住宅ローンを借り換えると、現在より金利が下がり、毎月の返済額や総返済額を減らせることがあります。
ただし、借り換えは無料ではありません。
新しい金融機関への事務手数料、抵当権の設定・抹消登記、司法書士報酬などがかかるため、金利差だけを見て決めると「思ったほど得しなかった」という結果にもなりかねません。
そこで先に知っておきたいのが、借り換えにかかる諸費用を何年で回収できるかです。

毎月1万円安くなるなら、すぐ借り換えた方がいいんですか?

諸費用まで回収できるかを見てからだね。さらに、月額だけではなく完済までの総支払額も比べよう。
この記事では、借り換え諸費用を50万円・80万円・100万円とした場合の回収年数を比較し、3,000万円の住宅ローンを実際に借り換えた場合の損益までシミュレーションします。
結論|借り換え諸費用は何年で回収できる?
簡易的な回収期間は、次の計算で確認できます。
借り換え諸費用 ÷ 毎月減る返済額 = 回収期間
たとえば借り換えに80万円かかり、毎月の返済額が1万円減る場合は、
80万円 ÷ 1万円 = 80か月
なので、約6年8か月です。
| 毎月減る返済額 | 費用50万円 | 費用80万円 | 費用100万円 |
|---|---|---|---|
| 5,000円 | 8年4か月 | 13年4か月 | 16年8か月 |
| 1万円 | 4年2か月 | 6年8か月 | 8年4か月 |
| 1万5,000円 | 2年9か月 | 4年5か月 | 5年7か月 |
| 2万円 | 2年1か月 | 3年4か月 | 4年2か月 |
ただし、この表は借り換え前後の残り返済期間を変えず、諸費用を現金で支払い、毎月返済額が試算期間中変わらないと仮定した簡易計算です。
変動金利なら将来の返済額が変わる可能性があります。また、諸費用を新しい住宅ローンへ上乗せする場合は、その諸費用にも利息がかかります。
そのため、最終判断では回収年数だけでなく諸費用を含めた総支払額を比べます。
住宅ローン借り換えの諸費用はいくら?
借り換えで発生する主な費用は次のとおりです。
| 費用 | 内容 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 融資事務手数料 | 新しい金融機関へ支払う手数料 | 定額型と借入額に比例する定率型がある |
| 保証料 | 保証会社を利用する場合の費用 | 不要・一括払い・金利上乗せなど商品による |
| 抵当権設定登記 | 新しい住宅ローンの抵当権を設定 | 登録免許税と司法書士報酬 |
| 抵当権抹消登記 | 現在の金融機関の抵当権を抹消 | 登録免許税と司法書士報酬 |
| 印紙税 | 紙の金銭消費貸借契約書などにかかる | 電子契約では不要になる場合がある |
| 全額繰上返済手数料 | 現在の住宅ローンを完済する費用 | 金融機関・契約内容によって異なる |
事務手数料2.2%なら3,000万円で66万円
住宅ローンの中には、融資事務手数料を借入額の2.2%(税込)としている商品があります。
借り換え額が3,000万円なら、
3,000万円 × 2.2% = 66万円
です。
さらに抵当権設定・抹消登記や司法書士報酬などが加われば、借り換え費用が80万円前後になるケースもあります。
一方で、事務手数料が定額の商品もあります。
金利がわずかに低い銀行でも事務手数料が高ければ、借り換え後のメリットが小さくなることがあります。
借り換えで「戻ってくる保証料」がないかも見る
借り換えでは、新しく支払う費用だけでなく、現在の住宅ローンから戻ってくるお金がないかも確認します。
住宅ローン契約時に保証料を一括前払いしている場合、借り換えによる全額繰上返済で、未経過期間に対応する保証料が返戻される商品があります。
一方、保証料を金利に上乗せして支払う方式では、返戻する保証料がないのが一般的です。
そのため、実質的な借り換え費用は、
新ローンの諸費用 + 旧ローンの完済費用 - 戻ってくる保証料
で考えると分かりやすくなります。
返戻額や手数料は現在利用している金融機関・保証会社によって異なるため、全額繰上返済を申し込む前に確認しておきましょう。
宅建士視点|借り換えでは抵当権を付け替える
住宅ローンの借り換えは、銀行口座だけを変更する手続きではありません。
現在の金融機関が設定している抵当権を抹消し、新しい金融機関の抵当権を設定します。
抵当権設定登記の登録免許税
借り換えによる抵当権設定登記の登録免許税は、原則として借入額×0.4%です。
3,000万円なら、
3,000万円 × 0.4% = 12万円
となります。
これとは別に司法書士報酬などが必要です。
抵当権抹消登記にも費用がかかる
現在の住宅ローンの抵当権を抹消するときの登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
土地1筆・建物1棟なら登録免許税は2,000円ですが、土地が複数筆に分かれていれば、その分だけ不動産の個数も増えます。
司法書士へ依頼する場合は、別途報酬が必要です。

金利差だけ見ていると、登記費用を見落としそうですね。

だから「何%下がるか」と「借り換えにいくら払うか」をセットで比べるんだ。
本当に得する?残高3,000万円・残り25年でシミュレーション
ここからは、実際の住宅ローンに近い条件で計算します。
- 住宅ローン残高:3,000万円
- 残り返済期間:25年
- 返済方法:元利均等返済
- ボーナス返済:なし
- 現在の金利:年1.5%
- 借り換え後の金利:年1.0%
- 借り換え諸費用:80万円
- 借り換え後も返済期間25年
| 比較項目 | 借り換え前 | 借り換え後 |
|---|---|---|
| 金利 | 年1.5% | 年1.0% |
| 毎月返済額 | 約11万9,981円 | 約11万3,062円 |
| 毎月の差 | 約6,919円減 | |
| 25年間の返済総額 | 約3,599万円 | 約3,392万円 |
| 借り換え諸費用 | - | 80万円 |
| 諸費用込み総支払額 | 約3,599万円 | 約3,472万円 |
| 最終的な差 | 約128万円の削減 | |
※金利が返済期間中変わらないものとして計算した概算です。実際の適用金利・返済額・諸費用は金融機関や契約条件によって異なります。
毎月の返済額は約6,900円しか変わりませんが、25年間で見ると利息負担の差が積み上がります。
80万円の諸費用を単純計算で回収するには約9年8か月かかりますが、完済まで25年間利用するなら、諸費用を含めても約128万円のメリットが残る計算です。
「9年8か月もかかるから借り換えない」とも、「毎月6,900円減るから借り換える」とも即断せず、最終的な約128万円まで見て判断するのがポイントです。
実際の借り換えメリットは、現在の残高・残期間・金利によって変わります。自分の条件で計算したい場合は、諸費用を含めた借り換えメリット額を先に確認すると比較しやすくなります。
【CTA文案】諸費用込みで借り換えメリット額を無料で確認する
毎月の返済額だけで判断すると危険な理由
借り換え後の月額が大きく下がっていても、それだけでは得したとは言えません。
たとえば先ほどと同じ3,000万円を、年1.0%で残り25年ではなく30年に延ばして借り換えると、毎月返済額は約9万6,500円まで下がります。
現在の約12万円から月2万円以上減るため、一見するとかなり魅力的です。
しかし、月額が下がった理由には、金利低下だけでなく返済期間を5年間延ばした効果も含まれています。
返済期間を延ばせば利息を支払う期間も長くなるため、「毎月いくら減ったか」ではなく、借り換え前後の完済時期と総支払額をそろえて比較します。
2026年は住宅ローン借り換えを検討する価値がある?
2026年は住宅ローン金利が動いているため、以前借りた住宅ローンとの金利差が広がっている人もいます。
住宅ローン比較サービス「モゲチェック」が2026年7月末時点の借り換え診断登録ユーザーを集計したデータでは、現在返済中の平均金利は1.55%、提示された借り換え先金利は平均0.95%で、平均金利差は0.60%でした。
同じデータでは、借り換えによる平均メリット額は約168万円とされています。
ただし、これはモゲチェックの借り換え診断を利用した人の自社データであり、住宅ローン利用者全体の平均ではありません。
「2026年だから誰でも借り換えた方が得」という意味でもありません。残高、残期間、現在の金利、借り換え先の金利、諸費用を自分の条件に置き換えて判断します。
FP視点|損益分岐点は「何年そのローンを使うか」で変わる
借り換え費用の回収に10年かかるなら、そのローンを10年以上利用する予定があるかを考えます。
見るのは「あと何年その家に住むか」だけではありません。
- 数年後に住み替える予定はないか
- 退職時に繰上完済する予定はないか
- 今後もう一度借り換える可能性はないか
- 定年まで何年あるか
たとえば回収に12年必要なのに5年後の住み替えを予定しているなら、想定したメリットを得られない可能性があります。
反対に、残期間が20年以上あり、諸費用を数年で回収できるなら、その後も利息軽減の効果を受けやすくなります。
諸費用を住宅ローンに上乗せする場合
金融機関によっては、借り換え時の事務手数料や登記費用などを新しい住宅ローンへ上乗せして申し込めます。
手元の現金を減らさずに済む一方、借入額が増えるため、上乗せした諸費用にも金利がかかります。
「80万円を現金で支払う場合」と「80万円も含めて借りる場合」では総支払額が違うため、シミュレーション条件をそろえてください。
借り換えではもう一度住宅ローン審査を受ける
金額上は借り換えメリットが出ても、必ず借り換えられるとは限りません。
借り換えは新しい住宅ローンを組み直す手続きなので、借り換え先の金融機関で改めて審査を受けます。
当初の住宅ローンを借りた後に、
- 年収が下がった
- 転職や独立をした
- 他の借入が増えた
- 住宅ローンなどの返済に遅れがあった
といった変化があれば、審査結果に影響する場合があります。
金融機関によって審査基準は異なるため、「シミュレーションで200万円得になる=その条件で必ず借り換えられる」わけではありません。
団信も入り直すのが基本
住宅ローンを借り換えると、新しい住宅ローンの団体信用生命保険へ加入することになります。
現在のローンを借りたときより年齢が上がり、健康状態も変わっている可能性があります。
低い金利の商品が見つかっても、希望する団信に加入できなければ借り換え先の選択肢が変わることがあります。
逆に、借り換えによって疾病保障などを充実させられることもあるので、金利差だけでなく保障内容も比較します。
住宅ローン控除は借り換えても続けられる?
住宅ローン控除を利用中でも、一定の条件を満たせば借り換え後の住宅ローンで控除を継続できます。
主な条件は、
- 新しい住宅ローンが元の住宅ローンを返済するための借入であることが明らかである
- 借り換え後の住宅ローンも償還期間10年以上などの要件を満たす
ことです。
ただし、借り換えによって住宅ローン控除の適用期間が最初からやり直しになるわけではありません。
元の住宅へ入居した時点からの控除期間を引き継ぎます。
諸費用まで借りる場合は控除対象額に注意
借り換え直前の住宅ローン残高より、新しく借りる金額の方が多くなるケースもあります。
たとえば旧ローン残高3,000万円に対し、諸費用まで含めて3,100万円を借りた場合です。
この場合、新しいローン3,100万円のすべてがそのまま住宅ローン控除の対象になるとは限りません。
国税庁では、借り換え後の借入額が旧ローン残高を上回る場合、一定の計算で控除対象となる年末残高を調整するとしています。
住宅ローン控除中の人は、借り換え前後の返済額だけでなく税負担の変化も含めて考えます。
借り換えで得しやすい人・慎重に考えたい人
住宅ローンの借り換えは、「金利差0.5%以上なら得」のように一つの数字だけでは決められません。
| 借り換え効果が出やすい人 | 慎重に考えたい人 |
|---|---|
| 住宅ローン残高が多い | 残高が少ない |
| 残り返済期間が長い | 完済までの期間が短い |
| 金利差が大きい | 金利差が小さい |
| 借り換え諸費用が少ない | 諸費用が高い |
| 長期間そのローンを使う予定 | 近いうちに売却・完済予定 |
| 返済期間を延ばさず負担を減らせる | 月額を下げるため大幅に期間を延ばす |
昔から「残高1,000万円以上」「残期間10年以上」「金利差1%以上」といった目安もありますが、現在は金融機関ごとに金利や事務手数料が大きく違います。
目安に当てはまるかより、自分の残高・残期間・金利・諸費用を入れて総額を計算する方が実用的です。
住宅ローン借り換えの流れ
- 現在のローン残高・金利・残期間を確認する
- 借り換え候補を複数比較する
- 金利・諸費用を入れて総返済額を試算する
- 借り換え先へ事前審査を申し込む
- 正式審査を受ける
- 新しい住宅ローンを契約する
- 現在の金融機関へ全額繰上返済を申し込む
- 借り換え日に旧住宅ローンを完済する
- 旧抵当権を抹消し、新しい抵当権を設定する
- 新しい住宅ローンの返済を開始する
抵当権の抹消と設定は借り換えの融資実行と連動するため、金融機関や司法書士の案内に沿って手続きを進めます。
借り換え前に確認したい9項目
- 現在の住宅ローン残高
- 残り返済期間
- 現在と借り換え後の適用金利
- 事務手数料・登記費用などの諸費用
- 戻ってくる保証料の有無
- 諸費用を回収するまでの期間
- 諸費用込みの総支払額
- 団信の保障内容
- 住宅ローン控除への影響
この9項目をそろえると、金利差だけでは分からない借り換えの損得が見えやすくなります。
よくある質問
住宅ローンの借り換え費用はいくらかかりますか?
金融機関や借入額によって異なります。融資事務手数料が借入額の2.2%なら、3,000万円の借り換えで66万円です。これに抵当権設定・抹消登記、司法書士報酬などが加わります。
借り換え費用は何年で回収できればいいですか?
「○年以内なら必ず得」という基準はありません。回収期間より長くその住宅ローンを利用する予定があり、諸費用込みの総支払額も減るかで判断します。
金利差0.5%なら借り換えた方がいいですか?
残高や残期間、諸費用によって異なります。金利差0.5%でも100万円以上得するケースもあれば、残期間が短く諸費用を回収しにくいケースもあります。
住宅ローン借り換えの諸費用も借りられますか?
金融機関によっては、事務手数料や登記費用などを現在のローン残高に加えて申し込めます。ただし、その分借入額が増え、諸費用にも利息がかかります。
現在の住宅ローンの保証料は戻ってきますか?
保証料を一括前払いしている住宅ローンでは、全額繰上返済時に未経過分の保証料が戻る場合があります。一方、金利上乗せ型では返戻がないのが一般的です。現在の金融機関へ返戻条件と金額を確認してください。
住宅ローン控除中でも借り換えできますか?
できます。借り換え後の住宅ローンが旧ローン返済のためのもので、償還期間10年以上などの要件を満たせば、引き続き住宅ローン控除を受けられる場合があります。ただし、借り換えによって控除期間が延長されるわけではありません。
借り換えにも住宅ローン審査はありますか?
あります。借り換えは新しい住宅ローンを組むため、改めて審査を受けます。現在の年収、勤続状況、他の借入、返済状況などによっては、希望する条件で借り換えられないこともあります。
変動金利から固定金利への借り換えでもメリットはありますか?
借り換え後の金利が上がれば、総返済額が減らないこともあります。ただし、将来の金利上昇リスクを抑えて返済額を安定させる目的なら、金額以外のメリットもあります。
まとめ|借り換えは回収年数と総支払額の両方を見る
住宅ローンの借り換えでは、
借り換え諸費用 ÷ 毎月減る返済額
で、おおよその回収期間を確認できます。
ただし、これだけで借り換えを決めるのはおすすめできません。
最終的には、
- 借り換え前の残り総返済額
- 借り換え後の総返済額
- 事務手数料や登記費用
- 戻ってくる保証料
- 返済期間
- 団信
- 住宅ローン控除
まで含めて比較します。
特に返済期間を延ばすと、毎月返済額が大きく下がり、「すぐ元が取れる」ように見えることがあります。
毎月いくら安くなるかではなく、諸費用を含めて完済までにいくら減るのか。ここまで計算してから借り換えを判断するのが失敗を防ぐポイントです。
自分で複数銀行の金利・手数料・返済額を計算するのが大変な場合は、現在の住宅ローン条件を入力して借り換えメリット額を先に確認する方法もあります。
【CTA文案】諸費用込みで借り換えメリット額を無料で確認する

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