今回は地鎮祭について紹介してまいります。
マイホーム計画が進み、土地の契約あたりまで進むと、着工前の地鎮祭をどうするか決めることになります。
「どうするか」ということは、やらないという選択肢もあるということです。
今回はこの地鎮祭とはどんなものなのか、他の皆はどうしているかなどを紹介してまいります。
地鎮祭とは?
そもそも地鎮祭とは、着工から竣工まで建築工事が無事に終わりますようにと祈願する儀式です。同時に、その後その土地で暮らす家族の安心や繁栄も願います。
以下は、「有鹿神社」の正式な意義です。
『私たちは古来、建物を新築改築し、または土木工事をするにあたり「地鎮祭」という大切な儀式を執り行ってまいりました。それではこの祭りにはどのような意味があるのでしょうか?地鎮祭(じちんさい・とこしずめのまつり)は土地の上で建物の工事などをすれば、その土地に必ず影響が生ずるので、大地に関係する神様たちにご挨拶をするためです。私たちは、連綿と続く大地を人為的に線引きし、境界をつくり、それぞれの区画を自分の土地と考えています。ところが、大地には元々、大地の神様が棲み、あらゆる生命を生育し、その反面、いろいろな災害をもたらすこともあります。山川泉、動植物、人間など、すべてものもが神様、「八百万の神(やおよろずのかみ)」様の現れです。私たちはこれらの神様を敬い感謝の気持ちを表すために祈りや祭りを捧げてきました。私たちは大地の神「大地主大神」(おおとこぬしのおおかみ)様、大地の守護神「有鹿大神」(あるかのおおかみ)様たちに、「このようなわけで工事をしますので、宜しくお願いします。」とご挨拶をし、「お許しをいただきましてありがとうございます。」と感謝をします。これによって私たちは、神様のご加護を授かり、建物の工事などが安全にしかも迅速に行われ、また傾角通りに立派な建物が完成し、そこに住み、または、働く人たちにも末永い幸福が続くことになります。』
最近、地鎮祭をやっている人の割合は?
さて、そんな地鎮祭ですが、実際に行っている人の割合はどのくらいなのでしょうか?
私が担当者に聞いた内容や、書物などの情報を照らし合わせると、
- 66.8%|地鎮祭を行った
- 16.1%|簡易的に行った
- 17.1%|行っていない
というアンケート結果(※HOUSING2019年3月号より)が出ています。
施主が参加せず、すべてお任せの簡略化された地鎮祭を行う方も増えてきているそうです。
年々儀式を行う人は減ってきているので、現在はもっと少ないのではないでしょうか。
もともと宗教観の少ない日本であることに加え、最近は時代の流れも相まって減少傾向にあるようです。
地鎮祭はやってよかった
私は地鎮祭を行いました。
結果的に良かったと思っています。多少お金はかかりますが、それ以上の価値があったと確信しています。
これから工事をする方の安全祈願、そして私たち家族がこれからも健やかに過ごせるよう願えたこと、そして家族で家が建つ前の土地で記念撮影をできたこと、今でもあの光景を思い出せることを踏まえれば、記憶にも記録にも残る素敵なイベントでした。
【費用・準備】地鎮祭の流れ
地鎮祭の費用は、およそ5万円ほどだそうですが、私たちの場会は、建築会社が儀式の準備や神社との連絡を取り合ってくれたので、準備も任せっぱなし、費用も初穂料の3万円だけでした。
昔は準備段取りが大変なことに加え、費用もかさんだようですが、最近はこのように「やるか」「やらないか」を決めて、当日「初穂料」を持って現場に行くだけです。
【所用時間】地鎮祭の流れ
地鎮祭当日の所要時間は30分ほどという情報が多いですが、私たちはすべて合わせて50分ほどでした。
儀式自体は30分ほどですが、その前にやり方を教えてもらったり、儀式後に神主様よりご挨拶をいただいたりしました。
【参加者】地鎮祭の流れ
地鎮祭の参加者は、
- 神主さん
- 施主
- 現場監督
の三者です。
妻と2人で参加しましたので、計4人で行いました。
【持ち物|初穂料】地鎮祭の流れ
地鎮祭の持ち物は、「初穂料(はつほりょう)」もしくは「玉串料(たまぐしりょう)」と書いた熨斗袋(のしぶくろ)に3〜5万円を包んで持って行くだけです。
地鎮祭の「のし袋」には「蝶結び」が最適です。
「のし袋」の表書きは、水引(みずひき)の上側に玉串料あるいは初穂料と筆ペンで書き、水引の下側に氏名を書きます。家族の名前も入れる際には、世帯主以外は名前のみ左側に書きます。
中袋がある場合は、表側に旧字体で金額(1万円 = 壱萬圓)を、裏側には、住所と氏名を書きます。
持ち物はこれだけですが、帰りに米や酒、果物など儀式で使った神饌物(しんせんもの)をお土産にもらえますので、大きめの袋を持って行くと便利です。
【神饌物】地鎮祭の流れ
前項で出てまいりました神饌物(しんせんもの)についても紹介します。
神饌物とは、米・海の物・野菜・果物などで、地鎮祭などの神事で、ご神前にお供えし、神様に召し上がっていただくものです。
直会(なおらい)といって、本来、この場でこれらを煮炊きして、皆で一緒に食べながら、家の建築をお祝いします。
儀式の後にすべていただけるので、できるだけその日のうちに、もしくは早いうちにいただくものです。
【式次第】地鎮祭の流れ
いったい何をされられるんだろうと不安に思う方のために、「地鎮祭の流れ」式次第を紹介します。
地鎮祭の流れ・式次第 | ||
式次第 | 進行・行うこと | 意義・趣旨 |
開式の辞 | 只今より○○家・会社○○新築工事地鎮祭を執り行います。 | 祭員及参列者が所定の座に着席するのを待って祭典を始める旨を告げます。 |
修 祓 (しゅばつ) |
神職が「大麻」(おおぬさ)をもってみなさまを祓いますので頭をお下げください。 | 私たちの心身に積もった「穢れ」=気・枯れ(けがれ)を祓い清め、清々しい気分で神事にのぞみます。 |
降 神 (こうしん) |
神職が「お〜」という声=「警蹕」(けいひつ)をかけますので皆様は頭をお下げください。 |
この場の「神籬」(ひもろぎ)に神様たちをお迎えします。 |
献 饌 (けんせん) |
施主は「玉串料」(たまぐしりょう)または、「初穂料」(初穂料)を「三方」(さんぼう)に乗せてお供えください。 | 「新饌物」(しんせんもの)=食べ物をお供えして神様たちをもてなします。 |
祝詞奏上 (のりとそうじょう) |
皆様も頭を下げ、心のなkで祈りを捧げて下さい。 | 皆様の感謝や願いの気持ちを神様たちに奉告(ほうこく)します。 |
四方祓 (しほうばらえ) |
只今よりこの敷地にすべての災が無きことを祈願して(修祓散供)を執り行います。 | 敷地の四隅と中央を祓い清め供え物をして土地の安全を願う。 |
地鎮の儀 (とこしずめのぎ) |
「えぃえぃえぃ」と掛け声をかけ、忌砂(いみすな)の草を刈り、忌砂に鍬をいれ、鍬でならします。
神職が「お〜」という声=警蹕(けいひつ)をあげるとき、頭をお下げください。 |
|
玉串奉奠 (たまぐしほうてん) |
皆様は、玉串を受け取り、ご神前に進み、一礼し、玉串を右回りにし、その根本をご神前に向けてあげます。そして二礼・二拍手・一拝をします。 |
皆様の真心を榊(さかき)=「玉串」(たまぐし)に乗せ、お参りください。 |
撤 饌 (てっせん) |
食べ物をさげます。 | お供えした神饌物をさげます。 |
昇 神 (しょうしん) |
神職が「お〜」という声=警蹕をあげるとき、皆様は頭をお下げください。 「これをもちまして、地鎮祭滞りなくお納めいたしました。」 |
神様たちをもとのところにお送りします。 |
神酒拝戴 (しんしゅはいたい) |
ご神前にお供えしたお神酒(おみき)をいただきます。 | 今日の良き日を神様たちと一緒にお祝いをするとともに、心の切り替えをし、日常生活に戻ります。 |
このような流れで地鎮祭はすすんでいきますが、もちろん覚える必要はありません。
また、儀式前に一度どんなことをするのか練習もできますし、儀式の最中も、ここでこうしてくださいと教えてくれますので、安心して挑んでいただければと思います。
【工事スケジュール確認】地鎮祭後の流れ
地鎮祭と合わせて行われることが多いのが、工事の日程・スケジュールの確認です。おそらく、現場監督と会うのもこの日が初めてかと思いますので、挨拶を兼ねてこの日におおまかな流れを説明されます。
【近所・周辺挨拶】地鎮祭後の流れ
また、この日以降いよいよ着工となります。まずは基礎工事から始まりますが、工事では近隣へ騒音の問題や、工事関係の車の出入りが激しくなるため、ここで近所・周辺挨拶を一度済ませておくことが望ましいとされています。
ご挨拶の品物に「ご挨拶」と書いた熨斗を巻きつけて、工事で迷惑をかけそうなお家、向こう三件以上は挨拶回りに行きましょう。
スポンジやタオル、ラップなど500円以下の日用品で済ませる方から、今治タオルなど奮発する方もいるようですが、あくまでご挨拶なのでほどほどにしましょう。
まとめ|地鎮祭の流れ
ということで、地鎮祭の流れについて紹介してまいりましたがいかがだったでしょうか。
あくまで気持ちの問題ですから、やらなくても何か問題があるわけではないですが、家族の大きなイベントとして、また安全祈願や家族の健康を願うためにも、初詣のような思いで行うのはとてもいいことだと思います。
これからご近所さんとなる周辺の方にも、礼節や儀礼を重んじる家庭なんだなという印象を与える効果があるかもしれません。
それでは。
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