春、穏やかに薫る風。初夏、新緑を感じる爽やかな風。秋、紅葉を運ぶ色なき風。
風は日本の四季を部屋に取り込む空気の流れであり、風のある空間は人と建物の健康を保ち、自然のリラクゼーションと言えます。
それなのに、
- 南側にとても大きな窓を設置しているのに、北側に窓を設けていない
- メイン出入り口となる対の窓の大きさがバラバラ
- せっかくの窓なのに、住んでみたら開けられない理由が…
こんな状況になってはいませんか?
これから新しい家への引越しを考えているならば、ぜひ風通しの良さも選択の判断材料にしていただきたく思います。
また、注文住宅でマイホーム購入を考えているならば、窓の配置や大きさを自分たちで選択することができます。
今回は「風通しを良くする窓の配置」について紹介してまいります。
風通しが良い家のメリット
まずは、風通しが良い家のメリットについて紹介してまいります。
リラックスできる
1つ目は、リラックスできるということです。
やわらかな風が吹いた時、春の訪れを感じて心が豊かになった経験は多くの方にあるのではないでしょうか。
部屋でお昼寝をしているときに、頬をなでる風は非常に気持ちのいいものです。
このように、風通しが良い部屋は日本ならではの四季を体感し、精神的にリラックスするメリットがあるのです。
湿度調整ができる
高温多湿な日本においては、家の持つ機能として「湿度調整」不可欠です。
建物そのものの寿命に影響するのはもちろんのこと、室内においては、ダニやカビの発生と湿度は密接な関係を持っています。
この湿度との上手な付き合いに、風通しは非常に重要な役割を果たすのです。
におい・ほこりの排出ができ健康的な家に
部屋にこもった「におい」や「ほこり」を排出するのも風通しの重要な役割です。
平成15年に施行されたシックハウス対策法により、24時間歓喜の設置が義務付けられ、強制的に空気の入れ替えがなされるようになりました。
このように、風通しの良さは健康的な生活を保つために必要不可欠な存在です。
温度調整ができる
最近は冷暖房機器の技術も向上し、部屋の温度を自由にコントロールできるようになりました。
しかし、人工的な空調だけでなく、自然の空気を入れ換えて換気することで空気のよどみをなくし「夏冷えすぎない」「冬暖かくなりすぎない」室温調整ができるのです。
人間の体は、自然を感じつつ生きることでさまざまなバランスを保っています。
家が長持ちする
風が通り抜けることで、家や部屋の湿度も解消されます。
すると、基礎や土台まわり、木材が乾燥して腐蝕やシロアリなどの健康被害を防ぐことにつながります。壁紙や家具に関しても同様のことが言えます。
結果的に、メンテナンスや修繕のコストを抑えることができ、経済的にもメリットが出てきます。
風通しの良い家にする窓の配置
風通しの良い家のメリットを確認したところで、具体的に窓の配置について紹介してまいります。
窓を開けておける環境をつくる
大前提として、窓を開けておける環境でなくてはなりません。
配置場所によっては、窓があっても開けることができない状況があるかと思います。
- 窓の前に人通りがありプライバシーを保てない
- 排気口の近くに窓があり汚れた空気が入ってくる
- 隣の家の窓との距離が近く、防犯面が心配
- 高層階で風が強すぎて開けると危険
- 窓の設置位置が低く、開けておくと子供に危険
- 窓を開けると騒音が気になる
- 窓を開けると悪臭が気になる
- 風が吹くたびに砂埃が入ってくる
- ペットが窓から外に出てしまう
など、窓を設置する配置によっては、窓そのものの意味を果たせない場合も出てきます。
家探し、マイホーム購入はこう言った面も検討する必要があるのです。
最近では、窓に防犯性やプライバシーを確保する「面格子」や「ルーバー」などのアイテムも人気で、種類やデザインも増えましたので、気になる場合には導入を検討してもよいでしょう。
また、窓の種類や大きさやデザインも豊富になり、周辺環境に合わせた窓を選ぶことで効果的な窓の配置を選択することができます。
窓は部屋の2面以上に設置する
風通しを良くする基本中の基本は「入り口」と「出口」を作ることです。つまり、最低でも2箇所に設置する必要があるのですが、その際「配置」が非常に重要になってきます。
風通しを良くする窓の配置は、部屋の2面に、できれば高さも合わせて対面へ設置することです。こうすることで、一直線に風の通り道を作ることができ、室内に効率的に風を流すことができます。
ポイントは、南北に吹く風の流れを作れる配置にすることと、2つの窓の大きさをできるだけ同じにすることです。さらに、マイホーム建築では、限られた土地を活用するため、特に南側を広くとれるように配置しがちですが、実は北側に少し余裕をもたせてあげるだけで風の通りがよくなります。これは特に、住宅地など風が淀みやすい場所での建築で有効です。
空気の特性を活用した高さ違いの窓の配置
ただ、周囲の環境やインテリアの関係で窓の高さを合わせることができない場合もあるかと思います。
その場合は、下図のように下から上に風を流す配置でも効果が得られます。
冷たい空気が低い窓から入り込み、暖かい空気が高い窓から抜けていき、効果的な換気をすることができます。
温度の高い空気は上へ流れるという特性を利用した窓の配置です。特にこれは、吹き抜けがある家などで活用したいテクニックです。
一面にしか窓を設置できない場合の配置方法
建物の構造上、一面にしか窓を設置できない場合もあるかと思います。
その場合は、下図のように窓の高低差をつけた配置にします。
こうすることで、一面に横並びの窓を配置するよりも効果的な風の道を作りことができます。こちらも空気の特性を生かしたアイディアです。
風向きを考慮する
風の向きは季節や時間帯によっても変わってくるため、冬は北風、夏は南風と一概には言い切れないのがネックです。
また、立地によっては周囲の建物や形状の関係で風向はさらにまちまちです。現地にて風の主方向を知り、良い風が流れてくる方向に窓を設置することが効果的です。
風を取り込みやすい窓「ウインドキャッチ」を設置
これまで、窓というとスライド式が主流でした。
しかし、窓の構造や技術も向上し最近では「ウインドキャッチ」というタイプの窓が効率的に風を取り込むと人気です。
スライドオープンの窓と違い、開けると外に出っ張るので、通り抜ける横からの風を部屋の中に強制的に取り込むのです。
そしてもう一方の窓からは通り抜ける風の波に乗り、室内の空気が効率的に排出される仕組みです。
リクシルなどで詳しく説明されていますので興味がある方はチェックしてみてください。
窓を開けられない季節でも家全体に風を流す方法
寒さの厳しい季節や、花粉や黄砂が舞う季節は窓を開けることが困難かと思います。
しかし、こういった時にも家の中の空気に動きをつけ、家全体を1つの空間ととらえ、緩やかに空気を循環させたいものです。
建具を引き戸やよろい戸式のドアにしたり、出入り口の上に欄間を設けることで空気に動きをつけることができます。
まとめ|風通しが良い家
風通しの良い部屋は、住む人の健康はもちろん、家そのものの寿命に影響してきます。
エアコンの技術が発達し、年中快適な室温や湿度を保てるようになりました。
一方で、自然が生み出す「風」がもたらす、健康やリラックスの効果も非常に大切なものです。
四季のある日本、穏やかな季節には自然の風を効率的に取り込み、身体も家もリフレッシュしてみてはいかがでしょうか?
窓など、リフォームを検討する場合はアイディアから見積もりまで複数社を一括比較できるタウンライフリフォーム がおすすめです。是非チェックしてみてください。
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