「1000万円のローコスト住宅!」や、「900万円で自由設計の家」なんて広告を見ると、
「自分にも家が買えるかも…」と思う前に「大丈夫か?」と疑ってしまう私です。
古来より安かろう悪かろうの文化が根付く日本ですが、ローコスト住宅の実際のところはどうなんでしょうか。
今回はそんなローコスト住宅について紹介してまいります。
ローコスト住宅とは?
まずは、ローコスト住宅とはどんな住宅のことを言うのでしょうか?定義から確認していきましょう。
その名の通り「ローコスト」なはずです。ではまずは一般的な大手ハウスメーカーの価格から確認していきましょう。
大手ハウスメーカー平均坪単価
以下の表をご確認ください。
平均坪単価|大手ハウスメーカー比較 | |
セキスイハイム | 約84万円 |
積水ハウス | 約91万円 |
ダイワハウス | 約88万円 |
タマホーム | 約40万円 |
住友林業 | 約98万円 |
あえて中央付近に「ローコスト住宅」でお馴染みのタマホームを載せさせていただきました。
ご覧のように大手ハウスメーカーの平均坪単価が軒並み80万円前後な中、まさかの半額以下、40万円という金額を実現しています。
ローコスト住宅のおおまかな定義
さまざまな雑誌でおおまかなローコスト住宅の定義をまとめられているので紹介しますと、
ローコスト住宅の定義 | |
坪単価 | 20〜40万円前半 |
広さ | 35坪前後 |
価格 | 1000万円台以下 |
などで、坪単価が20〜40万円程度の他に、広さなどもある程度規格が定められています。
後述しますが、ローコスト住宅が価格を低くできるのは、このように複数の規格を設け、その中でプランや建築をすることにも由来するのです。
ローコスト住宅は安全なの?
普通の住宅に比べて安いということは、当然何かを削減、コストダウンしているということです。
想像がつくのは、
- 耐震性能
- 断熱性
- 設計費
- 建築材料
この辺りですが、タマホームやアイフルホームなど、大手ハウスメーカーのローコスト住宅であれば耐震性能は耐震等級3と、最高レベルですので安心です。
それ以外の工務店などに依頼した場合でも、耐震性能の最低基準は満たさなければ違法ですし、逆に最低でも基準を満たしていれば安全は保たれます。
一方で、断熱性に関しては、坪単価80万円前後のハウスメーカーに比べれは劣りますが、よほど寒暖差の厳しい気候が想定される地域以外では心配するレベルではありません。
ローコスト住宅の実際の価格は?
「なるほど、それならばローコスト住宅もありだ。多少の我慢をすれば1000万で家が建つなら依頼しよう」
となるのは注意です。
ローコスト住宅の広告に記載の「1000万円」などという金額は、あくまで建物だけの金額です。
実際には、
- 建物の金額
- 土地代
- 諸経費
- オプション代
がかかってきます。
諸経費には、不動産取得や登録に関わる税金や住宅ローン融資手数料などが含まれ、金額的には40〜70万円ほどです。
もちろんこれらは、ローコスト住宅でなくともかかってくる金額ですので、お得な事には変わらないのですが、これを知らずに電話をしてしまうと恥ずかしい思いをしますので注意です。
また、大手ハウスメーカーの注文住宅は、システムキッチンや断熱性の高いペアガラス、シャッターやトイレ、ユニットバスなどは込みの料金であるのに比べ、ローコスト住宅では別途オプション料金などという場合もありますので注意しましょう。
ローコスト住宅の評判・口コミは?
そんなローコスト住宅の評判や口コミはどうなのでしょうか?
ローコスト住宅の良い評判・口コミ
- 単純に安くてまともな住宅に住める
- 日本の技術、日本のメーカーなら信じられる
- 安いので、延べ床面積を1.5倍にしても高級住宅より安い
- 安いのに広いから友人を呼んだときに優越感がある
- 見た目では安いなんて感じられないので良かった
- さっさと安いローン返済をして、老後用にリノベーションできる
などなど、耐久性などの不安は高級住宅ほどないにせよ、それでも日本の技術を信じている方が多いようです。
また、安いからこそ広い間取りを実現できたり、ローコスト住宅ならではの耐久性の不安は、むしろ安い住宅ローンをさっさと払ってからリノベーションすれば、その時代の耐震性能を確保でき、しかも老後のライフスタイルにあった間取りに変更できます。
まさにローコスト住宅の安さを逆手に取った作戦は素晴らしいと思います。
ローコスト住宅の悪い評判・口コミ
- 設計プランがある程度決められていて自由度に難あり
- オプション品をたくさんつけたら結局普通の値段になってしまった
- 設計打ち合わせの回数が決められていて悩む時間もなかった
- 決められた窓の大きさの変更をしたら金額が一気に上がった
- 営業が強引だった
などが挙げられます。
もちろんこれは大手ハウスメーカーだけでなく、地元の工務店なども含めての口コミですので、すべてのローコスト住宅がこうだというわけではありません。
ただ、ローコストを実現するために建築材料の限定や設計プランの規格化を採用しているところは多いため、それ以外の材料やこだわりの間取りを注文すれば高くなるのは当然です。
ローコスト住宅はなぜ安い?
メーカーにもよりますので一概には言えませんが「安かろう悪かろう」という発想は捨てて頂いても良いといえます。
では、ローコスト住宅はなぜこの安さを実現できるのでしょうか?
大量発注・宣伝広告費削減・設計アイディアなど、ローコスト住宅は企業努力や徹底的なコスト管理など、実はさまざまな努力の結晶で実現されているのです。
その方法は大きく2つ、
- 建築素材のローコスト化
- 設計のローコスト化
です。
1つずつ確認していきましょう。
建築素材のローコスト化
建築素材とは、家を建てるための材料です。
これらを、
- 大量発注で安く仕入れる
- 対温・耐久性が基準ギリギリの部材を使う
- 高級な部材を避ける
- 装飾や色の統一性を図る
とすることでローコスト化を図ります。大量発注でのローコスト化は、地元の工務店よりも大手ハウスメーカーの方が有利でしょう。
設計のローコスト化
設計においても、
- 建物をシンプルな方形にして部材を節約
- 部屋を細かく仕切らない
- 水回りをまとめて配管を節約
- 換気を工夫して無駄な開口を減らす
などの工夫をすることによりローコスト化を図ります。
1階と2階の形状を同じにしたり、出っ張った間取りを避けることで必要な柱の数も工期も短縮できます。
その他のローコスト化
その他にも、
- 宣伝広告費を減らす
- 工期を短くし人件費を削減
- 過度な耐震技術を採用しない
などでローコスト化を図ります。
テレビCMやネットで宣伝広告を行えば、当然かなりのコストがかかります。ハウスメーカーの収益は家を買ったお客様から頂いているわけですから、資金計画に明記してはいませんが確実にどこかに宣伝広告費を確保する金額が乗せられています。
広告をするにせよ、地域を限定したり、限りなく減らすことで建築費を抑えることができます。
また、シンプルな構造の建物を設計することにより、工期を15日短くすれば人件費が浮きます。
加えて、過剰だと指摘される高級住宅の耐震技術合戦に参入しないことでもコストを削減できます。
ローコストを依頼できる業者は?
ローコスト住宅が気に入ったら、どこに依頼すれば良いのでしょうか。
ローコスト住宅が世に出回った初期は悪徳業者も紛れていたため、劣悪な物件を握らされた被害者も出ました。時代が変わったとは言え、100%どの業者も安心とは言えないでしょう。
おもにローコスト住宅を依頼できる建築業者は、
- パワービルダー(大手ハウスメーカー)
- 工務店
- 建築家
の3つです。
タウンライフ家づくりというサイトがあり、ここで一括見積もりをすれば簡単なのですが、まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。
パワービルダー|大量発注でローコスト
パワービルダーの強みは、建築部材の大量発注によるローコスト化がメインですので、同じように安くともオプションや耐震性能が整っていることが多いことです。
一方で、大量発注なのである程度決められた規格、プランで家を建てることが条件になるため、施主のこだわりを出すことが難しいです。こだわりを出すこともできますが、規格外の変更は値段が一気に上がり、結果、一般的なハウスメーカーで建築するのと同じくらいの金額になりがちです。
工務店|宣伝広告・人件費でローコスト
工務店の強みは、ローコスト化を地元ならではの宣伝広告費削減や少数精鋭ならではの人件費の削減で行っているため、建築材料や耐震技術などを良いものを使いつつ比較的安価で建築できる点です。
ただし、その工務店にはない技術(耐震や断熱)を依頼することはできません。また、各工務店の得意分野の色が出るため、そもそもセンスが合うかどうかも施工事例をチェックしておく必要があります。
建築家|設計・アイディアでローコスト
建築家に依頼する場合、ローコスト化は設計で行います。前述の通り、無駄な仕切りを省いたり、配管を減らすために水回りをまとめたりと建築家のアイディアを用いてコスト削減をします。
結果的にローコストにはなりますが、建築家に依頼する設計費が比較的高くなる傾向があります。
おすすめのローコスト住宅の業者はどこ?
ここまでローコスト住宅についてまとめてまいりましたが、イメージは変わりましたでしょうか?
参考までに大手ハウスメーカーでローコストを実現しているのは、
- タマホーム
- アイフルホーム
- アイダ設計
- レオハウス
- ユニバーサルホーム
- アーネストワン
- 一建設
- クレバリーホーム
などがあり、どれも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
では、これに建築家や地元の工務店などを加えて、どこの業者が一番おすすめなのでしょうか?
それは「探す」必要があります。
なぜならば、各業者それぞれに工法や予算、技術などの特徴があるからです。
ですから、あなたにおすすめの業者は「探す」しかないのです。
ローコスト住宅にかかわらず、マイホームで失敗しないためには、遠慮せずに各メーカーの費用や技術を一括比較しましょう。
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