容積率は、その土地にどれくらいの延べ面積の建物を建てられるかを判断する重要な数字です。
ただし、都市計画で「容積率200%」と指定されていても、必ず200%まで使えるとは限りません。前面道路の幅が狭いと、実際に適用される容積率が160%などに制限されることがあります。
この記事では、用途地域ごとの容積率一覧表と計算方法、土地を購入するときの調べ方や注意点をわかりやすく解説します。
容積率とは?
容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ面積の割合です。

たとえば3階建ての住宅なら、基本的には1階・2階・3階の床面積を合計したものが延べ面積になります。
容積率(%)=容積率算定上の延べ面積÷敷地面積×100
たとえば敷地面積100㎡に延べ面積100㎡の建物なら、容積率は100%です。延べ面積200㎡なら200%になります。
その土地に適用される容積率を超える建物は、原則として建てられません。
ただし、容積率だけで建物の階数や大きさが決まるわけではありません。建ぺい率や高さ制限、斜線制限など、ほかの建築制限もあわせて見る必要があります。
建ぺい率と容積率の違い
容積率と混同しやすいのが「建ぺい率」です。
建ぺい率は、敷地面積に対して建物をどれくらいの広さで配置できるかを示す割合です。一方、容積率は敷地面積に対する各階の床面積の合計割合を示します。
簡単にいえば、建ぺい率は建物の「平面的な広がり」、容積率は建物全体の「床面積」を制限する数字です。
希望する家が建つかを判断するときは、どちらか一方ではなく、建ぺい率と容積率をセットで見ておきましょう。
用途地域別の容積率一覧表
容積率の上限は、用途地域に応じて定められた範囲の中から、都市計画によって指定されます。
| 用途地域 | 都市計画で指定される容積率 |
|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 |
50%・60%・80%・100%・150%・200% |
| 第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 |
100%・150%・200%・300%・400%・500% |
| 第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 |
100%・150%・200%・300%・400%・500% |
| 田園住居地域 | 50%・60%・80%・100%・150%・200% |
| 近隣商業地域 | 100%・150%・200%・300%・400%・500% |
| 商業地域 | 200%~1,300% |
| 準工業地域 | 100%・150%・200%・300%・400%・500% |
| 工業地域 工業専用地域 |
100%・150%・200%・300%・400% |
※工業専用地域には住宅を建築できません。表は用途地域ごとの容積率を一覧で確認できるよう掲載しています。
この表の中から自由に容積率を選べるわけではありません。実際の土地には、都市計画によって「100%」「200%」などの指定容積率が定められています。
さらに、前面道路の幅員が12m未満の場合は、道路幅員による容積率の制限もチェックしなければなりません。
前面道路が12m未満なら容積率が低くなることがある
前面道路の幅員が12m未満の場合、指定容積率だけでなく、道路幅員から計算した容積率も確認します。
原則として、住居系の用途地域では前面道路の幅員に0.4、それ以外の用途地域では0.6を掛けて計算します。
前面道路の幅員(m)×0.4または0.6×100=道路幅員による容積率(%)
そして、
- 都市計画で指定された容積率
- 前面道路の幅員から計算した容積率
を比較し、原則として小さい方が容積率の上限になります。
なお、特定行政庁が指定する区域では係数が異なる場合があります。実際の土地については、自治体の都市計画・建築担当窓口などで調べておきましょう。
容積率の計算方法を実例で確認
注文住宅を建てるケースで計算してみます。
- 指定容積率:200%
- 用途地域:第一種住居地域
- 前面道路の幅員:4m
- 敷地面積:150㎡
第一種住居地域なので、前面道路の幅員に原則0.4を掛けます。
4m×0.4×100=160%
指定容積率200%と道路幅員による160%を比較すると、160%の方が小さくなります。
160%<200%
したがって、このケースで適用される容積率の上限は160%です。
敷地面積が150㎡なので、容積率から計算した延べ面積の上限は次のようになります。
150㎡×160%=240㎡
つまり、容積率の制限だけで考えれば、容積率算定上の延べ面積は240㎡が上限です。
ここで注意したいのは、「240㎡の家が必ず建てられる」という意味ではないことです。
実際に建てられる建物の大きさや形は、建ぺい率、道路斜線、北側斜線、高度地区、日影規制、敷地の形状などによっても変わります。
指定容積率200%でも実際の上限が160%になることがある
土地探しでは、この違いを理解しておくことが重要です。
今回の例では、都市計画上の指定容積率は200%ですが、前面道路が4mのため、道路幅員による制限を受けて実際の上限は160%になります。
不動産広告では、原則として道路幅員による制限を反映した容積率が表示されます。ただし、希望する延べ床面積の家が建てられるか判断するときは、物件資料の数字だけを見るのではなく、前面道路の幅員やほかの建築制限もあわせてチェックしておくと安心です。
容積率の調べ方
購入予定の土地の容積率は、主に次の方法で調べられます。
自治体の都市計画図・都市計画GISで調べる
多くの自治体では、Web上の都市計画図や都市計画GISで、用途地域・建ぺい率・指定容積率などを確認できます。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」でも、用途地域や指定建ぺい率・指定容積率などの都市計画情報を調べられます。
ただし、ネット上の情報だけで土地購入を最終判断するのではなく、気になる土地については自治体や不動産会社、設計を依頼する住宅会社などにも見てもらうと安心です。
市区町村の担当窓口で確認する
自治体の都市計画担当課や建築指導担当窓口でも調べられます。
住所や地番を伝えると、用途地域や指定容積率などを案内してもらえる場合があります。
土地を購入する前なら、容積率だけでなく、高度地区や防火地域・準防火地域など、その土地にかかるほかの規制も一緒にチェックしておきましょう。
前面道路の幅員も確認する
指定容積率が分かっても、それだけでは実際に適用される容積率を判断できない場合があります。
前面道路が12m未満なら道路幅員による制限を受ける可能性があるため、道路の幅まで見ておく必要があります。
特に「希望する大きさの家が建つか」を知りたい場合は、土地を契約する前に住宅会社や設計者へ敷地条件を見てもらうのがおすすめです。
容積率だけで建てられる家の大きさは決まらない
容積率は土地選びで重要な数字ですが、容積率だけを見て「この土地なら希望する家が建つ」と判断するのは危険です。
たとえば容積率に余裕があっても、建ぺい率によって1階部分を大きくできなかったり、斜線制限や高度地区によって3階部分の形が制限されたりすることがあります。
また、道路が建築基準法上どのように扱われているかや、セットバックが必要かどうかによって、有効に使える敷地面積が変わる場合もあります。
土地を買うときは「土地の広さ」や「容積率」だけではなく、その土地に希望する間取り・床面積の住宅が実際に計画できるかまで確認することが重要です。
容積率などの法令上の制限は土地購入時の重要事項説明でも確認しますが、希望する住宅プランがあるなら、契約直前ではなく土地を絞り込む段階で住宅会社や設計者にも見てもらうと失敗を防ぎやすくなります。
土地価格が安くても、希望する床面積を確保できず大幅にプランを変更することになれば、家づくり全体の予算にも影響します。土地代と建物代を別々に考えず、総額で判断しましょう。
延べ面積すべてが容積率に算入されるとは限らない
容積率を考えるときに、もう一つ知っておきたいのが「容積率の不算入」です。
住宅の地下部分や自動車車庫などは、一定の条件・範囲内で、容積率を計算するときの延べ面積に算入されない場合があります。
そのため、建物全体の延べ床面積と「容積率を計算するときに使う延べ面積」が必ず同じになるとは限りません。
ビルトインガレージや地下室のある住宅を検討している場合は、容積率の緩和を利用できるか住宅会社や設計者に相談してみましょう。
まとめ|土地購入前は指定容積率と道路幅員をセットで確認
容積率は、敷地面積に対してどれくらいの延べ面積の建物を建てられるかを示す割合です。
ただし、土地に指定された容積率をそのまま使えるとは限りません。
前面道路の幅員が12m未満の場合は、道路幅員から計算した容積率と指定容積率を比較し、原則として小さい方が上限になります。
特に土地を購入するときは、容積率だけで判断せず、前面道路の幅員や建ぺい率、高さ・斜線などの規制も含めて「希望する家が建つ土地か」を確認しましょう。
土地選びの段階で住宅会社や設計者にも見てもらえば、「土地を買った後に希望していた広さの家が建てられなかった」という失敗を防ぎやすくなります。

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