・50年という数字だけで売れないわけではありません。
買主がためらう理由の一つは、「購入した後に雨漏りや設備交換などで、いくら必要になるか分からない」という不安です。
例えば、内覧時に天井の染みや床の傷みが見つかっても、いつからその状態なのか、修理したことがあるのか分からなければ、購入後の負担を想像しにくくなります。
親が残していた修繕履歴、建築図面、設備の使用状況が分かる資料は、仲介会社へ渡しましょう。
把握している不具合は隠さず、未調査の部分は未調査と伝えること。
売主が高額なリフォームを先に行うかどうかは、現状のまま売る場合の価格と、工事にかかる費用を比較してから判断しましょう。
理由④ 写真や管理状態で物件の良さが伝わらない
庭が荒れている、玄関に荷物が多い、写真が暗いなどの理由で、実際の広さや建物の使い方をイメージしてもらえない場合があります。
まずは売主自身も掲載ページを確認してみてください。
室内の写真が少なすぎないか、庭や駐車スペースが写っているか、古い空き家でも利用できそうな部分が紹介されているかを見ておきましょう。
現地についても、内覧前に草刈り・換気・最低限の清掃ができないか、担当者と相談してください。
ただし、売れないからといって、家財をすべて処分する必要があるとは限りません。
片付けに費用をかけるなら、どの範囲まで作業すれば内覧や引き渡しに支障がなくなるのかを先に確認しましょう。
処分費が必要だと分かったら、作業範囲と追加料金の条件をそろえて比較します。
ぽいみつのような不用品回収・片付けの見積もり比較も選択肢です。
理由⑤ 不動産会社の販売方法が物件に合っていない
中古戸建、古家付き土地、移住向け物件、再建築不可物件では、想定する買主が異なります。
例えば、建物を使いたい人がいる地域なのに、土地としての情報しか掲載されていなければ、中古住宅を探している人には魅力が伝わりにくいかもしれません。
担当者には、「この家を誰に売るつもりで、どの媒体へ掲載しているか」を聞いてみてください。
価格を下げる提案を受けた場合も、どの購入層に届くようになるのか、広告の見せ方も変えるのかまで確認しましょう。
値下げ以外の改善策を説明してもらえないなら、媒介契約の更新前に他社の意見を取る方法があります。
ただし、会社を変えれば必ず売れるわけではありません。次の会社には、これまでの問い合わせ数や内覧者の反応、見送り理由も伝えたうえで、新しい販売方法を提案してもらいましょう。
理由⑥ 接道・境界・再建築など土地側の条件が障害になっている
買主が住宅ローンや建て替えを検討する段階で、接道の問題、私道の権利関係、境界不明、越境などが分かり、契約に進めなくなる場合があります。
特に古い実家では、建物の状態だけでなく、土地をどのように利用できるかが売却に影響します。
道路が細いから必ず再建築不可、道路に面しているから必ず再建築可能、とは判断できません。
担当者から「道路に問題があるので売れません」と説明された場合は、具体的に何が障害になっているのか確認してください。
接道や再建築の条件を把握したうえで、どのような買主へ売る方法が考えられるかを相談しましょう。
再建築不可などの事情がある空き家は、一般的な中古住宅と同じ売り方では買主が見つかりにくい場合があります。

理由⑦ 相続・共有名義など売主側の権利関係が整理されていない
亡くなった親の名義のまま、相続人の意向がまとまっていない、共有者が売却に反対しているといった事情があれば、購入希望者が現れても決済まで進めないことがあります。
査定や売却相談は相続登記の完了前でもできますが、買主へ所有権を移すためには必要な登記を済ませなければなりません。
また、家と土地の全体を売る場合は、原則として共有者全員の合意が必要です。
兄弟の一人が不動産会社とやり取りしている場合も、ほかの相続人が売却価格や引渡条件まで了承しているとは限りません。
買主が決まってから家族の話し合いを始めるのではなく、売却活動と並行して名義や合意を整理しておきましょう。

3か月売れないとき|媒介契約を更新する前に確認したい6項目

3か月売れなかったからといって、一律に値下げしたり、不動産会社を変えたりする必要はありません。
ただし、専任媒介・専属専任媒介の契約期間は3か月以内なので、更新前は販売活動を振り返るよい機会です。
「もう少し様子を見ましょう」という説明だけで更新するのではなく、担当者へ次の6項目を聞いてみてください。
| 確認項目 | 具体的に聞くこと |
|---|---|
| ① 媒介契約 | 契約の種類・満了日・次回の販売計画は? |
| ② 掲載とレインズ | どこに掲載したか。他社にも紹介できる状態か? |
| ③ 広告の閲覧 | 掲載後、何回見られ、写真や内容を変更したか? |
| ④ 問い合わせ・内覧 | 何件あり、何を理由に見送られたか? |
| ⑤ 物件の障害 | 接道・境界・建物状態・登記で未解決の問題は? |
| ⑥ 値下げの根拠 | いくら変えると、どの購入層・競合比較が変わるか? |
閲覧数などのデータを取れていない媒体もあります。その場合は、把握できる問い合わせや内覧の状況と、実施した広告内容を確認しましょう。
「反響がありません」「値下げしましょう」だけで更新を決めないこと。
今回の販売活動で何が分かったのか、次の契約期間では何を変えるのかを聞いておきたいところです。
レインズで紹介状況も確認する
専任媒介・専属専任媒介では、レインズへの登録が必要です。
レインズは不動産会社間で物件情報を共有する仕組みで、売主は不動産会社から交付された登録証明書を使い、売主専用画面で登録内容と取引状況を確認できます。
表示される取引状況は、次の3区分です。
- 公開中
- 書面による購入申込みあり
- 売主都合で一時紹介停止中
自分が依頼していないのに「売主都合で一時紹介停止中」となっていたら、担当者に理由を確認してください。


仲介で売れないなら「買取」など別の出口も比較する

仲介を続けるか、買取へ切り替えるか
広告や販売方法を見直しても買主が見つからない場合は、仲介を続ける以外の方法も考えてみましょう。
不動産会社が買主を探す「仲介」と、不動産会社が直接購入する「買取」では、売却価格だけでなく、売れるまでの期間や売主の負担も違います。
| 比べること | 仲介 | 直接買取 |
|---|---|---|
| 想定価格 | 市場で買主を探し、高値を狙える場合がある | 仲介より低くなる傾向がある |
| 売却時期 | 買主次第で不確定 | 条件が合えば決めやすい |
| 売主の負担 | 内覧・管理が続く場合がある | 条件次第で内覧や片付けを減らせる場合がある |
ここで比べたいのは、「あと半年待った場合に見込める売却価格と維持費」と「今、買取に応じた場合の手取り」です。
例えば、仲介ならもう少し高く売れる見込みがあっても、その間に固定資産税や管理費、修繕費がかかります。
反対に、すぐ売る必要がなく、管理にも困っていないなら、買取価格だけを見て急いで手放す必要はありません。
仲介と買取の提示額を比較するときは、残置物処分や測量、解体などをどちらが負担する条件なのかも確認しましょう。
売却価格から諸費用やローン残債を差し引くと、実際にいくら残るのか。次の記事では、条件を入力して手取りの目安を試算できます。

相続した実家で、相続空き家の3,000万円特別控除を利用できる可能性があるなら、売却時期によって適用できなくならないかも確認しておきたいところです。
売却を待つ場合は、維持費だけでなく、税金の特例に関係する期限も考えておきましょう。

再建築不可・共有持分などなら専門買取も比較する
一般の買主が見つかりにくい再建築不可・共有持分・借地・底地・老朽化した空き家などは、専門買取会社が検討できる場合があります。
例えば、再建築できない土地や共有持分だけの売却は、一般的な中古住宅とは買主の層が異なります。
そうした物件では、特殊な条件の不動産を扱う会社へ相談する方法もあります。
ただし、仲介の希望価格と買取の提示条件を混同しないこと。
買取価格、売却時期、残置物や不具合に関する引渡条件までそろえて比較してください。
ワケガイ
は、共有持分や再建築不可など、一般市場で扱いにくい不動産の買取相談を扱っています。
東京・埼玉・千葉・神奈川の物件では、LIXIL不動産ショップ 訳あり物件買取センター
も比較対象です。運営会社は株式会社ブリリアントで、LIXIL本体が直接すべての物件を買い取るという意味ではありません。
建物の解体は「売れないから」だけで決めない
売れない期間が長くなると、「古い家を壊して更地にすれば売れるのでは」と考えるかもしれません。
しかし、更地なら高く売れる見込みがあっても、売主が解体費を負担すれば手取りは減る場合があります。
また、古い家が建っている土地は、解体後も同じように建て替えられるとは限りません。
解体する前に、再建築の可否と、古家付き・更地それぞれの査定額を確認してください。

解体する方針が固まったら、建物の構造や道路の幅、重機の搬入条件、残置物の量などをそろえて見積もりを比較しましょう。
解体無料見積ガイドも選択肢ですが、先に決めたいのは解体するかどうかです。
解体見積もりでは、建物本体の工事費だけでなく、庭木や塀の撤去、家財処分、追加費用の条件も確認しておきましょう。

買取でも引き取り手が見つからなければ
仲介だけでなく買取会社にも断られる場合は、一般の住宅購入者とは別の相手や、売却以外の方法も検討する必要があります。
周辺の土地所有者への相談、空き家バンクの利用、無償譲渡なども選択肢になります。
例えば、隣地の所有者にとっては、駐車スペースや庭を広げられるなど、一般の購入希望者とは違う利用価値があるかもしれません。
ただし、無償で譲る場合も、契約、境界、登記、残置物、税金や諸費用の負担は確認が必要です。
みんなの0円物件は、譲りたい人と取得したい人をつなぐサービスです。
0円で譲ることと、費用や責任がなくなることは別です。
売却代金を受け取れなくても、契約や登記の準備は必要になります。当事者だけで判断しにくい場合は、司法書士や税理士などへ確認しましょう。
また、売却にこだわらず、賃貸や改修などの活用方法も考え直したい場合は、複数の方向から提案を受ける方法もあります。
タウンライフ 空き家解決のような比較サービスも選択肢です。
ただし、建物の状態や地域によっては、希望する方法の提案を受けられない場合もあります。活用する場合の修繕費や管理負担まで含めて比較してください。
まとめ|空き家が売れないときは、値下げ前に原因を絞る
空き家が売れないときは、まず広告の閲覧・問い合わせ・内覧・申込みのどこで止まっているかを確認しましょう。
価格が原因なら見直す必要がありますが、広告の見せ方や物件の条件、相続・共有名義などの権利関係が原因なら、値下げだけでは解決しません。
媒介契約を更新する際は、これまでの販売活動で分かったことと、次に何を変える予定なのかを担当者に聞いてみてください。
そのうえで、仲介を続けるのか、別の不動産会社へ依頼するのか、買取などへ切り替えるのかを考えます。
希望価格で待ち続ける場合の維持費と、別の方法で売った場合の手取りを比べること。
売れない期間だけで判断せず、何が障害になっているのかを把握してから、次の方法を選びましょう。




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