今回は、これから注文住宅でマイホームを購入予定の方に、ハウスメーカーや工務店の比較ポイントを紹介してまいります。
ただ、あまり難しい話をすると初めての方には分かりにくいかと思いますので、多くの方の大好物である「私の失敗談」を交えつつ、できるだけ分かりやすく、さらにに今回は、最低限押さえておきたいポイントに絞って紹介します。
ハウスメーカー比較・選択の失敗あるある
1軒目で即決してしまう
これから何十年も住む家を依頼するというのに、その会社探しを即決してしまう方の勇気には度肝を抜かれます。
何も知らずにどこかのハウスメーカーにふらっと立ち寄る。
緊張しつつも勇気を持ってふらりと紛れ込んできたマイホーム初心者のあなたは、まさに「飛んで火に入る夏の虫」なのです。
1件目で
- ここはすごくいいハウスメーカー!断熱性も耐震性能もばっちり!
- 担当者も知識が豊富で信頼できる!この人にお願いししよう
などと、話の上手な営業さんにハートをわしづかみされて即決。
ちょっと落ち着きましょう。多分それ、マイホームハイです。
なぜなら、この時点で提案される住宅ローンの毎月の返済額は、想像よりも安いはずですし、営業さんは流暢に自社のメリットを連射してくるし。
でもよく考えればそれを仕事としているのですから営業さんの知識が豊富なのは当然です。それから、今見ている予算は初期中の初期段階。インテリアや外構にこだわれば、毎月の返済額はガンガン上がっていくものです。
これだけたくさんのハウスメーカーがあるのに、一番最初に行ったハウスメーカーが奇跡的にあなたにとって最良のパートナーである確率は決して高くはないはずです。
担当営業の人柄で決める
よく「担当営業の方の人柄がよく決めました」という口コミがありますが、家を建てるのは営業ではないということも念頭におきましょう。
多くの場合で営業さんは「契約をとる」までが仕事であり、ハンコを押したら次の方(設計士、インテリアコーディネーター、現場監督、大工)にバトンタッチします。
「ハンコを押した途端、営業が冷たくなった・連絡がなくなった」
というクレームや悪評が後を絶ちませんが、それ以降は営業の管轄外です。用事もないのに電話をしてたり、設計にまで口出したりしてくるほうが珍しいということも知っておきましょう。
契約後にもっと良いハウスメーカーをみつける
すっかり安心して契約書にハンコを押した後で、担当営業が冷たくなったことに不満を抱いたり、次の担当者の対応が悪い・引き継ぎがなっていないなどで不信感を抱き、そのハウスメーカーの評判・口コミを調べだしたら、それは最悪なシナリオの始まりです。
私も多くのハウスメーカーの、ネット上に出回っている口コミ・評判を調べましたが、まあ恐ろしい、まさに荒れ果てた世界です。
これだけたくさんの家。建築しているのは人間。人間の仕事ですからミスはあります。でも、ファミレスのオーダーミスとは金額が違いますし、夢も期待値も別次元です。
不運にもそのミスに遭遇してしまった方たちの恨みつらみが書き綴られ、それに対抗するかのように関係者らしき方の書き込み。
そしてバトルの勃発。無法地帯です。
あまりに不安になり他のハウスメーカーの公式サイトをチェック。
「え?もっと安くて良いハウスメーカーあったじゃん」
そう気付いても遅いのです。
これは特定のハウスメーカーに限ったことではないので、口コミや評判がどうしても気になるならば「契約前」にチェックをすることです。
このような「失敗あるある」に陥らないためにも、しっかりと比較ポイントを押さえていきましょう。
それでは早速。
耐震性能・耐震等級|ハウスメーカー比較ポイント
まずは、地震大国日本において、大切なマイホームを地震から守らなければなりません。耐震等級には、1~3まであり、以下のように分類されます。
耐震等級比較表 | |
耐震等級1 | 建築基準法(法律)にて定められている、最低限の耐震性能。・阪震度6強~7の地震でも、即倒壊はしないレベル。ただし、大規模修繕や建て替えとなる可能性がある。 |
耐震等級2 | 等級1の1.25倍の耐震性能。震度6強~7の地震でも、一定の補修程度で住み続けられるレベル。学校・避難所など公共建築物に多い。 |
耐震等級3 | 等級1の1.5倍の耐震性能。震度6強~7の地震でも、軽い補修程度で住み続けられるレベル。消防署・警察署などに多い。 |
もちろん耐震等級は最高ランク3であるにこしたことはありません。
「うちは耐震等級3で最高等級取得してますから安心ですよ!」
なんて鼻息を荒くアピールしてくる営業さんがいます。しかし、耐震等級3は今や大手ハウスメーカーではわりとあたりまえ。
しかも、耐震等級3をうたっていない会社でも、自由設計のハウスメーカーならほぼ対応可能です。
なぜなら、耐震等級を上げるには、柱や壁の量を増やしたり、基礎配筋や水平構面とうの条件を満たせば良いだけだからです。
ただし、当然その分間取りの自由度は下がります。例えば30畳の広々LDKにしたい方などは注意です。
最近では耐震等級3でも大間口・大空間を可能にする技術が出てきていますが、耐震等級1の建築よりも確実にコストは上がります。
ポイントになってくるのは、
- 間取りの自由度と建築コスト
- 耐震等級
を天秤にかけて、どちらにどれだけこだわるのかです。耐震等級3は一般の家屋には過剰だと唱える専門家もいます。
そして、ここからが重要です。
私は、大切なのはむしろ耐震等級よりも「制震・免震システム」だと主張させていただきます。「制震・免震システム」とは、地震の揺れを軽減するシステムです。
どんなに耐震等級が高く地震に強くても、揺れるものは揺れるのです。家が強くても家の中はめちゃくちゃです。
だからこそ、揺れそのものを軽減する「制震・免震システム」が大切なのです。
ということで、地震に強い家を建てられるハウスメーカーを探すなら、「制震・免震システム」の有無、標準なのかオプションなのかも確認して選びましょう。
断熱材|ハウスメーカー比較ポイント
春夏秋冬、四季がある日本において、年中快適なマイホームにするためには断熱性・気密性はとても大切です。
「うちの注文住宅はね、断熱材をしっかりたっぷり使っているんで、夏涼しく冬温かいですよ」
なんて鼻息荒くアピールしてくる営業さんがいます。私から言わせれば断熱材をたっぷりなんて当たり前です。そもそも一定レベル以上の断熱性能は法律で決められているので、やって当然なのです。
ポイントはどこまで断熱材にこだわるかです。
現場吹き付け硬質発泡ウレタンフォームやセルロースファイバーなどが気密性・断熱性が高いと評判ですが、多くのハウスメーカーではグラスウールという断熱材が一般的です。
鼻息荒い営業さんに「じゃあ、断熱材はなんですか?」と質問すると、大体グラスウールです、と返ってきます。
「いや、それ普通じゃん」と言い返してあげましょう。
とはいえ、実は私は関東以西ならばグラスウールで十分だと思っています。あくまで「私は」です。
実際、我が家の壁はグラスウール14kという断熱材で、厚みは105mm。いわゆる普通の大手ハウスメーカ標準レベルの「あるある断熱」です。
ですが、東京の真夏に壁を触ってもまったく熱くない常温です。熱など一切持っていません。高い金を出して断熱材にこだわらなくて良かったと安心すらしています。
ですから、グラスウールはもはや一般的なのでハウスメーカー比較の決定打にはならないということと、それよりも重要なのが窓なのだということを主張いたします。
ただ、105mmの厚み以下のグラスウールで断熱しているようなメーカーは避けた方がいいでしょう。今どきそのレベルにすら達していないメーカーはちょっと…。
逆に、外断熱や遮熱シートを採用しているハウスメーカーも増えてきましたので、寒冷地や、絶対に寒い・暑いは嫌だ!という方は予算と相談して検討しましょう。
窓・サッシ|ハウスメーカー比較ポイント
前項でも紹介したように、大切なのは窓の断熱性能です。
窓の断熱性能は大きく分けて2つ「ガラス」と「サッシ(窓枠)」です。
おそらく多くのハウスメーカーで、
- ガラスはLow-Eペアガラス(複層ガラス)
- 窓枠はアルミ樹脂複合サッシ
というのが一般的でしょう。営業さんによってはこの程度で鼻息が荒くなる方もいるでしょうが、こんなの今どき最低限レベルです。
「普通じゃん」と言い放ってやりましょう。
もう少しレベルが上がると、複層ガラスの中間層に「アルゴンガス」や「クリプトンガス」充填というものになってきます。
が、こんなのももはや当たり前ですから比較ポイントになりません。多くのハウスメーカーの基準もほぼこのラインで、我が家もこれです。
そして残念ながら、東京の夏はこの程度では暑いです。あんなに営業さん鼻息荒くしてたのに、信用したのにがっかりです。鼻息を返して欲しいくらいです。
具体的には、
「夏日や猛暑日、カーテンと窓の間はぼんやり熱を感じる」
くらいです。
遮熱のレースカーテンをしてだいぶ抑えられている気がしますが、それでも熱気が部屋の方に侵入してきます。
暑さや寒さが苦手という方は、
- トリプルガラス
- 木枠サッシ
を検討してみてください。私はもし次に家を建てるならこの2つはオプションになっても付けるとおもいます。
全熱交換型換気システム|ハウスメーカー比較ポイント
もう1つ、断熱に関しては失敗したなと実感。まさに盲点だったのが換気システムです。
現在は法律により「換気システム」によって空気は二時間で入れ換えられるようになっています。
つまり、どんなに断熱性・気密性が高くても、外の空気と部屋の空気を入れ替えられちゃうわけです。
夏、やや暑いなと思ってふと目が止まった換気システム。おそるおそる手を付近にかざすと、「犯人」発見。
やはりおまえか。
換気システムを止めるのは簡単、ワンプッシュです。でも、
「基本的には24時間換気ですから、強弱の調整は良いですが止めるのは避けてください」
と引き渡しの時に言われたことを思い出しました。
いやいや、換気システムよ。おまえ、こんなにエアコン様が頑張っているのに、なぜ2時間でそれを入れ替えてしまうのだ。
と、文句を言ってもむなしく。私は知らなかったのです。全熱交換型換気システムの存在を。
全熱交換型換気システムとは、簡単に言えば換気をしつつも、その空気は外気温に影響されないシステムです。
夏は部屋の涼しい温度のまま、冬も部屋の温かい温度にした状態の外気を取り込んでくれるのです。
つまり換気をしても、外気温に影響されないのです。こんな素敵なシステムがあったなんてと自分が依頼したハウスメーカーの公式サイトを見ると、
追加オプションだけどあるんかいな!説明しろや!!
と嘆いても今更どうしようもなく。
ということで、私は次に家を建てる時にはやはりこの全熱交換型換気システムを依頼すると思います。
→全熱交換型換気システムを採用しているハウスメーカー・工務店
自由設計|ハウスメーカー比較ポイント
ローコストのハウスメーカーあるある。自由設計と言いながら、規格の間取りプランから選択していくタイプ。
これ、結構ショックです。
「それでは、このプラン集をお渡しするので好みのものを見つけておいてください。」
「選ぶ?いやいや、それってぜんぜん自由設計じゃないじゃん」
「自由にお選び頂けます。」
「そういうことじゃないだろ。」
「多少のプラン変更は可能です。別料金で。」
「いや、別か〜い!」
こんなの詐欺じゃんなんて口コミ・評判もありますが、現在の「自由設計」の定義はこれでも良いそうです。
ですから、完全に自由設計で相談したいなら一番最初にどのレベルの自由設計なのかを確認しましょう。
ただ、そこまで間取りに強烈なこだわりがなく、プラン集の中に自分の好みの間取りがあるならばむしろラッキーとも言えます。
なぜなら、決められた間取りプランの多くは、採光や生活動線、耐震構造の計算などもなされていることが多いからです。
決められた中から選ぶなら設計料などを考慮しても確実にローコストで抑えられるはずです。
全館空調・全館床暖房|ハウスメーカー比較ポイント
すごく悩むのはこの「全館空調」や「全館床暖房」などの「全館〇〇」シリーズです。
全館空調でなければ、基本的にそれぞれの部屋にエアコンを設置したり、個別に床暖房を設けたりすることになるのですが、
夏や冬の「廊下」「トイレ」「風呂場」「脱衣室」
ここはどうしようもありません。
我が家は全館空調でないがために、夏のトイレは厳しいです。断熱性が高いのでまだマシではありますが、
「全館空調でトイレも脱衣所も廊下も快適〜♪」
なんて口コミを見ると、「♪」をむしり取ってやりたくなります。
なんて羨ましいんだ、と思う反面、ちょっと心配なこともあります。これらのシステムの歴史が、まだ浅いということ。
「全館空調壊れた。夏、全館地獄におちいった。おまけに修理にはめっちゃお金と、時間がかかるとかアフターがほざいてやがる」
「床暖房、メンテンテナンス金かかりすぎwwwもう諦めてヒーター買う。」
なんて口コミを見ると震え上がります。
部屋ごとの温度差がなく快適なのは間違いない一方で、歴史が浅いので、故障やトラブルでのアフターサービスや保証に関してはよく確認しましょう。
なにしろマイホームは何十年も住むわけです。エアコンなら最新のにポコッと買い替えできますが、「全館」シリーズは最新の商品が登場しても、コストも工事もとんでもないことになりそうで不安です。
でも、羨ましいのも事実。
外壁材|ハウスメーカー比較ポイント
多くのハウスメーカーが採用している外壁材はサイディングというものです。
サイディングは初期コストが安く種類も豊富です。ですから特にローコストのハウスメーカーは採用してコストカットを図るのですが、長期的に見るとメンテナンスは10年から15年に一度必要で、コストも数十万円〜百万円以上かかり、タイルや塗り壁、レンガ外壁に比べて悪くなります。
それでも最近はサイディングも頑張り、ニチハやケイミューなどのメーカーがプラチナコートや親水、光触媒などセルフクリーニングで長持ちにはなりました。
また、サイディングは目地部分のシーリング(接着部分)が痩せてきたりするのでこの部分のメンテナンスも必要なのですが、これに関しても、ニチハのFu-ge(フュージェ)シリーズが「四方合いじゃくり」という技術を開発しました。
シーリング目地が目立たず外観も綺麗ですし、シーリングのメンテナンスコストも大幅にカットされるので、サイディングしか選択肢がない方にはこちらをおすすめします。
また、タイル外壁やレンガの外壁はほぼメンテナンスフリー、塗り壁は塗り直すことができるのでコストが低いので、選択肢にあるならばおすすめします。
ZEH(ネットゼロエネルギー)住宅|ハウスメーカー比較ポイント
昨今取りざたされているZEH(ネットゼロエネルギー)住宅も比較ポイントの1つになるといえます。
- 高い断熱・気密(断熱材やサッシ、工法など)
- 省エネ(省エネ家電やHEMSなどによるエネルギー管理)
- 創エネ(太陽光発電システム)
の三本柱で、単純に家の電気代を自給自足化、さらに余った電力は売ることも可能という夢のようなシステムです。
ZEHビルダー登録のハウスメーカーも増えましたし、政府も「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」というほどの力の入れようです。
ZEH基準のハウスメーカーはそれだけで断熱性・気密性の高さに期待できますし、初期投資こそかかりますが、
- 災害による停電などの際にも、このシステムがあるので助かった
- 電気代が0円なので長い目で見ればお得
という口コミも豊富です。
最近では売り電を担保に初期コストゼロでZEHのシステムを導入できるハウスメーカーも登場し話題になっています。
住設備の充実|ハウスメーカー比較ポイント
最後は住設備の豊富さです。大手ハウスメーカーですと、
- システムバス
- システムキッチン
- 洗面化粧台
- トイレ(各階)
- LED証明
- 建具(ドアなど)
- インターフォン
などは標準装備で込みの料金というところが当たり前です。
- 太陽光システム
- 床暖房
- エアコン全居室分
- カーテン
- 電動シャッター
まで標準ですという強者のハウスメーカーもあります。
ただ、これらの多くは込み込みの料金なので「不要です」と言っても料金が変わらないことがほとんど。
「頼んでないのに勝手に料金に盛り込みやがって。その分安くしてくれ。」は基本通用しないので注意です。
また、標準装備のキッチンなどがそのメーカー独自の商品の場合は注意です。独自開発だったりサイズ感が違うため、壊れた時やメンテナンス、一般のメーカーの商品に交換できなかったなどの口コミもありますので要注意です。
また、大手ハウスメーカーより安いからと工務店に依頼したら、トイレもキッチンも自分たちで購入しなくてはならず、結局坪単価が同じくらいになったという失敗談もみかけますのでよく確認しましょう。
→標準の住設備が充実しているハウスメーカー
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